Oven
オーブンを考えたのは、マントノン夫人。かの「朕は国家なり」の台詞で有名なルイ14世の愛妾の一人。この人はお菓子を作るのが趣味で、菓子を作る調理器具としてオーブンを思いついたらしい。この人の名前が付いている菓子があるくらいなので、たぶん本当なのだろう。菓子ごときを作るためにオーブンまで作り出す国だから、フランス料理でデザートの地位が高いのは当然の話だ。
ゆるい密閉構造にして料理の材料自身から出る蒸気で材料を熱する仕組みがオーブンのキモで単なる炙り焼きとオーブンを別つ点なのだが、これは理屈として分かっていたのか(とは思えないが)経験的にピンと来たのか、アイデアマンな人間の考えることは凄いものだとつくづく感心する。2005年にシャープが高熱水蒸気をオーブン自身が出すオーブンを発売したのが話題になったが、これはオーブンの原理に適ったモノで、物凄く斬新でとてつもないアイデアではない。オーブンの原理を知らない人だと「水蒸気!?」とびっくりしたかも知れないが、オーブン側から蒸気を出すアクティブサスペンションのような作動をさせた点で目の付け所がシャープだっただけで実はオーブンとして何ら不思議なことはやっていないのは、開発したシャープ自身が一番よく知っていると思う。オーブンとして不思議なことはやっていないからこそ、知らない人が不思議に思う「水蒸気で焼く」芸当が可能なのだ。なんせ江戸時代からオーブンは水蒸気で焼いてきた。この芸当はオーブンのオーブンたるゆえんで、シャープが始めたわけではない。やり方を考え直しただけだ。
「材料の温度が上がりすぎない」「焼き目が綺麗に付く」「中まで火が通る」をオーブン以上に可能な調理器具はないように思う。それ故か「オーブンがないと作れない料理」が結構あり、どうってことない料理でもオーブンを使うと出来上がりが結構変わる。ただ、オーブンはその特性上「何となく適当にカンで」が通用しない調理器具なので善し悪しなところもあるが。
同じ料理を同じに再現できるのが長所だしね。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
年始にヨーロッパの有名な寵姫たちの歴史を綴った本を読んだので、マントノン婦人の名前に反応してしまいました。
彼女は王の気を惹く為の特技を沢山持っていたようで、お菓子作りもそのうちの一つだったようですね。
投稿: きりこマネージャー | 2006年4月29日 (土) 19:39
確かにマントノン夫人は本人のキャラクター自体がかなり興味深いようですね。
投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年5月 1日 (月) 19:53