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2006年5月10日 (水)

チャリ毛from伊太利亜 by RUDY PROJECT

イタリアのサングラスメーカーRUDY PROJECTの、新型エアロヘルメットのプロトタイプ。たぶん市販される。

Cunegosytoncarbonaction600

ルパン三世のチャリ毛(方言。いわゆるもみあげ)も真っ青である。いや、「無限の住人」に出てきた逸刀流のザコキャラ(設定上は師範クラスのようだが)李 覺殷だなこれは。

RUDY PROJECTはわりと昔からエアロヘルメットを作ってきた。ミゲル・インドゥラインが現役の時にはもう作っていて、インドゥラインも被っていた。けっこう老舗なのである。基本的にサングラスメーカーなのだが、普通のヘルメットから競技用エアロヘルメットまで作っている。サングラスメーカーのこだわりでバイザーが上質。バイザーが売りでもある。ヘルメットのバイザーは善し悪しで、好きな色が選べない欠点があったりするのだが、クリアバイザーは雨の日には物凄く有り難い。2005年のスズカは時折豪雨だったが、バイザー付きエアロヘルメットであるLAZOR Chrono2のお陰でかなり助かった。ちなみにJCF公認レースでバイザーの使用はタイムトライアル含め認められない。ロードレースでみんながみんなヘルメットにサングラスなのは、流行りもともかく規定上あんな格好以外選択肢がないからだ。

サングラスはイタリアンな洒落た格好いいものが多いRUDY PROJECTだが、エアロヘルメットは昔から見た目猛烈にヘンなものが多い。ちょっと待て冷静になって考え直せと思うような製品を作ってきた。

特にチャンプがコレ。
RUDY PROJECT Chrono

Rudyzhel0350

だ。これね、被ってる姿、正直な話何かのジョークSFかぶりものにしか見えない。
SF映画のロケですか?と聞きたくなるくらい異様。
こう

Helmet_rudyaero01

なるわけだが、これ見て笑い出さない人は病んでいる。
私は見た目で速くなるなら苦労しねえよ主義で速くなるなら見た目は無視するんだが、さすがにこれは速くなると説明されてもキツい。まだ捨て切れてないのを痛感させられるくらい猛烈だ。これが格好良く見えるようになったら人生負けかなと思う。相手を笑わせて正気で走れなくして勝つためのグッズかと思うくらいだ。イタリア人はこれで恥ずかしくないのか?

有り難いことにこのヘルメット「Chrono」は既に生産終了品だ。UCIのルールが変わって、ヘルメットとしての本来機能を果たさない空気整流目的だけのものは着用できなくなったからだ。

それでもRUDY PROJECTのエアロヘルメットがヘンな歴史は続いており、現行の「Syton」も「Syton Supercomp」は元祖チャリ毛仕様だ。

Trisports_1897_6618095

根本としては耳を覆った方が空気抵抗は下がるとする考え方に基づいているのだが、それだけならチャリ毛スタイルにしなくても普通に耳を覆えばいいわけで、このチャリ毛が性能となんの因果関係があるのかよく分からない。Sytonのこのチャリ毛、RUDY PROJECT側では「パフォーマンスバイオニックウイング」と呼んでいるのだが、付け外し可能な構造で、チャリ毛なしモデルのSyton Openも販売されており、エアロヘルメットとしては例外的に涼しいのでトライアスロン系の選手にかなり人気だが、私はこのSyton Openがトライアスリートに人気の理由は涼しいからだけではなくてチャリ毛ではないからだと踏んでいる。なおチャリ毛だけ後からパーツ購入可能になっているがチャリ毛を追加して買った人の話は聞かない。私もサイクルモードインターナショナルで展示されていたSyton Supercompを「これがあの」と興味本位で試着してみた事があるが、そのあまりにチャリ毛なデザインに鏡を2秒正視できなかった。慌てて脱いだ。そしてこのプロトタイプもよぉぉぉーく見ればチャリ毛部分が別パーツになっているのが分かる。たぶんSyton用チャリ毛のパーツ流用で、Sytonと同じに取り外せるだろう。ますますチャリ毛の意味が分からん。

ヘルメットとしての基本形態そのものは、GiroのRev VI

Larm

そっくり。同じく後端部分を切り落としたデザインだ。基本的な考え方は全く同じだろう。この形は2004年くらいから出てきた系統で横風で顔が左右に振られにくい(エアロヘルメットを被って走ったことがない人は分からないが、あれは風に逆らった方向を向きにくいくらい風の影響を受ける)のとモガくために下を向いた時に後端部分が後ろにまっすぐ伸びていると前方投影面積が普通のヘルメットよりむしろ増えるのでエアロヘルメットならぬエアブレーキヘルメットになってしまうのを防ぐために出てきた。このあたりはチャリ毛と無関係に間違っていない。では何故チャリ毛なのだと問いたい。

イタリアはフランスと並ぶ自転車の本場である。
だが、イタリア人はどうもその日の気分で思いついたデザインを本気になって押し通すようなところがある気がして仕方ない。
かの有名なPINARELLOのONDAフォークもそうだ。
ましてそれが格好良ければいいのだが、結構ヘンな事がよくある。
しかしここまで強気だと間違っているのはこっちで、踏み絵でもやらされてるような気分である。

「心の底から格好良いと思えとは云わん。形だけ踏めばよいのじゃ」

う〜ん。遠藤周作先生ごめんなさい。

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コメント

ベルセルクのグリフィス(フェムト?)を彷佛とさせるヘルメットですね。
チャリ毛ってヤバいです。爆笑。

投稿: きりこマネージャー | 2006年5月10日 (水) 07:17

補足。
さっきのコメントは別々のヘルメットを指しています。

投稿: きりこマネージャー | 2006年5月10日 (水) 07:18

ああー、Chronoは確かにゴッドハンドのフェムトっぽいですねぇ。凄く納得してしまいました。
チャリ毛はヤバイでしょ。語感でもう笑えます。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年5月11日 (木) 10:47

いいんじゃないでしょうか。チャリ毛。永井豪描くところのデビルマン/不動明みたいでいかしてます。
Chronoの方はタツノコプロ、タイムボカンシリーズの悪役3人組のファンがデザインしたんでしょ。

投稿: Island | 2006年5月11日 (木) 23:39

どーもどーも。
ううむ。確かに永井豪の不動明っぽい!
不動明、かなり強烈にチャリ毛でした。

タイムボカン(笑)
でもこれ、日本人がデザインしたら絶対稟議通らないですよね(苦笑)

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年5月12日 (金) 12:59

上司1「誰だい、この『今週のびっくりどっきりメカ』作ったスカポンタンは!」
上司2「ほーれ、おしおきだべー」

あ、今思ったんだけど、「デビルマン」より「マジンガーZ」の方が近いかも。だってあっちは「兜」光児だ。うん、今俺うまいこと言った。歌丸さんは座布団くれてもいいと思う。

投稿: Island | 2006年5月14日 (日) 01:59

兜うまい!座布団2枚行きましょう。

このデザイン通そうとしたら「おしおきだべ〜」は避けられんでしょうね。紛れもないイタリアンデザインだなあとつくづく思います。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年5月14日 (日) 09:15

初めてカキコミします。
9年ほど前、関西の国立O大学サイクリング部員で、ダウンチューブに「Sideburn」と書いてある安物MTBで日本国内を駆け回っているヤツがいました。もちろんそいつは大阪出身。
Sideburn=チャリ毛≒チャリ≒自転車とつなげる発想が素晴らしい、と本人のたまわってました。

投稿: gomez | 2007年5月30日 (水) 19:58

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