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2007年4月 1日 (日)

勇者ペルセウス

Perseus

世界でベスト5に入る軽量ブレーキキャリパー“PERSEUS”

ちょっと前までは世界1位、その後2位だったが今は後続がいろいろ現れて2007年現在は世界2位を確信できない。

ギリシャ神話の英雄の名前を冠したブレーキだ。

どうして世界唯一のペア100g未満「ORION」にしなかったのか?

やはり剛性不足を懸念したからだ。ORIONがPERSEUSに剛性で劣ることはax lightness自身認めている。故にPERSEUSはORIONが出ても生産継続であるどころか、ORIONとは別に「グランツールでの使用実績あり」とアピールすらされている。単純にORIONが上なわけではない。

そして奇しくもPERSEUSを装着した初日、初走行開始わずか10分ほどでいきなり「その場面」がやってきた。

推定42〜5km/hからのパニックブレーキである。

その数秒前にスピードを見たときは42.x km/hだった。それから更にペダルを踏み込んだ直後、左ミラーを全く確認していない普通乗用車がウインカーを出すと同時に左折。思いつきだけで運転している下手糞ドライバーにありがちなアレだ。この下手糞はいずれ原付か横断歩道の歩行者あたりを巻き込んで痛い目に遭うだろうが、突っ込んで自転車がぶっ壊れたり腕や脚が折れたり打ち所が悪ければ三途の川を渡ったりするのはドライバーではなくこちらなので、憤慨する前に己を守らなければならない。自転車など自動車のドライバーに僅かの悪意が介在すれば簡単にあの世送りにしてしまえる脆弱極まりない乗り物であり、他人がルールを守っているからこそ気分良く走れるだけの危ういバランスの上に乗っている。故意か偶発かに関わらず、危局は突然やってくる。

フルブレーキングしながら、突っ込んでしまう事を覚悟した。
が、ぎりぎりで止まれた。
接触までの余裕はせいぜい30cmほど。
40km/h以上からのフルブレーキングにPERSEUSは耐えた。

ORIONだったら30cmを使い切った可能性が否定できない。

このパニックブレーキを無事クリアしたことで私のPERSEUSへの信頼は確固たるものになった。長期耐久性に関してはこれからだが、少なくとも性能としては日常使用に耐える。

当然だが、速度制御装置としても問題なく機能する。

フルカーボンのイメージからスポンジーなブレーキフィールを想像するならそれは間違っている。PERSEUSをフィールでもストッピングパワーでもはっきり上回っていると断言できるキャリパーは、私の使ったことがある中には唯一BR-7800しかない。案外、ZERO GRAVITYの方が妙なフィールだ。強度を確保するためアームはアルミ製のブレーキでは考えられないほど前後にボリュームがある。グラマラスだ。

セッティング、特に片効き調節に関しては、ちょっと調節ネジを回してやれば30秒で終わりのシマノ製デュアルピボットブレーキしか知らない世代にとって「石器時代のブレーキ」の趣があるかも知れない。ワイヤーの固定方式からしていきなり物凄く面倒だ。そしてこのPERSEUSにおいては、かなり神妙な調整を入念に行わないと本来の性能を出せない。シングルピボットのブレーキをきちんとセッティングできない人が使うと「全然きかねーぞゴラァ!」になってしまう虞が大である点ではZERO GRAVITYのブレーキと似ている。ZERO GRAVITYのブレーキだって本当はちょっと強く握れば2本指で後輪が浮くくらい効くが、PERSEUSに輪を掛けて神妙な調整がなされていないと本来のストッピングパワーが出ない。大変珍しい漸進式可変レバー比だから、その特性を分かった調整をしないとまるで効かないのだ。ZERO GRAVITYのブレーキを捕まえて効かない効かないと怒る人は十中八九セッティングミス(シマノのBR-7800より効かないのは間違いないが)だと思う。超軽量機材は、人に教えて貰わないとセッティング出せないような人間は出入り禁止なのだよ、基本的に。ましてやモノがブレーキとなると、初級者がいちびって装着しセッティングミスすれば即座に死に繋がる。日本のヒルクライム王の一人である筧選手は、フレームにMadone SSLを使ったり(SSLxだったかも知れない)ホイールにLightweightを使ったりとかなりお金を掛けて軽量なロードを作り上げているが、それでもかつて

「安全に関わるものだけに軽量ブレーキだけは手を出すつもりはない」

のような事を明言していた。これが王道を往くものだと思う。PERSEUSとかORIONに手を出す方がジャンキーであり狂っている。装着においてポカをしたらあっさり死すら招くギリギリの線で、決してポカはしない確信がある者だけ手を出す領域だろう。それでも人のやることに100%はあり得ない。最も危険な香りのする軽量パーツだ。

装着して初走行の走行開始10分でもうパニックブレーキである。しかも40km/h以上からだ。いつも40km/h以上で走っているわけでもないのに。

「まさか」

と思う。私もそんなに早くパニックブレーキの実地テストをやる羽目になるとは勿論思っていなかった。

でもそれはやってくる。

「ちょっとセッティングが甘かったかな」

とあの世で頭を掻いても遅い。

「危なくないんですか」などと聞く人は一生カウチポテトに限る。人間は自分の身長から頭部を自由落下させれば脳挫傷で死亡するし、水深10cmの水たまりでも溺死するのだ。BR-7800を使っていても死ぬときは簡単に死ねる。

どうしてPERSEUSを使うの?

その理由を探すために使うんだ。

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