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2006年10月11日 (水)

5ROT

Img_0625

既存技術の完成度が何処まで行っても、新しいアイデアとそれをカタチにする熱意ある人は無くならない。

遂に現れた、ドイツ5ROTの油圧シフトシステム。

Img_0622

こんなシフターで変速する仕組み。油圧なのでシフターにも変速機にもラインが2本ある。

864h4

FDはこんな感じ。

特徴は

  1. 油圧なので、ワイヤーと違ってどんなに複雑な変速ライン(変速「ワイヤー」ではないので)の取り回しをしてもシフトが重くならない
  2. 1つの変速機に対してシフターを複数箇所取り付け可能
  3. 変速機そのものは意外と軽量で、FD、RD共にSHIMANO XTRより軽い
  4. ワイヤーの“初期伸び”や経年劣化による変速性能劣化がない

など。欠点は、ワイヤーの場合最終的に断線してしまわない限り劣化しても使用そのものは可能だがオイルラインの場合は一カ所でも孔が空くとそこから圧が漏れてシフト不能になる点。もっとも現実には命に関わるものであり変速機よりも遙かに信頼性を必要とするブレーキの方がずっと前から油圧式で実用化されている事を考えるとこの心配は杞憂だと思う。5ROTは現状MTB用の9speed用だけであり10speedロード用は今のところ発売予定はない(ロードでも9speedなら普通に流用可能)が、電動DURA-ACEが発売されるとして、信頼性的な観点から見ればむしろ電動よりも油圧の方が安心だろう。何故なら断線は油圧だろうと電動だろうとあり得るが「電池切れ」は油圧ではあり得ないからだ。

ショーで展示されかなり注目を集め、SHIMANOの社員も熱心に触っていたそうだ。シフターの形状にいまいち熟成不足を感じないでもないがとにかくフリクションロスがないのでシフトの感触は思いのほか軽くて素早く、変速はスパスパ決まり作動の完成度は極めて高いとか。現在ロード用のコンポで用いられるトップノーマルのRDにおけるシフトダウンつまりワインドとはスプリングをエイヤと引っ張りつつチェーンを大きなギアに引っ掛けることで成り立っているのだから、軽くするのは並大抵の努力ではない。それを長年の工夫と改良で乗り越えてきた。SRAMのコンポがシマノに比べワインドが随分重く感じるのは、そのあたりの工夫のノウハウの違いなのだと思う。例えばシマノロードコンポの場合ワインドはリリースに比べてストロークが2倍になっているが、これもワインドを軽くするための工夫だ。言葉で書くと簡単だが、内部構造はそれだけ複雑になる。これが1本線のリリース/ワインドではなく2ラインプッシュプルの関係になる油圧の場合、2本あるラインで「片側から押し、もう片方から引く」をシフトアップの時もシフトダウンの時も行うことができる。しかもワイヤーの摩擦や変形がもたらす抵抗がない。これはもうシフトが軽くなって当たり前だ。シフターの写真でエンドミルの切削痕を見れば分かるようにネジ以外のほぼ全ての部品がCNC削りだしで作られている贅沢な作りのようで、大量生産は出来ないが試作品O.K.即生産開始のような製造工程なのだろう。CNCオーラ迸りまくりの外観と、上手く使われた赤が嫌が応にもカリスマ性を高めている。

FD、RD、シフターのセット1505ユーロは凄いが、さすが一品一品手作りのオーラが漂っている。ここまで金をかけて丁寧に作っている事も油圧シフト方式からくる不安感をある程度払拭しているかなと思う。CampagnoloのRECORD程度で高いとか何とか抜かしている人間はもう裸足で逃げ出す値段だ。なんせRDだけでも900ユーロほどもするのだから。

結局9sと10sの違いはシフター側の1操作におけるRD移動量の違いだけなので、シフターさえ10speedの送り量対応してくれさえすれば即座に10speed対応は可能であり、シフターさえ出れば「即買い」するかも知れないんだけどなあ。シフターの設置場所とオイルラインの取り回しさえ熟考すればブルホーン部とエアロバー部の両方にシフターを取り付けるのは何ら難しい事ではない。これがあれば電動はあまり必要性がないかなとすら思う。先に書いたように、機械作動でありながら電動に近いメリットを持ち、電動にない長所まであるからだ。

早速5ROT側に10speed化のリクエストメールを送ってみた。

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コメント

 LIVESTRONG 9//26 さん,こんばんは。

 油圧シフト方式ですか…。確かに,大変興味深いですね。私もLIVESTRONG 9//26さんと同様に,少々電動式よりも油圧式の方がシフト能力が劣っていたとしても,電力(バッテリー)切れが無いという点で,油圧式の方が安定して高性能を発揮できると考えることから,油圧式の方に魅力を感じます。

 電動式の一番のメリットは,おそらく油圧式よりも圧倒的に安く作れることにあるのでしょう…。シマノも当然,技術的には油圧式シフターを作れるのでしょうが,コストとのバランスを取って電動式を採用するのだと思います。マスプロメーカーとしては賢明な判断だと思いますが,だからこそ5ROT社のような製品には魅力を感じますね。

 まあ,未だSTIを使うべきか否か迷っている私にとっては,レベルの高い話ではありますが(笑)。

投稿: クロモリ | 2006年10月11日 (水) 21:03

10年ほど前に「White Industries」の「Linear Motion Derailer System」がワイヤーの2ライン(本当はループした1本ですが)で似たような機構を作って同様の性能を達成して居ましたね。あれを思い出しました。

リアディレーラーはスライド式のオリジナルで、フロントはXTの改造品でした。シフターはグリップシフトもどき。

ワイヤーのフリクションロス自体は倍になるんでしょうけど、変速機にバネがないためワイヤーに負荷がかからず実際の動きはとても滑らか。結果としてフロントのアップとリアのダウンとが驚くほど軽いのですが、アウターの長さが倍になるので重量的なメリットは得られません。家に一式有るのですが使って居ません。最近のMTBはケーブルをトップチューブから取りまわすので物凄く邪魔になるのです。

投稿: ozaki | 2006年10月12日 (木) 11:10

クロモリさん、まいどです。
ユニークな5ROTの油圧変速システムですが、今のところあくまでMTB用ですので、そのままロードに使った場合はマイナス面が少なくないとは思います。
5ROTでは油圧なのでフリクションロスが桁違いに小さいのと、シフトアップもシフトダウンも何ら反力を押さえ込む必要がないため、シフトは相当に軽いはずです。ただ、ozakiさんもお書きの通りトータルで見た場合の重量的メリットはむしろマイナスでしょう。だからMTB用だけの発売かな?とも思います。軽くすることはできない変速システムでこの値段で、ロード用として売り出しても買う人は限られるでしょうからね。

ちなみにSTIは使えるなら使った方がいいと思います。あれは自転車史上有数のイノベーションだと思います。

ozakiさん、まいどです。
トータル重量と変速ラインの取り回しの問題では5ROTが旧来システムに勝るのは難しいでしょうね。ただ、油圧の場合は直角やそれ以上急角度に曲がるようなラインの取り回しでもフリクションロスが発生しない利点があるので、複雑な形のフレームであるほど優位が出るかも知れません。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2006年10月19日 (木) 21:23

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