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2006年7月 5日 (水)

TTP-1 Oh, Savior!

チューブラータイヤは、ミヤタTTP-1で復活した。

Ttp1_box

そのくらいの評価を与えてもいい素晴らしいグッズだ。

チューブラータイヤをリムセメントで貼る作業は、猛烈に面倒臭い。

あれをして「何ともない」と思える人間は完全に一般人感覚が消失しているだけの事だ。臭いし、手は汚れるし、下手したら服も汚れてしまう。しかも上手く貼るのは難しい。それが一昔前、チューブラーしかなかった頃のロードレーサーを「素人お断り」の存在にしていた。ロードバイクが一般化したのは、クリンチャータイヤがそこそこ使えるようになったのと大いに関係がある。

チューブラータイヤ危うし!

そこに現れたのがミヤタのチューブラーテープTTP-1である。

ナカミとしては、ミヤタがチューブラータイヤを貼るため専用に3Mと共同開発した「両面テープ」だ。

以前からこの手の「両面テープ」は存在していた。「リムテープ」と呼ばれていた時代もあった。しかしそれらは長期的な接着能力を持たず接着能力そのものも脆弱で、あくまで出先でパンクした時の緊急時用のものでしかなかった。作っている方もエマージェンシー用としか思っていないので、あまり真面目に作られた商品でもなかった。

TTP-1は、この手の分野のプロである3Mとの共同開発によって旧来のリムテープの枠を完全に超越した別次元の存在だ。

TTP-1は接着能力の安定度ではむしろリムセメントを上回る。しかも貼るときに手を汚すことはなく、剥がすときは99%以上がタイヤにくっついて剥がれてしまうのですぐに次のタイヤを貼ることが出来る。

取り説には寝ぼけたことしか書いていないのですぐゴミ箱に捨てて、具体的な作業としては、

  1. こんなふうにリムに貼る。軽く貼るだけでよい。リムへの圧着はタイヤに空気を入れることによって行う。

    Ttp1

  2. そして保護シールをこんな風に少しだけはみ出させておく。これがミソだ。

    Ttp12

  3. タイヤを保護シートの上から嵌めてセンター出しする。
  4. 先ほどはみ出させておいた保護シールを掴み、こんな風にホイールを回しながら一気に引き抜いてしまう
  5. そのまますぐ走り出しても特に問題はないが、完璧を期す場合はまず高圧までエアを入れて30分ほど置いた後、3barくらいまで圧を下げて数時間放置すれば完全圧着する。

このテープでよく聞く質問が「強度は大丈夫なのか?」だが、当然ながら素人が作ったものではなくてミヤタが絡んでいて、しかも製造はこのての製品の圧倒的第一人者である3Mがやったわけで、ある意味最強コラボ製品なのである。雨でズブ濡れになった時やハードブレーキングでリムの温度が急上昇したときでも固定強度が下がらないことをリクエストした上で3Mに作らせており、そのハイレベルな要求を満たす特注仕様となったため「両面テープ」としては図抜けて高くなったくらいで、実はリムセメントよりも悪条件に強いのが売りですらある。経験的にも、全く問題ない。むしろ固定強度が強烈すぎてタイヤを剥がすのが大変なのが唯一の欠点だと思う。女性のように握力が低いと、あまりにしっかり付きすぎているので手で剥がすのは不可能だろう。

箇条書きで長所を挙げると

  1. 貼る作業時間が圧倒的に短い。剥がすのも短いがこれは腕力次第。
  2. 手や服を汚す要素がない。
  3. リムを汚さないので、ブレーキ面にリムセメントが付着することによるブレーキへの影響が起きえない。
  4. タイヤのセンター出しが、やろうと思えば気が済むまでじっくり行える。
  5. タイヤを剥がすときに99%以上タイヤにくっついて取れてしまうので、次のタイヤをすぐ貼ることが出来る。

欠点としては

  1. 高い。実売3600円前後で、6本貼ると無くなる。1本分600円。一般市販されている両面テープとして世界一高いかもしれない。
  2. 剥がすときにほんど全部タイヤにくっついて取れてしまうのでホイールがすぐ再利用可能になるのは長所だが、逆にタイヤを再利用しようと思ったらテープを地道に剥がさねばならず、この時なまじっか強烈な接着力を持っているため剥がすのに必要な労力が半端ではない。タイヤ寿命の途中でタイヤを入れ替える用途には向いていない。
  3. 接着能力があまりに強いため、腕力のない人間は剥がすのが大変。

私はロードバイク復活してからTTP-1一筋だが、使用感は最高。もうリムセメントに戻る気は二度とない。

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コメント

チューブラーが一般的ではなくなったというのが驚きで,浦島太郎気分です.昔で言うところのWOが現在の主流なのでしょうか?

投稿: NAKAMURA BENWEB Wataru | 2006年7月 5日 (水) 01:14

毎回楽しみにして拝見させていただいています。ところで、このテープのリム一本分の重量はどのくらいなのでしょうか?ここは一番重さが気になる部位ですよね。私もこれがあるならチューブラーを使ってもいいかな、と思っています。

投稿: 六本木エキスプレス | 2006年7月 5日 (水) 11:28

はじめまして。
リムテープしか使ってないのにBORAはシンナーにドブ漬けしてるんですか??

投稿: x | 2006年7月 5日 (水) 22:59

BENWEBさん、まいどです。
いまチューブラータイヤは事実上「フルカーボンのチューブラー用軽量ホイールを使っている人間向け」で、店頭はクリンチャータイヤしか置いていないか1、2の限られた安物チューブラーを取りあえず用に置いてある程度の店がほとんどです。チューブラーを各種置いてある店など、かなりレース関係に気合い入っているかマニアックかのどちらかしかないでしょう。
レースであっても草レースではクリンチャーリム/タイヤで出てきてる人がほとんどです。クリンチャータイヤがほとんど使われていないのはプロツアーレースくらいです。逆に見ると、プロツアーレースではまだクリンチャータイヤはほとんど使われていません。あああと競輪もチューブラーだけですね。

六本木エキスプレスさん、はじめましてこんばんは。
今後ともよろしくお願いします。

1本分の重さ、たぶん20gないと思いますけど今度計ってみます。

Xさん、はじめましてこんばんは。
今後ともよろしくお願いします。

全部読んで頂いた方以外は当然出てくる疑問だと思いますが、私は今のところ所有した全ホイールを全て中古で手に入れていますので、当然ながら入手時は固着したリムセメでガッビガビだったりゴムがひび割れるくらい風化したタイヤがついたままの状態だったりするものばかりです。おまけに大抵フレてます。そんな状態のものでないと私の買える値段で転がってませんので。HYPERONとかBORAとかは、お店にフレ取りしてくれって頼んだら凄い値段を言われてそれで放り出すのかなと思ってます。もしくは新品でこれらを買える人は定期的に買い換えるのかも知れません。真相は知りません。

そんな風にたいがいえらいことになってるのを再生しては使い再生しては使いしているので、ガビガビに固着したリムセメを何とか綺麗に取る方法はないもんかと思いついたのがあの方法です。まだ書いてませんけどZIPPのディスクホイールを再生した時が一番強烈で、ガチガチに固着した推定10年モノのリムセメ取るのに延べ何日も掛かりました。途中で2回くらいこれはもうハナシにならんからやめようかと思ったほどです。この時に例の銅パイプをどついた器具を捻り出しました。

ちなみに経験的にドブ漬けにするほど浸けても除去効果は上がりませんのでドブ漬けはしません。前述のZIPPのディスクホイールの時にドブ漬けしても無駄である事を思い知らされたからです。
あくまで「いちいち塗る必要がない程度に浸ける」のが色んな面で一番ですね。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年7月 6日 (木) 00:20

ふ~~ん
これは驚いた!! 

昔はタイヤ貼るのには一週間かかりましたからね!
しかも、一発でまっすぐに貼らないとやり直しがきかなかったから、これは本当に驚きの商品です。

投稿: のんだくれ | 2006年7月18日 (火) 23:09

のんだくれさん、まいど。

よくできてますよ。私も最初は感心しましたし、よほどの事がなければリムセメントに戻ることは二度と無いと思います。

今の時代にTublarを使わない人は「何と勿体ない」と思いますね、私は。

もちろん、好きにして貰ったらいいんですけど。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年7月18日 (火) 23:59

私もリムセメント剥すのに苦労し、一気にベルトサンダーで削り落としていましたが(一般人には出来ぬ荒業)、これはなかなかいいですね^^
絶妙なベルサンでの削り加減から開放されるのは良いことです。

投稿: maxryu | 2006年11月15日 (水) 20:40

 こんばんは。私はこのテープ、使うのをやめた口です。タイヤのセットアップは確かに簡単!。センターだししたあとで接着すれば良いし、接着面が均一な厚みなので、タイヤもきっちりくっつくし、良い製品だと思いました。
 が、使って一ヶ月もしないうちに練習中にタイヤがパンク。道路わきでタイヤを剥がすのに息が上がるわ、汗は出るわ、時間は倍以上かかるわ、勘弁してくれ状態でした。また、私的にはテープはリムに残ってくれれば、スペアタイヤをさくっと入れれると思ってましたが、2/3はタイヤに、残りはリムにと中途半端な状態に剥がれてしまい、練習を中断して、ノロノロとタイヤが剥がれないように家に戻るしかありませんでした。
 また、リムに残ったテープも強力にくっついてますのでこそげるのに一苦労。取り除いた後のリムはきれいな状態ではあるので良いのですが。。。
 思うにこのテープ、決戦用ホイールでしか使えないですね。練習用に使うときは、サポートカー等が傍にいるような時でないと、えらい往生すること間違いなしです。

投稿: コロッケうどん | 2006年11月17日 (金) 17:29

コロッケうどんさん、こんばんは。
このチューブラーテープはリムとの相性が顕著に出ます。
手持ちのホイールでは、WH-7801Carbonだと、剥がすのはさほど難しくありませんが、
TEMPEST II Carbonだと、しっかりくっつきすぎて非常に苦労します。
接着力が強すぎるリムでは、仰るとおり、決戦用にした方が無難だと思います。

投稿: Carbon_Cloth | 2006年11月17日 (金) 23:48

 こんばんは。
 私はLIVESTRONG 9//26さんのこの記事に触発され,以前から使ってみたかったチューブラーを使い始めました。

 とは言え,使用したリムテープはミヤタTTP-1ではなく,TUFOの「GLUING TAPE(オレンジのパッケージ)」ですが。なぜミヤタではなくTUFOなのかといえば,あまり理由はなく,TUFOの同商品はホイール1本分で売っているからでした。

 これまで使用した結果,同商品及びチューブラーの使用感は大変良かったのですが,今までパンクをしなかったため,剥がすときの大変さ等については未知数でした。

 ところが,本日念願の(笑)パンクをしましたので,タイヤの交換作業がようやくできました。

 その結果,引きはがすのに力がいる(最初は金属製のタイヤレバーを使用しました)にせよ,ある程度剥がれてしまえば,後は力任せに引っ張れば,テープはほとんどタイヤ側に付いて全部リムからタイヤを剥がすことが出来ました。

 ごくわずかにテープがリム側に付いていましたが,大変物事にこだわらない私としては,「問題なし」として,次のタイヤをリムに貼り付けた次第です。

 なお,私の使用しているリムはMAVICの「MACH2セラミック(重い!)」です。オークションで手に入れた物なので,既存のリムセメントを取り除いて使用しています。

 また,ミヤタTTP-1とTUFOの同商品の違いについては,ミヤタの方を私が使用していないので,何とも言えませんが,TUFOの方は,テープ自体にある程度の厚みがあり,最初さえミスしなければ,剥がすのは難しくないと思います。

 リムとの相性もあるとは思いますが,ミヤタが駄目だった方はTUFOを使われてみてはどうか,と思います。

 ともあれ,これでタイヤ交換についても不安は無くなったため,これからはとりあえずチューブラー一筋でいきたいと思います。

 ちなみに,現在使用しているのはビットリアのSTRADAという安いタイヤですが,ラリーよりもクッション性が良くこれはこれで満足しています。今後,上位商品を使うのが楽しみです。

投稿: クロモリ | 2006年11月23日 (木) 17:49

>Carbon_Clothさん、クロモリさん
 大変参考になりましたm(_ _)m。私の場合は、出来上がったばかりの手組みホイール(新品アルミリムを使用)でしたし、より強烈にくっついてしまったんでしょうね(^^;)。今はカーボンホイールを持っていないので、あの惨劇(笑)を思い出すと、なかなか使う気にはなれませんが、リムセメントが無くなる頃に、再度考えてみることにします(^^;)。

 ちなみに、クロモリさんはリムテープも常に携行されているんですか?。かさばりません?。スペアタイヤはサドル下にストラップで縛っている派の私としては、大き目のサドルバックも探す必要がありそうで?(笑)。

投稿: コロッケうどん | 2006年11月24日 (金) 11:25

 コロッケうどんさん,こんばんは。
 
 私が走りに行くときは,リムテープも常に携行します。TUFOのリムテープはスティック状に包装されていますので,背中のポケットに入れていますよ。また,長さが中途半端なので,小型のカッターナイフも背中のポケットに入れています。一度も落ちたことは無いですよ。

 ちなみに,私もタイヤはサドルの下にストラップで縛り付けています。私は予備のタイヤを1本しか持っていきませんが,今中大介氏は,走りに行くときはタイヤを2本持っていくなどと著書の中で書いておられ,2本目をどこにセットしているのか気になります(笑)。

投稿: クロモリ | 2006年11月27日 (月) 19:35

>クロモリさん
 ご回答、ありがとうございましたm(_ _)m。スティック状なテープなら具合が良さそうですね。参考になります。

 2本目のチューブラーですか。知人で、古くなったボトルの頭をカットして、折り畳んだチューブラーを入れていた人がいました。しかし今中氏なら、会社で取り扱っているような大きめのサドルバックに入れているかも(^_^;)。

投稿: コロッケうどん | 2006年11月30日 (木) 23:17

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