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2006年4月 1日 (土)

OVAL Concepts A911 Jetstream Aerobar

高性能なエアロパーツを作っていることで知られるオーバルコンセプツ(本社スイス)が、車のF1チームと共同開発したフルカーボンのインテグレーテッドエアロバーである。

A911

さすがF1の技術者たちと共同開発しただけあって「超弩級」と呼ぶのがふさわしい内容(値段も超弩級)で、実際、成果も上げている。

A911news

2005年ハワイ・コナで行われたアイアンマンでA911はデビューウィンを飾った。
しかもただ勝ったのではなくコースレコードでの優勝である。

ちなみにLe Tour de FranceGiro d'Italiaと並ぶ三大グランツールの一つ、Vuelta a Espanaでもロベルト・エラスがタイムトライアルでこのA911を使用し最終的に総合優勝もしている

36__news

…が、EPO使用のドーピング陽性反応が出て、前人未到の通算4回目総合優勝は剥奪され幻と消え、エラスはスペイン自転車連盟から2年間のレース出場停止処分を受けるなど事実上引退に追い込まれるミソが付いた。

だが、A911が優れているのはエラスのドーピングとは関係ない。

とこでいきなり話が変わるが、この手の製品は、重い。
Aeroバー関連はとにかく重いのだ。
カーボンのドロップハンドルは金さえ払えば130gなんつーバケモノまであるが、ことエアロバーとなるとフルカーボンでも800gなら軽い世界だ。カーボンナノチューブを利用した軽量パーツで知られるEASTONのATTACKでも実に900gもある。

どうしてこんなに重さに無頓着なのか?

平地を走る限り、非回転部の重さは運動性能にほとんど影響を与えないからだ。平地主体のタイムトライアルでしか使用されないこれらエアロバーは、極端に重くない限り多少の重い軽いはタイムに影響を与えないため「限界の軽量化」的な事はやらないのが普通になっている。トラックレーサー用フレームなども意外なほど重い。LOOK KG496アテネ(TRACK)もフレーム単体で2kg以上ある。KG496はフルカーボンモノコックのフレームでオリンピックや世界選手権などのトラック競技では表彰台に登った選手全員が496を使っている事もよくあるくらいの銘品である。さぞかし軽量に作られているだろうと思う人が多かろうが、実は20年前の軽量クロモリフレームより重い。軽くすることよりもひたすら空力の向上と剛性を上げることだけを考えて作ってある。逆に書くと、今の技術、それも最先端のモノとして作って2kg以上ある事が496の凄まじい剛性を物語る。同じLOOKはロード用の最上位フレームではフレーム単体1kgを切るフレームを作ってしまえるのだから。

このように、エアロパーツ関連は重さを気にしていないものが多数派なのだ。それが、見てもらえば分かるが2枚ウイング形式のかなり凝った形をしている上にブレーキレバーも込みのA911は550gと驚異的に軽い。同じく込み込みのEASTON ATTACKはブレーキレバー付き900gだ。同じOval製のインテグレーテッドエアロバーでもA900は普通に945gある。A911が異常に軽いわけだ。

軽いことはさておき、OVAL Conceptsはもともと空力で売っているメーカーなので空力は当然ながらかなり気合い入っている。A911ではワイヤー類も全て内蔵する形式になっている。ブレーキレバー関係が初めから一体で造作されているのも、もちろん空気抵抗低減のためだ。OVALを象徴する特徴的な2枚ウイングだが、スリットによる空気整流はOVALの特許である。この2枚のウイングそのものも複雑な形状をしており、とにかく空気を綺麗に流す事に細心の注意を払っているのが伺える。

基本的にツルシは存在せず全部オーダー製作なのも凄い。A911_OrderForm.pdfがオーダーフォームなのだが、かなり細かいことまで微に入り細に入り注文を付けられる。納期は45日から2ヶ月。自転車界では恐ろしいまでに沢山の種類とサイズのハンドルが売っている関係で、逆にオーダーのハンドルはトッププロでもまず使わないくらい珍しい。オーダーまでしなくても間に合うものが見つかるからだ。自転車でハンドル回りのオーダーとは、よほどの巨躯の持ち主であるとか、捜すのが面倒臭い人むけのものだ。逆に考えると、ここまで細かくポジションをオーダーできる事とはつまり自分のポジション完全に出来上がっていて昨日と今日で変わったりはしないライダー向けであることも意味している。一言で書けば素人お断り。

現行のV2 BOOMERANGにこれを付けてしまうと、複数の自転車を持てるわけではない私にとって汎用性が下がってしまう関係で金のあるなし以前に手が出せない。最初V2 BOOMERANGそうであったが、エアロバー先端シフトは普通の道を走ったりするのにはむしろ不利(デュアルコントロールレバーと違ってブレーキングしながらのシフトダウンはできないため)だからだ。坂を登るのにもあまり向いていない。が、SHIMANOが電動シフトを出してきたら必ず複数箇所でのシフトチェンジが可能になるに違いないので、電動コンポ導入時には検討したいところだ。値段がちょっとアレだが…。

もし、A911に匹敵する製品が出てくるとするなら、BMCの受注生産のみ1台100万円超の超弩級TTバイクであるtimemachine TT01にだけ使用されている、EASTON製の謎のバー

Tt_3

が単体市販された場合くらいだろう。この謎のバーもtimemachine TT01登場当初から気になってはいるのだ。EASTONはATTACKもそろそろ古くなってきたしな。

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