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2007年1月 6日 (土)

強化作戦・戦力15諭吉

どんなホイールを買うのか
について質問を頂いたのでちょっと考えてみた。

ZIPP Mid-V280は現行品ではないので285の事だと思うが、このリムとDURA-ACEハブ、DTスポークで組んだ場合、SHIMANO WH-7801-carbon-50(7801の前にRは付かないのが正解)はたまたリアのディスクホイール(これは銘柄指定無し)だけを買うか。

予算は15万円

目的は鈴鹿のTT&チームTT

「正解」は無いのではないかと思うのだけど、少なくともZIPP 285の手組とWH-7801-carbon-50とでは相当に趣の異なるホイールになるのでそこらの比較から入ってみたい。

ZIPP 285
リム重量290g(大本営発表値)、ハイト44mmのフルカーボンリムである。

WH-7801-carbon-50
LEW Racing謹製のリムは400gほどだ。実測でだいたい400〜415gくらいらしい。

LEW製の割に軽くないのは結局「コストダウン」が絡んでいると思う。ワタシの見た限り、SHIMANOのカーボンリムホイールは案外リムに金を掛けていない。むしろ、リムにほとんどの金を吸い取られてしまい残りのパーツをジャリ銭かき集めて構成したような作りが多いファクトリーコンプリートホイール界にあって、ハブとかスポークとかにかなり金を掛けているのが長所だと思う。

正直な話、違う種類のリムですね、これは。

重さだけで見るならWH-7801-carbonとWH-7801-carbon-50くらい違う。しかしZIPP 285のリムハイトは“50”にほとんど肉薄しているのだ。当然だが、これだけ軽いのだから同じ耐久性あるんですかと聞く方がおかしい。正月だからいいか。

そして「DTのスポーク」も色々で、まさかこのリムをchampionの2では組まないだろうけどrevolutionで組むのかaeroで組むのかで違うし、aeroにしてもaeroliteなのかaero speedなのかnew aeroなのかで重さが結構違う。

手組みする場合は何Hで組むかも選べる。
ここ一発用、自転車乗りのみなさんが大好きな表現である「決戦用」にするならF18のR24、スポークはaeroliteだろう。DURA-ACE 7801ハブのエアロスポーク用F/RハブのH数とも適合する。素晴らしく良く転がる、軽くてエアロなホイールの完成だ。スポーク1本1本への負担が高く耐久性はさほど期待できないが、登りでもWH-7801-carbonと比べて何ら遜色のない戦闘力がある。ワタシがコレで組むならF18のR24でスポークはSAPIM CX-RAYにしたい。CX-RAYは国内だとクソ高いし入手難だから輸入する。輸入しても高いことは高いけど、ここ一発を託すホイールを折角自分でアセンブルするんだからその辺妙な妥協はしたくない。スポーク数を少なくして戦闘力を上げようとしている以上、そのぶん余計に信頼できるスポークで組みたい。そのあたり、さりげなくSAPIMにOEMさせたストレートスポークを使っているWH-7801-carbonと同50はやたら「通」なファクトリーコンプリートである。大メーカーが量産するファクトリーコンプリートの利(=変なスポークを特注しても単価が下がる)をきっちり活かした上で必要なとこに金を掛けてある。

物凄くシブい組み方としてはこれであえてF/Rとも32Hにしてスポークはrevolutionにしたり、もっとシブくしてSAPIM LASERにしたりする手もあるが、シブすぎて一発用なんだか通な奴だと見て欲しいのかよく分からなくなってくる。軽量化競争じゃないのでハブをtuneにするような飛び道具は考慮外としても、選択肢は多いのだ。

ファクトリーコンプリートは考えるのが嫌な人向けなのだと思う。

自分でアセンブルするホイールにはっきりした「答え」は存在しないので、自分で考え自分で決めなければならない。

それとメンテ嫌いな人向け。手組のF18/R24でそこそこテンションを上げるとすると、定期的なチェックやフレ取りは欠かせない。それがファクトリーコンプリートだとこのくらいスポーク少なくてもそんなに問題ない。専用ハブにストレートスポークで、普通では考えられないハイテンションに耐える作りのものが多いからだ。

さて、話が延々続いたが、最後の選択肢。
リアディスクホイールだけ買う。これも15万円あれば可能だ。

Lightweight Discを買おうとか思わない限り、15万円あれば大抵のディスクホイールは新品で買える。PRO、CORIMA、ZIPPのどれも手が届く。マニアックな選択肢でAMANDAの檜リムカーボンディスクなんてのもあるがこれはぎりぎり15万円では買えない。また話がそれて申し訳ないがアマンダの千葉氏はホイールに関しても一家言ある人で、独自の理論に基づいたバトンホイールとかディスクホイールを作り続けていて面白い。一番大事なのは重い軽いではなく歪まずに回る回転体であること云々…と、氏のホイールに関する持論は一般自転車業界で語られる「良いホイール論」とかなり違う視点のユニークなものなのだが、氏の理論に基づく採点ではLightweightはとても良いホイールだったり(軽いからではなく歪まずに回るから)して、その理論に則って作られた作品群は一見突飛だが単に素材や工法の現実的選択肢の結果ああなっただけで実はさほど奇異な理屈をこねているわけではなかったりする。ホイール1組60万とかで売って買ってくれる市場があるならまた全く違うものを作る可能性は高いと思う。

買える買えない話はいいとして、ディスクホイールの特性。

  1. 正面からの風に対してはエアロバトンホイールやディープリムと同程度であり、ディスクホイールが特に有効なわけではない。
  2. 斜め前からの風に対しては、他のあらゆる形式のホイールよりも圧倒的に空気抵抗が低い(幾つかの実験で実証されている)特殊な性格がある。それをセール(舟の帆ね)効果と推定する話が多いが、確証らしき論文等はまだ見たことがない。
  3. 空力の良さを発揮し得ない場合、有利な点は何ら見あたらず、重い分だけ逆にハンデとなる。

高速で走る時は見逃せないアドバンテージがあり、速く走らない場合は全く無効などころかマイナス面すらあるのがディスクホイールだ。最も極端な一発用だろう。ご存じ?の通り、鈴鹿はあんまり平坦でない。登り…と表現したら坂が怒ると思う程度の登りだが、そこそこ凸凹している。ディスクホイールは長時間使うとウェイトトレーニング状態に突入するだろうなあ、と。逆にそこそこ下りもあるので、この下りでガンガンに飛ばす気ならディスクホイールは充分意味があると思う。鈴鹿は風も強いので、例の「斜め前からの風にはディスクホイールが一番」がけっこう生きるハズだ。下りだと足が止まるような人にはディスクホイールなど全く無意味だが、下りで足を止める人間がチームTTに出ようとは思うまい。

うだうだ書いてきたが、私ならどうするか。

2時間以上走るのなら、ZIPP 285 F18・R24/DURA-ACE 7801ハブ F18・R24/SAPIM CX-RAY

長くても45分以内で勝負が付くのなら、10万円でCORIMA Disc(これはよく探せば10万をぎりぎり切るくらいで新品を売っている店がある)を買い、残る5万でZIPP 285を買って、残額で買えるパーツ(この際あえて性能無視)を寄せ集めて前輪を組む。

にすると思う。TTでなければディスクホイールは考えないが、お題はTTとはっきり決まっているからそんなに難しくない。

WH-7801-carbon-50は買わないの?

これは既に色んなホイールを持っている人向けだと思う。
それに最も安いお店でも17万円弱する。

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コメント

>LIVESTRONG 9//26 さん
とてもためになる記事ありがとうございます。
また何かあったら質問させてください。
よろしくお願いします。

あ、あと、手元にKINLINのXR-300(24H)とDTのnew aeroがあるのですが、デュラハブと組むとどんなホイールに仕上がるのでしょうか?

投稿: NoRi | 2007年1月 6日 (土) 11:49

NoRiさん、まいどです。
手組で作ったEURUSのようになるでしょうね。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2007年1月 8日 (月) 19:37

こんちは~
去年似たようなホイルをショップで手組みしてもらいましたよ。

ZIPP 285
DURA-ACE 7801ハブ F18・R24
SAPIM のなにか知らないエアロスポーク
(10本で3780円のヤツ)

岡山国際サーキットの6耐や‘おきなわ’で役立ってくれましたね~
神経の鈍い人間なモノで違いはサッパリ判りませんけど、15万以内でディープリムを購入できてかなり満足しています♪
またフレ取りしてもらいに行かなきゃ。

投稿: JIN | 2007年1月 9日 (火) 17:37

JINさん、まいどです。
その10本で3780円もするSAPIMのエアロスポークがCX-RAYです。
これで腕のいい人が組めば、大抵のファクトリーコンプリートは問題じゃない戦闘力が得られます。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2007年1月 9日 (火) 18:50

うぅ~ん…。
ホイルの戦闘力を活かせず‘おきなわ’惨敗でした。
道具だけじゃ~ダメってこと。
努力・時間・お金(そして知識?)、すべてに全力でいきたいトコだけど。
私の場合、まだまだ‘努力’が足を引っ張ってるかなぁ。
とりあえず今はLSDと筋トレに集中してます。
近い内にまた山科に帰りますんで、練習に付き合ってくださいまし♪
トラックの五月蝿い湖岸道路をブイブイ言わしましょうぜ!!

投稿: JIN | 2007年1月 9日 (火) 22:40

こんにちは

毎度、目から鱗な記事ですね!当方、渡来アスリートで、来シーズンに向け13諭吉ぐらいを目安に新しいホイールを物色してたんですが、記事を読んで手組みって作戦もありかっと思いました。でも、普通素人は手組みなんかできねえからショップに頼まないといけないですね。LIVESTRONG 9//26さんは何本ぐらい組んだことがあるんですか?

投稿: cano | 2007年1月10日 (水) 00:34

JINさんまいどです。
自転車の場合はどれだけマシン側を強化してもエンジンは100%自分持ちですからねえ。
今の寒風吹きすさぶ湖岸をあえて走りたいとは思いませんけど、暖かくなったらご一緒しましょうか。

canoさんまいどです。
そうですねえ〜。出来ないと思い込まずにやってみれば案外できるんですけど、それでも最初はあんまりうまく行かないと思いますので、無責任にお勧めはしません。「作業」は結局ある程度の数をこなさないと上手くなりませんので、最初の2組くらいは“試作品”と笑ってしまえるものでないと“失敗”したことになってしまうかも知れない。カーボンリムにDURA-ACEハブとエアロスポークのホイールを組むのにいきなり挑戦するとすれば、私も無謀だと思います。簡単な作業であったとしても、最初から上手い人は居ない。「できる」と「上手い」とは別です。たかが米をとぐだけでもできると上手いは別ですから。どのくらいのペースで上手くなるかはセンスとか回りの環境とかに大きく左右されますが。私も14の時に組んだホイールはお世辞にも良くできてません。でもこれが慣れて来ると「フレ1mm以下など笑止」で普通の世界になってきます。一番最近やったのでは、いずれ書きますがメーターを導入したお陰が圧倒的に大きく、最大フレ幅で0.08mmにしました。それでも「上手い人」ではなくて「出来る人」の区分に入る程度だと思います。単に、良質な作業機械のアシストがあって作業手順を知っていて根気があるから出来ているだけのことで、上手い人はもっと素早く無駄なくやり遂げてしまうでしょう。

組んだ数は、数えていませんのではっきり分かりませんが少なくとも10は超えてます。他人の分までやってますので。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2007年1月16日 (火) 11:19

古い記事へのレスですみません。
SAPIM CX-RAYはどこの海外サイトから買っているのでしょうか。

投稿: mk | 2008年10月 1日 (水) 21:13

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