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2006年8月17日 (木)

全ての潤滑油は信心である

あらゆる潤滑油は信心である。

なんだって効くと思えば効く気がするし効く気がした時点でもう効いている。効かないと思いだしたら実効がどうであろうと効かない気がして、それは効かない気がする時点でもう効き目がない。

気にしない人は全然気にせず、拘る人は気にしない人から見れば謎に満ちた行動をとる。

これが宗教でなくて何だ。

Muslimが1日5回祈る。Muslimでない人には意味が分からない。

神社で二礼二拍一礼をする。それを正しい行動だと思っているから奇異に見えないだけのことで、知らない人には何の踊りだと思われて不思議はない。

信仰に基づいた行動とは、ことの大小にかかわらず信じている人間には何の不思議もなく、信じていない人間にはひたすら奇異だ。

自転車の世界に限らず「どの潤滑油が良いか論争」はまず間違いなく解決しない。

宗教戦争だからだ。

自転車の世界における潤滑油の良し悪し論争など可愛いもので、エンジン付き乗り物におけるそれはもうまさに言葉通りの宗教戦争に近い。そしてこの話は奇しくも宗教と同じくが絡む。歴史ある宗派や新興カルト、果ては金集めのためのインチキ宗教まできちんとある。

「ミシン油で十分だ教」のようなお布施とかほとんどない地蔵信仰めいた昔からの民間信仰(なおこのミシン油で十分だ教は案外馬鹿に出来ない)があったり、 数ミリリットルのオイルに何千円ものお布施を要求する拝金主義なものもある。ただのケーブルに何十諭吉を惜しげもなく喜捨する領域まで達したオーディオ教皇庁枢機卿の方々にすればオイルやグリスの高い安いなど目くそ鼻くその可愛いモノで、きっとそのような人に「数mlで何千円」は安いのだろうが。

産業モノの悲しさ?で、凄く有り難がって大枚を注ぎ込まれているブランドケミ カルが実はホームセンターにおいて呆れるような安価で売られているメーカーのOEM品で、時に成分まで同じだったりする。メーカー側もケミカルが宗教であることを利用して売っている側面が少なからずあるので余計話をややこしくする。真面目に開発し売っているところと眉唾ケミカルを売りつけて暴利を貪っているところとが混在するので、時々登場する謎な名前が付けられた添加剤にしても本当に意味がある技術の産物なのか単に値段を高くするためのチチンプイプイなのか、素人にちゃんと判断できるとは思えない。メーカー間のOEM関係も加わって話をとてもややこしくする。それこそ研究開発を行っている専門家でもなければ本質を見抜くのは無理ではないか。

私はほとんど無宗教の人間である。それが関係しているのか、ケミカルも「なんでもいいんじゃ?」に近い。内容よりメンテナンス頻度の方が問題だと 思っている。それは「素人がケミカルに凝って高級志向に走るとスカに大枚を払わされる可能性が高い」と思っているからなのも多分にある。考えてみれば二輪/四輪のオイルもブ ランドものから聞いたことがないような謎のメーカーまで覚えているだけで6社は試した。もろにノンポリである。なお経験的にエンジンオイルはクソ高いものを有り難がるより安物を短いサイクルで交換した方が明らかにエンジンの調子や燃費が良かったが、これも正解でも何でもなくて単なる一例に過ぎないと思う。

ケミカル類は、凝る人だとメーカーや銘柄をガチガチにキメるだけでは飽きたらず「独自ブレンド」までやり始める。もう有名になってしまったので独自でも秘密でもない が、RESPOのチェーンスプレーとチタンスプレーをブレンドしてチェーンに吹くのはこの手の独自ブレンド使用法の定番だった。確かRESPOのHPにも書いてあったような。本当にそれがいいならどうして最初から両方混ぜたやつを出さないのか不思議だ。エンジンオイルでも添加剤教が昔からあるが、本当にその添加剤が必要で効果的なら何故オイルメーカーが安物オイルはともかく高級オイルにその添加剤を最初から加えないのかと考えると怪しさ満点である。だいたいエンジンオイル自体もともと添加剤だらけではないか。

ショップ、特にハブに標準より高精度なベアリングを入れたりするチューニングまでやっているようなショップでは、ハブの潤滑に非純正品を使うことを 標榜している場合が多い。また独自にチョイスしたグリスを更に独自にオイルと混ぜてみたり、はたまたお店によってはグリスならぬオイルをハブ潤滑用として使用する事さえあり、定期的メンテナンス(もちろんそのお店で)が 不可欠である事も注記してあったりする。確かにハブの潤滑にオイル使用となると完全に“一発用”の領域で、200kmも走らずハブを開けメンテをやり直すくらいのメンテナンスサイク ルで使用して然るべきだろう。なんだかもうF1であるとか2輪WGPマシンであるとかの世界だ。そこまでやっても実際の走行時にどのくらい軽くなるかは怪しいが、当然そのくらいとんがった「寿命縮まるもやむなし」系チューニングにまで踏み込むとハブ単体での回転の軽さは異次元のモノがある。が、これに意味があると思うかどうかはやはり宗教色が濃い。正直、無負荷で回した時にクルクル回る「だけ」でいいなら私にも出来る。しかしそれが高負荷時でも同じように回るかどうかは私では検証しようがない。そのショップが本当に意味があることをやっているのかチチンプイプイ系なのかは素人判断できないと思う。もはやそのお店を信じられるかどうかだ。うーん、これはまさに宗教だ

私が特定のケミカルについて誉めてもけなしても、万人の賛同は絶対に得られない事は明白。先のミシン油で充分に始まりRESPO最高とか Voodooが一番とか、たかが自転車用ケミカルであっても結構な数の宗教が溢れているからだ。おまけに書いてる本人がこだわっていない。わりと何でも 使ってみるので「〜でなければならぬ」と固まってしまっているコアな人には論外だろうし。

それでも参考になることもあるかも知れないのでぼちぼち記載予定。

レスポが最高だと思っている人は他のものを試そうとは思わない。

が、ノンポリな私は特にどれが最高だと思っていないので試すからだ。

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コメント

毎度です。
 オイル・グリスについては、PTFE系は疎水性だからいいとか、チタン微粒子は潤滑性がいいとか、いろいろありますが、どれも自転車用は矢鱈と高価ですね。特に高価なのが、自転車用と銘打っている「ゴム・プラスチックを傷めません」という但し書きの付いたオイルやディグリーザーですが、ホームセンターに行くと、同じく「ゴムやプラスチックを傷めません」という但し書きの付いたオイルやディグリーザー安く売られています。まあ、臭いが悪いとかという問題はありますが、オレンジピールですら、オレンジ「らしき」においがするというだけで、決していい匂いではありません。
 「ケミカルメーカーは、自転車好きは金回りがいいと思っているのか?」と思うくらい、汎用品との差があるので、困ったもんです。
 種類によって大きく特性が異なるのはグリスくらいでしょうか?あれは粘度や成分によって大きく特性が変わってきますから、ケミカル製品でこだわるのは、グリスだけでいいのかもしれません。
 余談ですが、日本人以外(特に東アジア人以外)に、「私は宗教を持っていません」と言っちゃダメですよ。知人がヨーロッパに行ったとき、「あなたの宗教は何ですか?」と聞かれた際、「ありません」と答えたら、それ以来「信頼できない人物」という印象を持たれてしまったそうです。話を聞くと、どうやら、宗教は個人個人持っていて当たり前で、大多数の人が宗教に関心があり「信じている宗教を持っていない」が通るのは、宗教事情が意味不明な程無茶苦茶な日本くらいだそうで、「一人の宗教を持っていない人物」ではなく、「宗教のような極めて重要な事も自分で決められない、信頼の置けぬ人物」という印象を持たれるらしいです。
 海外旅行の際はお気をつけ下さい。

投稿: Carbon_Cloth | 2006年8月17日 (木) 09:36

おはようさんです。

まぁバイクに『匂いが好き♪&あたしみたいなんでもこぼれにくい注ぎ口が好き♪』という意味不明な理由でモチュールを入れている私がケミカル品に対してどうのこうのはレベルが高すぎる話ですが(笑)。

自転車のことはよくわからないけど、宗教のハナシになると確かに外国人の方は日本人を不思議に思うようですね。
結婚式は(疑似?)キリスト教様式や神式であるのに、葬儀は仏教様式であったりしますしね。
外国人の友人に私も『日本人が信仰している宗教は何?』と聞かれたときに、私は『基本的に日本は仏教が多いとは思うけれど、結婚式はキリスト教様式であったり様々。多分、仏教もキリスト教も外国から伝わったものだから、それぞれが信じる宗教というのは確立されている場合は少ないと思う。ただ、日本でいう『神』とはイエスでもなくブッダでもなく、大地の神・海の神・空の神の様に『Like a goust』であり、日本人が信じているのはそういった沢山の神々であってそれに対して宗教名が存在しないだけで、信じている神がいるのは確かだよ』と答えた記憶があります。


投稿: あーこ | 2006年8月18日 (金) 09:06

Carbon_Clothさん、まいどです。
私もクリーナー系が一番ボッタクリだと思います。
巨大カンで300円しないクリーナー使ってますけど、何の問題も出ません。
リムセメントクリーナーが超弩級のボッタクリであることも以前書きました。

海外でreligionを訊ねられた場合はZen sectと答えています。信仰心のあるなしでしか考えることができない二元主義な思考回路を真面目に相手するのは私にとっては虫相手に真面目に喋ってるのと同じくらい馬鹿馬鹿しいし、実際ウソではなくて禅寺に何回も行っているからです。フランス行った時はたまたま日本について興味をもっている人がいて、座禅してみせたり漢字で「禅」と書いてあげたりしたらめちゃめちゃウケました。別に入信したとかではありませんし、私の行っていた禅寺も「求めるものがここにある人は自ずとやってくる」がポリシーで、入信とかなんとかカタチばっかりのウルサイことは一切なしのお寺でした。禅宗は私には宗教ではなく自己と向き合って掘り下げる瞑想です。信仰として禅宗を捉えている人とはやや違う視点で見ていると思います。

あーこさん、まいどです。
私もMOTULのエステル臭はけっこう好きです。最近の低粘度競争でちょっと影が薄くなったような気がしますが、9000回転からの伸びはMOTUL入れた時が一番良かった覚えがあります。それとMOTULのオイル容器は確かにこぼさず入れやすいと思います。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年8月19日 (土) 10:20

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