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2006年6月 9日 (金)

制動の守護天使

Tacxはオランダのユニークな用品メーカーとして知られる。
最近で一番有名なのはボトルケージ「tao」だろうか。このtaoはEliteのPataoと並びやたらプロ使用率が高い。

またTacxはトレーニング用のローラー台も多数発売しており、コンピューター制御の物凄いものまでラインナップしている。実際Tacxの1本ローラーのハイエンド製品は、PC制御のコントローラーに専用DVDソフトを組み合わせる事で「現実のコース映像を映しながら、コースの斜度や距離をシミュレートしつつ走る」機能を持っており、専用DVDも現実にロードレースが行われる有名なコースをチョイスしてVentouxなど10種類以上が発売されている。Eliteが去年類似品を発表発売したが、Tacxの方が早い。ちょっと残念なのは、Eliteのは日本に正式輸入されているのにTacxのトレーナーは安いモデルしか輸入されていない事だろうか。

だが、案外Tacx最高の製品ではないかと私が思っているのがこれだ。

Tacx

この樹脂製クリップ様の製品、名前はブレーキシューチューナー。
ブレーキシューの調整を簡単に行うためのグッズだ。

雑誌のメンテナンス特集だと、必ずナントカの一つ覚えのようにブレーキシューはトーインに調整せよと書いてある。

だが、いざやってみると分かるがこのToe-in調整、実際にはけっこう面倒臭くてしかもうまくいかない。あまり整備経験がない人が自力でやろうとするとかなり高い確率で途中挫折すると思われる。そこで皆1円玉挟んでみるとかコート紙を2つ折りにして挟むのがいいとか色々独自の工夫をしてみるわけだが、何か挟むとトーイン調整そのものはできても今度はシューの角度が決め難くなる。何かを挟んだ状態だとブレーキレバーを握ってもシューをリムに押さえつけ切れないので、ボルトを回すときにシューが供回りしてしまうのだ。ブレーキシューはリムの回転方向ときっちり同じに向いていないと本来のストッピングパワーからどんどん低下する。これはバカにしないほうがいい。何故なら一度とことん厳密に合わせてみると分かるが、リムに対しての向きがテキトーな状態と厳密に合わせた状態とでは明らかにストッピングパワーが違うからだ。
このようにブレーキシューの調整は簡単に済ませてしまおうと思ったら数分の工程だが、ちゃんとやろうと思うと意外と神経質でしつこい試行錯誤を必要とする。

だいたい角度合わせてホイとボルト締めときゃいーんだYo!

とは行かないのだ。工程を言葉で要約すればまさにたかがブレーキシューのボルト締めるだけなんだけど、あるべき像がはっきりしているとき「たかが」で済む「細かいこと」などなくなるものだ。

そこで登場するのがコレ。

形通りクリップのように内側からリムを挟み、シュー固定ボルトを弛めておいたブレーキのところに持っていって、ブレーキをギュッと掛け固定ボルトを締めればあら不思議。一発で見事にトーイン調整の出来上がり。今までの苦労は何だったんだと思うほど簡単に出来てしまう。素晴らしいアイデアグッズだ。他社に同じ目的の製品もあるが、これほど簡単に作業が終了するものはこれしかない。ブレーキシューチューナーを使ってシューを固定するとシューのリムに対する角度がキッチリとかつ左右均等に出るので、ブレーキの効きが良くなる。正確にはブレーキが持っていた本来の性能が100%発揮される。

ブレーキシューのトーイン角が綺麗に出るのでブレーキ鳴きとおさらば。ブレーキが鳴く鳴くと嘆く人は、大抵トーイン調整が狂っているか根本的にトーイン調整をしていないかだ。良く効く代わりに鳴くことで有名なSWISSSTOPのブレーキシューも、ちゃんとトーイン出してやると五月蠅さが全然変わる。さすがにフルブレーキングでも全く鳴かなくなるまでは行かないが、別のシューに換えたくらい静かになる。

Tacx ブレーキシューチューナー、あまり著名ではないが物凄くいい仕事をする自転車工具の逸品である。使ってみたら分かる。使うと仕事が圧倒的に速い上にしかも正確で、今まで慎重に調整していたのが暗愚にすら思えてくる。こいつがあると「何組か持っているホイールを交換する度にそのホイール用にシューを再調整する」ような想像するだけでもうじゃまくさい工程も苦じゃなくなる。苦じゃなくなるから、調整するようになる。大きな違いだ。

完全な単機能グッズなのだが、早くていい仕事をするから「これなしだとまずやらないような調整でも、これがあることでやるようになる」など、明らかに人のスタイルを変える力を持っている。これほどの逸品が有名じゃないのはどうして?と思うほどだ。むちゃくちゃお勧め。カーボンリムのホイールユーザーに特にお勧め。何故ならアルミよりブレーキが効かない傾向があるから、キッチリ調整しないのはライダーのイノチを左右しかねない。

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コメント

こんな便利なものがあるんですね。
先日ブレーキシューを付け替えたときに四苦八苦しながらトーイン調整をしてました。
たかがちょっとした角度を付けるためになんでこんな苦労するんだと、途中で投げやりになってしまいましたがこれがあればキッチリやろうと思えるようになりそうですね。

投稿: 鹿之助 | 2006年6月 9日 (金) 10:51

はじめまして。
これからもよろしくお願いします。

キッチリやろうどころか、これさえあればスポポポーンとボルト弛めてボルト締めるだけなんです。それだけでキッチリできてしまうわけです。
使い出すと、自分で「オレは何と無駄な時間を掛けていたのだろう」と呆れてしまうほど物凄くいい仕事してくれます。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年6月 9日 (金) 11:43

ショップでのシュー取付に疑問がありましたので、私も早速購入しました。で、いざ使おうとしたら、かたまってしまいました。ZIPPの404で、ディープホイールなのですが、シューの当たり面まで届かないのです。まいりました。

投稿: ロードマン | 2006年7月30日 (日) 15:57

ロードマンさん、はじめまして。
これからもよろしくお願いします。

私は404を持っていませんけど、確かめてみたところ確かにZIPP404のハイト58mmリムにはそのままでは使えないでしょうねコレ。改造したら使えますけど。

私の手元のものはまた別の理由で既にゴニョゴニョ改造してしまっているので808でも使えますが、買ってきたままでは404のように強烈なディープに対応しきれないのは盲点ですね。

リムのブレーキ面が平行に作られているホイール同士であるならば、他のノーマルハイトリムで調整した状態を流用してもほぼ同じパフォーマンスで使える理屈にはなりますが、50mmを超えるようなディープリムしか持っていない凄い人が居たとしたら、改造に着手しないとアウトですね。

どうやら完璧な商品ってわけでもないようです。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年8月 1日 (火) 09:58

すみません。できましたら、改造方法と内容を教えていただきたいのですが。
はずかしながら、404しかもっておりませんもので。

投稿: ロードマン | 2006年8月 7日 (月) 01:03

耐久性とか考えなかったらとても合理的なんじゃないでしょうか、ZIPP404だけ使用するのは。半端なロープロファイルカーボンよりもよほど軽いどころか58mmもハイトがあるのに50mmハイトのホイールより軒並み軽いですからね。

改造ですが、そんなに簡単でもないです。電動工具がないと恐ろしく手間が掛かるはずです。

1.ボルトは抜きます
2.元ボルトが入っていた辺りを内側から切削してしまいます
3.外からのクランプ止めにします

これで固定強度が上がり、かつHED.のJET90とかディスクホイール以外は使えるようになります。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年8月11日 (金) 21:06

ご教授賜りましてありがとうございます。
手間かけてでもトライします。

投稿: ロードマン | 2006年8月12日 (土) 19:25

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