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2006年5月 6日 (土)

Overhaul

今日は12時6分頃から実に23時35分過ぎまで、夕食を除きずっとメンテナンス。
驚くべき事に、10時間以上やってた事になる。

Overhaul

洗浄後乾燥中のチェーンとスプロケット

金貰って機械モノの整備なんて、本気で丁寧にやったらとてもじゃないけどペイしない。私は「プロ」の人たちをある意味尊敬する。出来ることをしないで放っておかなければ商売として成り立たないからだ。

「こうした方がいい」と分かっているのにあえて放置する部分がないと、整備で喰うのは整備で喰うどころか整備で破産する。彼らはやろうと思えば出来ること、本当はこうした方がいいと分かっていることにあえて目を瞑っているのだ。このたぐいの抑制は、シロウトが考えるほど簡単ではない。

旅客機の手抜き整備が問題になった時、実は一番悩んでいたのは現場の整備士だったのが明るみになっている。もっと時間をくれればきちんと整備する気もそれをやり遂げる技量もあるのに、○○までに仕上げろと無理なスケジュールを突きつけられるので手が回らなかったからだ。彼らはこれでは十分な整備ではないことを他の誰よりも分かる。これほど寝覚めの悪い「手抜き」はない。しかし、整備士に本当に満足の行くまで整備させているとペイしないから、会社は見切り発車する。整備士はいつも自分の仕事に満足できない状態で飛行機を送り出していた。これは恐ろしくストレスが溜まる。

チェーンとスプロケットとホイール前後1組のオーバーホールに10時間もの手間も暇も使い完璧なメンテナンスをして、その時間単価や消耗品代を請求したとして、快く払ってくれるくらい「隅から隅まできちんとやる整備」の値打ちとかそこまでやる困難さとか結果はどのような差となって現れるかとかが全部分かっている客は、たぶん人など使わずに自分で工具をビッシリ揃え、よほどバカ高い専用工具が必要な部分以外は自分でやってしまうのだ。私がそうであるように(笑)

たかが自転車のハブで、駆動力が掛かるため負荷の高い後輪のベアリングには粘度の高いグリスを使い、負荷の小さい前輪はひたすら抵抗を少なくするため粘度の低いグリスを使うような私のこだわりは、プロの仕事ではない。ついでに後輪でもフリーハブ部分は軽く回すために粘度の低いグリスだ。これはもう適材適所ではなくて病気である。

機械のメンテナンスは本当に丁寧にやると商売として十中八九失敗する。つまり商売でやっている人間は絶対にどこかで見切っている。趣味でやってる訳じゃないからだ。だが、その見切りを心配する必要は実はない。何故ならどこまでは絶対に必要でどこから先はしなくてもいいのか、当たり前だが分かっているからだ。逆にシロウト整備こそ隅々まで完璧にやる必要がある。シロウトが手抜きした整備でちゃんと仕上がるわけがない。どこは抜いて良くてどこが抜いてはならないのか知らないんだから。

最近、機械や家電品の修理がズボ換えアッセンブリー交換の「エンジニアならぬチェンジニア」のヤッツケ仕事だと嘆く人は多い。見切りのある整備を手抜きと指弾するのはたやすい。だが、自分で隅々まで納得の行く一点の曇りもない整備をやってみれば一発で分かる。

こんなもん絶対ペイしね〜!

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コメント

そもそも、殆ど全ての仕事が「完全に納得いく」レベルまでやっちゃうとペイしないものだと思います。

投稿: Jay-Bravo | 2006年5月 7日 (日) 03:19

おっしゃるとおり現代の仕事は全部そうなんだと思います。本当に納得行くまで仕事をしている人もいますが、どう見ても儲かってません。

かつてはパトロンと呼ばれたような人たちがそれを支えていたのですが、そんな文化は崩壊してしまいましたよね。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年5月 8日 (月) 11:57

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