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2006年5月 4日 (木)

SHIMANO WH-7700 carbon

SHIMANOが初めて世に出したカーボンリムホイールだ。

Shim_whl_road_7700_carbon_350x274
2005年、一番走ったホイールである。

このホイールには変な経緯があって、発売のアナウンスがあってから実際に発売されるまでが長く、待たせた挙げ句に発売されたと思ったらすぐWH-7701Carbonにモデルチェンジてしまい、あっさりと軽くなりしかも値段まで安くなってWH-7700Carbonを買ったユーザーを激怒させた事で知られる。私が持っていたのは軽くなる前のWH-7700Carbonだ。でも実際に計ってみたら公表重量より軽く、WH-7701Carbonの公表重量とほとんど一緒で驚いた。軽量であることがセールスポイントとして最も訴求するファクトリーコンプリートホイールで公表重量よりも実重量が軽い例は大変珍しい。が、このへんはシマノらしいと思う。でかいことやろうとはしないが、嘘をつかない。

DURA-ACEグレードのホイールの筈だが、元になったアルミリムのWH-7700含めDURA-ACEの名前は付かなかった。難産だった事と併せ、完成度的にDURA-ACEの名前を付けるのは厳しいと判断したらしい。78シリーズからはDURA-ACE銘のホイールが登場することになるので、当時はホイールにシマノの看板であるDURA-ACEと冠銘することにまだ迷いがあったのだろう。

Rolfのパクリとかなり陰口を叩かれた、このころシマノが拘っていた(なんせMTB用ホイールにまで使っていた)変則2本一組のパターンを採用しているのが最大の特徴で、前後16本スポークだが横から見ると実質8本スポークに近く、変な話だが前進時よりも横風に対して凄くエアロ(笑)なホイールである。冗談抜きで横風が強い日はホント有り難かった。iOではヨッパライの千鳥足のようになってしまう状態でもWH-7700 Carbonならハンドルを持ってさえいれば走れるくらい劇的に違った。パターンが変わっていただけでなく、リムにスポークを引っかけてハブ側にニップルを付ける、他ではあまり採用されていない面白いスポーク形式を採用している。

このスポークパターンからしてもいかにも横方向は弱そうなホイールだが、なんと後輪は左右のスポークテンションバランスを取るためにわざとフランジ幅が狭くしてあるなど横方向の強度確保の観点からはとどめの自殺行為としか呼びようがない作りで、実際体重65kgすら軽く切ってる私がスピードに乗った状態でヒラヒラっと左右にスラロームしてみるだけでホイールが横方向にしなっているのが分かるくらい後輪の横強度は低かった。こんなホニャホニャしたホイールでアルプスの坂を物凄いスピードで下ってたプロツアーの選手はまさにだと思う。シマノ自身これはヤバイと思ったらしく、この組み方はシマノのファクトリーコンプリートホイールから消滅する方向に向かっており、2007年までには一切なくなる公算だ。

WH-7700 Carbonは、微妙にエアロの中途半端なリムハイトである。いわゆるミドルハイトだ。空力テストの結果などを見ても、この程度のリムハイトのホイールが優秀な数値を記録することはほとんど皆無だ。

意味ねー!

でも中途半端にリムハイトが高いせいでバルブエクステンダーを付けないと空気が入れられない。

面倒くせー!

しかもギリギリ足らないだけなのでバルブエクステンダーはほとんど余ってしまいビヨーンとホイールから突き出す事になる。それこそ10mmのエクステンダー(商品としては20mmより短いものは存在しない)で十分なくらいだ。

あほくせー!

リム幅も異常に狭く、トラック用の18c激細タイヤがピッタリ来るような謎の幅。何を考えてこんな風に作ったのか分からない点が幾つもあるやたら謎の多いホイールだった。この程度の「なんちゃってエアロ」で効いてるのか効いてないのかは、このホイールの使用時期の大半が私の能力が全く低かった頃であるのと併せてイマイチ分からないままに終わった。当時は60km/hも出したらまさにぶっ倒れそうになり「これは体に悪い」と思う程度の力しかなかった。効き目が怪しいエアロもともかく、このホイールはまだカーボンリムとしてはあまりこなれていなかった頃の製品なので、ブレーキの効きがはっきり悪いのが一番の決定的弱点だと思う。高性能なことで有名なSWISSSTOPのシューを使っても私が使ったカーボンリムの中では図抜けて効きが悪く、効きの悪さでは前出のMAVIC iOといい勝負できるくらい効かなかった。iOはもともとブレーキをかけることを前提にして作っていないトラック競技専用ホイールなのでそんなもん上回って当たり前の相手であり、WH-7700Carbonはロード用としてはお世辞にも完成度が高いと評することが出来ない。リムはシマノ自社製ではないのだが、とにかく時々イノチの危険を感じるほどブレーキが効かなかった。同じブレーキ、同じブレーキシューのままでHYPERONにホイールを変えたら抜群にガッツンと効いたので、明らかにリムのせいだ。「あ?ブレーキになんか問題でもあるの?俺にゃそうは思えないねえ」と鼻をほじりながら返事するHYPERONの声が聞こえそうだった。

長所としては、ハブの作りが良くてスムースにクルクル回ったのは大きい。例によってシマノハブお約束のカップ&コーン方式なので自分でオーバーホールもした。この辺は機械いじり好きとしては楽しい部分で、きちんと整備してやればハブの回転はとにかく良くて、一度勢いを付けると相当長いことクルクル回った。

SHIMANOが初めて作ったレース用ホイールなせいかダイナミックバランスの観点が全くなくて、WH-7801-carbonがちゃんとバルブコア孔の反対側にカウンターバランス用の錘をさりげなく付けてあるようなニクい細工(なんでも本当はカウンターバランスではないらしいが)はWH-7700 Carbonにはもちろんない。そのため普通にタイヤを貼るとバルブコアとバルブエクステンダーの重さで思いっきりダイナミックバランスが狂い、フリーな状態で手を離すと絶対にバルブ側が下になって止まるし、メンテスタンド上で60km/h相当くらい回すとそりゃもう半端じゃない物凄い振動。最初はこの猛烈な振動の原因は何だとびっくりしたくらいぶおんぶおん揺れた。車もそうだが、ホイールのダイナミックバランスをバカにするヤツは本当に速く走ったことなんて一度もない足よりも口で走った方が速い床の間チャンプか、よほど鈍感かのどっちかだ。慌てて東急ハンズで鉛の板を買ってきて貼り付けたが、これは物凄く効果があって、しびれるくらいスムーズに回るようになった。片輪2時間くらいかけて0.1g以下の領域まで詰め、鉛の板を少しヤスリで削っては装着し…を繰り返してバランス取りしたのだから当たり前だ。この時の経験は後にHYPERON等でも生きることになる。

こうして書いてみると苦労してバランス取ったりハブをオーバーホールして回転を良くしてみたりとかなり手をかけたが、正直、これと挙げられる長所があまりなくて多分一番の長所は大変特徴的な見た目(笑)のホイールだと思う。横からの見た目は強烈にスカスカでとても涼しげだ。これはもう素人目にも普通じゃないホイールであることがよく分かる。だがその実、カーボンリムだがカーボンの言葉に色めき立つほど軽くない。何を隠そうWH-7801-carbon-50とほとんど同じ重さだ。リム単体の重さもWH-7801-carbon-50(確か425g前後)とほとんど同じだった筈だ。つまりカーボンリムのクセしてMAVICのKSYRIUMのアルミリム(450gくらい。その年の削り具合による)とあまり変わらん。カーボンリムには300gを切ってしまうものも存在するので、このへんはまさに年式を感じさせるところで、テクノロジーは進化してるんですねぇ。

余り誉めてない割に、スズカの耐久でも結局使ったのはこのホイールだった。これと挙げられる特徴がない中庸な性格なので無難だったのだ。消去法を使うと残ってしまう感じ。当時私のホイールラインナップは他があまりにとんがっていたのでどうしてもそうなる。雨と強風の中で前輪MAVIC iOとか、中リタイア確定ランプ頭ン中に点灯しますわな。ちなみにスズカの写真の前輪と後輪でタイヤの色が違うのは、別にあの妙な組み合わせが私の好みだったわけではなく、レースの数日前に気合いも新たに新品タイヤを貼って馴らし走行をしたらその日のうちに35kmほど走ったところで何かを踏んで後輪がパンクしてしまい、仕方がないので同タイヤの黄色を後輪だけ貼る羽目となったのが原因。前後ちぐはぐで猛烈に格好悪かったが、見た目で速くなるわけではないので無駄に金を使うわけにはいかないとこのままでレースを走りきり、その後、色が違うだけで前後ともVittoria Corsa CX Eliteなのだが、普通に走っている分には全然何ともないのでそのまま使用し続け、HYPERONと入れ替えにそのまま手放した。私は服の色が上下で違うとか、タイヤの色が貼り替える度に変わるとかその辺りメチャクチャな組み合わせの事が多い。(追記:服の色が上下で揃うまで2年以上要した)同じ性能なら色違ったって一緒なんだから安いの買う方が勝ち主義なのだ。しつこいが、見た目で速くなった奴なんていない。どうせロード用のタイヤなんてマジで走れば到底4半期もたないし、走ってる最中に自分の服の色が気になる奴は病気だ。Corsa CX Eliteの名誉のために書いておくとCorsa CX Elite自体は大変パンクしにくいタイヤで、通算でもこの僅か35kmでパンクしてしまったたった1回を除きパンクしたことがない。パンクするよりも先にすり減ってスリックタイヤ(笑)になってしまう。

2005年、一番走ったホイール、WH-7700carbon

まだまだ未熟もいいところだった私に付いてきてくれたこのホイールには感謝したい。使用期間は1年間に満たなかったが、このホイールと共に速くなったようなところがあるので結構懐かしい。その不思議な見た目と相まって、性能とかそんなに深く気にしない世界に生きる人にはけっこうイケてるホイールだと今でも思うし、横風に異常に強いのは案外他にない長所ではないかな。

見た目だけで買うならアルミリムのWH-7701で十分だけどね。その方がブレーキも効くし。

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