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2006年6月27日 (火)

SHIMANO WH-7801-carbon

シマノが満を持して発売したカーボンホイール

7801c

イイですね、ハイ。

2006年6月現在、コストパフォーマンス世界最高のロードバイク用ホイールではないかと思うくらいイイ

単純な数字性能だけならもっと上回っているホイールが一杯ある。だがそれならLightweight ObermayerLightweight Ventouxで全て解決するだけの事だ。

まずこいつは類似品に比べてびっくりするくらい安い。今やマイナーもマイナーなチューブラーだから安くても他社のセールスとか経営には影響を与えないだろうけど、破壊的なくらい安い。今やチューブラー仕様の時点でどれだけコストパフォーマンスが良かろうと毎日飛ぶように売れる商品には成り得ないからシマノもそこまで考えて値を付けたような気がするが、それにしても安い。

そして次にこれほど「実直に作ってある」の言葉が似合うホイールを私は他に知らない。とにかく作りが丁寧だ。

  1. LEW(レイノルズのカーボンリムホイールのリムも生産している会社)にOEM生産を依頼しているリムはF290g R280gで、さすが十分軽い。リム重量420gほどあったと聞くWH-7700carbonとはまさに隔世の感がある。
  2. このリム、穴の空いている部分から痛まないよう、空いている穴の周りには片っ端から補強用のエポキシ?を薄く塗ってあるなどやたら手間を掛けて作ってある。こんな手間仕事をしてあるカーボンリムは初めて見た。ちなみにBORAなんぞは、あれほど高いけどカーボンの成型時に使ったバルーン(何と呼ぶのが正式名称なのか知らないのでこう呼ばせて貰う)の残滓がリム内部にけっこう残っていたりする。もちろんこんな程度で性能に影響はないと私でも思うが「そんな程度の事はいいじゃん」の見切りが、BORAの何分の1の価格の製品なのに徹底排除してある。この丁寧さは本当に気持ちがいい。
  3. 軽いリムを活かすべくハブニップルを採用し、僅かでも外周を軽くしようとする努力が見える。このへんは前からの伝統か。
  4. 太胴にして強度を上げたハブはもともと定評あった回転を受け継いで進化し、物凄く艶やかに回る。とにかくたまげるくらいよく回る。ゴニョゴニョとチューニングしてやればそれはもうシュパーンと鬼のように回る。
  5. ありがちなDTではなくSAPIMのスポークを使っている。ベルギーSAPIM社のスポークの良さは私なんぞが説明しなくても詳しい人なら知ってるだろうし割愛。
  6. バルブコアの反対側に回転バランス確保のためのウエイトを予め内蔵。この事実を特に公表せず、しかしウエイト込みの重さで勝負している。ウエイトを付けたりしなければカタログ重量で1300gを切り12xxgに出来たものをあえてせず本当に必要な性能を目指したシマノは真の漢だと感服した。これは他社には絶対真似できないと思う。カタログに書くのに「1300g」と「12xxg」とではインパクトが全然違うからだ。それこそ、他社なら実測1300gだったら絶対に1290gとか1280gとカタログ表記する。MAVICなんか256%やる。実際毎年やっている。それが人として正しいかどうかは別として商売としては正しいからだ。メーカーとしてのシマノに関しては色々批判もある。が、この「本物で勝負する姿勢」は素晴らしく、日本人であることを誇りに思える一例だと思う。(追記:他でも書いたが、これは元々はバランス用ウェイトではないらしい)
  7. はじめからバルブコア分だけのカウンターバランスを組込んであるので、特にバランスを取らなくても見事にブレることなく高速回転する。有り難い。
  8. F28mm R24mmとフロントの方がハイトを高く取ってある上一応△断面にしてあるホイールは、効果がどれほどあるかはともかく空力的に見て正しい
  9. 怖いくらいブレーキが効かなかったWH-7700carbonから一転し、凄くブレーキが効くようになった。私が今まで使った中で最もブレーキが効いたカーボンリムホイールであるHYPERONと比べても全く互角で、ブレーキに関して何か問題を感じたことは一度もない。リム成型時からブレーキ面はブレーキのことを考えて繊維の方向を揃えてあるそうだ。このへんはLEWの技術力だが。
  10. スポーキングは、個性の塊だった7700系から激変してごく真っ当なものになった。妙な組み方をしていないのでフレ取りしやすい。
  11. リヤの作りは大変凝っており感心する。複雑な形状の専用ハブと左右非対称リムを使用することで横方向の剛性を可能な限り確保しようと頑張っている。実際7700carbonでリアホイールの横剛性が明らかに低かったのとは対照的で、ものすごくガッシリしており私の体重と脚力ではおよそたわむ感じがしない。面白いのがリアのスポーキング。カンパと全く正反対で7801はフリー側がラジアルになっている。ちなみにこのフリー側ラジアル組みは「最近のファクトリーコンプリートで時々見られる、度し難い駄目組み」とする専門家もおり、意見が割れる。

1.で何故「さすが」なのかは、レイノルズのカーボンリムホイールを見てもらえれば分かる。あいにくと現在レイノルズのオフィシャルHPはリニューアルオープンに向けて閉鎖中なのだが、レイノルズブランドは前後合計1190gとか驚くほど軽いホイールを売っている。リューの作るカーボンリムは、あまり有名でないが世界最高クラスにレベルが高い。(追記:LEWは後に前後合計880g「保証」のVT-1を売り出し世界を震撼させ、万ドルオーバー800g未満のホイールを世界で初めて市販して世界を震撼させ、更に2008年末には客からの金を掴んだまま夜逃げぶっこいてまたも世界を大震撼させた)

WH-7801carbonは加速しやすさ、坂の登りやすさ、高速時の空気抵抗、全体にとてもバランスがとれていて決定的な弱点がない。空力だけならもちろんバトンホイールやディープリムに比べれば劣るだろうが、これ以上空力を良くしようとしたら横風に弱くなったりして汎用性がないホイールになってしまうのでこのあたりがバランス点なのだと思う。

そう。「バランス」

決して特に軽量なハブを使っておらずカウンターウエイトが最初から組み込んであるのに1300gを達成している重さもそうだが、このホイールは全てにおいてバランスが取れているのが美点で「何かを特によくするため反作用的に産まれた欠点」がない。HYPERONは、痺れるくらい加速しやすかったが高速域で頭打ち感が強かった。たぶん物凄く馬力のある人間が猛烈にスプリントしたりグングン坂を登ったりするように作ってあるのだと思う。当代一流のスプリンターであるトム・ボーネンなどは連続で460W、スプリント時で1600W出せるらしい。原付だ。そんな連中の声で出来たホイールを私のようなモヤシが使ったら当然印象が変わる。私が1000W超えたら単なるPOLAR Power Output Sensorの誤計測の可能性の方が遙かに高い。

とにかくWH-7801carbonの仕上がりは素晴らしく調和が取れており、その完成度は私にHYPERONを手放させた。なおフロントは実測で比べるとHYPERONの方が重かった。個体差もあるだろうが、この結果はカタログ比を逆転している。

とにかく汎用性抜群で、たぶん普通にはこれ一丁あればいわゆる「決戦用」としてほとんどの状況に適合すると思う。欠点と思われる欠点は、ハブニップルのニップルサイズが特殊で専用ニップル回しでないとフレ取り作業できないことと、リムハイトが中途半端なのでバルブエクステンダーを使用しないといけないが使ったら使ったでエクステンダーが余りまくってしまうことくらいしか思いつかない。

昨年晩秋からずっと使っているが、全走行距離の90%はこのホイールになっている。何に使っても不満が出ないから。

このホイールに心底感心していたせいで、WH-7801carbon-50を見て過剰に落胆したところは間違いなくある。これほどのホイールを出せるのなら7801carbon-50もさぞかし物凄いものが出てくるだろうと思っていたからだ。むろんそれは勝手な期待ではある。SHIMANOがCampagnolo BORAを過去の遺物にしてしまうにはあと一世代のモデルサイクルが必要なのだろう。

とまれ、このホイールの素晴らしさは変わらない。
欠点らしい欠点がほとんどない事も含め、よほどの初心者でない限り誰が買っても良さを享受できるホイールだと思う。

Wh7801

何故かまたも前後で違う色のタイヤに…。うちの伝統か!?

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コメント

7801carbonのウェイトはそもそもリム成型時に内部に充填する型を抜き取るためにあけた穴を塞ぐ為が当初の目的であって、バランス取りは結果としてそうなっただけです。(シマノAS事業部社員談)
ちなみにcarbon50の穴塞ぎはcarbonでやってます。

投稿: TIME&Lightweight | 2006年7月 9日 (日) 00:43

いつもどうもです。
LightweightのAvant safe用BTOの時もそうですが、内部情報の多さはまるでお店の方ですね。感心させられます。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年7月 9日 (日) 07:35

毎度です。
資金繰りの目処が立ったので、WH-7801Carbonを購入しました。
コイツはホントいいですね。ハブもWH-7800より確かにレベルアップしています。
回転に関しては、新品のときは「ウワサほどではないかな?」と思っていましたが、なじみが出たら変わるかと思い、振れ取り台に乗せて回しまくってたら、感心するくらい軽くなり、満足のいく回転の軽さになりました。
ハブそのものもシマノらしく、ラチェットの完成度が高いですし、無骨なハブも気に入りました(人によっては「美しくない」かもしれませんが・・・)。
一番「おおっ!」と思ったのが、反フリー側のスポークテンションです。WH-7800では、手で触ると簡単にたわむくらい緩かったのですが、WH-7801では、非常によく張れています。
スポーク角度がフランジに対して寝ていることと、スポークテンションが高いことで、トルクの伝わりが良さそうで、試走が楽しみです。
また、バルブホールが大きいので、Vittoriaのタイヤが使えそうです。
これほどのホイールの実売価格がKSYRIUM ESより1万円ほど高いだけというのが信じられません。半端じゃない価格攻勢ですね。
これならプロの使用率が爆発的に上がったのも分かるような気がします。なにしろ、今まで資金的に苦しいチームには高嶺の花だったカーボンホイールが、ハイグレードアルミホイール並みの値段で購入できるのですから、プロツアーチームにとっても、有難いことこの上ないでしょう。

投稿: Carbon_Cloth | 2006年10月23日 (月) 15:32

Carbon_Clothさん、まいどです。
完成度高いですよね、WH-7801-carbonは。使えば使うほど良さを実感します。
仰るとおり、これだけのホイールがKSYRIUM ESよりちょっと高いだけの実売価格なんです。KSYRIUM ESを買う人って凄いなと思います色んな意味で。私には真似できないですね。

回転モーメントの軽さ、ハブの完成度、加速感の良さ、全てが高い次元でバランスしている素晴らしいホイールです。しかも安い。正直、このホイールはCampagnolo HYPERONの商品価値を暴落させてしまったと思います。実測重量がほとんど同じで、ハブのクオリティがほとんど同じで、空力では上回っています。

唯一の欠点は、シマノ10Speedコンポでしか使えないことでしょう。

プロツアーチーム中でも最も潤沢な資金力のT・Mobileでさえこのホイールを多用するあたり、プロにとっても大変ありがたい、いやプロだからこそありがたいホイールなのだと思います。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年10月25日 (水) 00:36

毎度です。
WH-7801Carbonで試走しました(タイヤはContinental Sprinter)。
第一印象としては、「何じゃ!この強烈な加速は!」というものでした。この強烈な加速のおかげで、ロードバイクで初めて意図せずウィリーしました。
TEMPEST II Carbonとリアのスポーク数が同じで、しかもテンションはWH-7801Carbonより高いはずなのですが、明らかに踏み込んだ感触が違うのです。リムがたわんで加速が鈍っているなら、とっくにリム破損しているはずなので、恐らくハブ構造とスポークの組み方のせいかと思います。
シマノがあんな複雑な形状のハブを作った理由は、単にハブニップルにするためだけではないと思われます。恐らく、最大のトルク伝達効率を実現するために、あんな生産効率の悪そうな、ヒトデみたいな形のハブになったのでしょう。
スポーク角度がフランジに対して寝ている上、オフセットリムで反フリー側もテンションを上げられるようになり、テンションと角度の両効果で伝達効率が上がったと考えられます。
スポーク角度は、寝ていればテンションが緩くてもトルクは伝わり、逆にテンションが高ければ、角度が立っていてもトルクは伝わります。WH-7801の場合は両方いっぺんにやっているわけですから、自ずと伝達効率は高くなります。トルク伝達側を反フリー側に持ってきたのも、スポークの組み方を優先したためでしょうか?まあ、これは憶測ですが。
スポーク角度に関しては、TEMPEST IIと比べると一目瞭然です。
とはいえ、かたやTEMPEST IIはディープリム。空力重視のホイールにトルク伝達効率云々を求めるのは酷かもしれません。
そうなると、WH-7801-C50が重いのがつくづく残念です。シマノホイールはハブが重いことを差し引くと、他社軽量ホイールに換算して、1450g位でしょうか。となれば、モデルチェンジして1400gちょうど位ならばかなりの性能が期待できそうですね。ハブとスポークがこれほど良いのですから、あとはリムだけですね。

投稿: Carbon_Cloth | 2006年10月27日 (金) 17:00

Carbon_Clothさん、まいどです。
とても良く出来てますね、WH-7801-carbonは。ノーマルホイールとして癖のない性格もあって「一度使うと手放す気が起きない」と思います。

ウイリーもその通りで、私が使った中で「浮かそうと思わなくても簡単に前輪が浮いてしまうホイール」はHYPERON、BORA、racingSpeed、WH-7801-carbonです。
BontragerのXXX Liteは一度も浮きませんでした。浮きそうな感じすらなかったですね。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年11月 1日 (水) 22:33

WH-7850-C24-TUやっと入手できました。重量が測れましたのでご参考に。

WH-7850-C24-TU
カタログ値
・平均重量
ペア:1,257g

・実測
前輪: 525g
後輪: 730g
ペア:1,255g
(前後ともクイック、フリーなし)

投稿: Nameless One | 2008年1月30日 (水) 22:21

いつも楽しく拝見しております。
新しい7850-C24TUはどうなんでしょうか?
ちなみに前の7801にコンチのコンペで最高でした。フロントしかもっていませんが
後輪にも同じカーボン必要なんですかね?
後輪にはキシリウムのES使用してます

投稿: まつ | 2008年6月22日 (日) 19:01

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