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2007年6月11日 (月)

Giro d'Italiaでのザブリスキー

David Zabriskie
現役で最もTTに強い選手の一人である。

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ザブリスキーと来れば、2005年のLe Tour de France第1ステージでランス・アームストロングを破り、グレッグ・レモンが1989年に作り不滅の記録かと思われていた(現在とは異なる車両レギュレーション下で達成された記録であるため)Le Tour de France個人タイムトライアル最高平均時速記録を遂に抜いて塗り替えた選手である。彼が当代随一のTTスペシャリストである事を雄弁に物語る大記録だ。

cervelo P3Carbonのトップチューブにはその記録が誇らしげに書き込まれている。ツール・ド・フランスの個人タイムトライアル史上最高平均速度を記録した自転車である、と。

そのザブリスキーも今年からランディス・ポジションだ。

ザブリスキーは「TTにも強い」レベルではなくてTTなしでは語れないくらいTTの選手なので、彼がこのフォームを採用するのはメリットなしにあり得ない。2006年にランディスがやっていた当時は股関節の痛み云々で説明が付いていたが、ザブリスキーは股関節を故障していてその痛みを和らげたりする必要が全然ない。なのにこうなっている。

下の写真は、2006年の世界選手権個人TTチャンピオン、ファビアン・カンチェラーラ車のもの。やっぱりランディス・ポジションである。

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なお、この時僅差2位に入ったのがザブリスキー。つまり2006年の世界選手権個人タイムトライアルの1、2コンビは2007年から揃ってランディス・ポジションを採用したのである。

TTのポジショニングは大変奥が深く、手の前傾角度と空力を測定した調査結果によると「個人差が大きすぎ、正解は出せない」ものらしい。最終的な最適フォームは個人個人風洞実験してみないと分からないのだそうだ。

それを逆に見れば風洞実験してみたらこれがいいからこうなっているのだろう。

素人の自転車じゃない。単独走行のスタート/ゴール平均時速で50km/hを超える、この世ならざる超人達の世界である。受ける空気抵抗は半端ではなく、僅かでも空力改善が見られれば大成功の部類だ。

だからこれには何かある。

以前にも書いたようにスキーのDH競技ではこのような手の構えが前から珍しくなく、自転車と違ってハンドルを操作しないので好きに構えていい条件の中でこのような格好が多いことは「それが空気抵抗が少ないから」に他なるまい。

近いうちに、手をまっすぐ前に伸ばすことしか出来ないエクステンションバーはお役御免の時代が来ても全然不思議はない。

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コメント

気づいたけど、競泳の平泳ぎのリカバリー(両腕を前に突き出す直前)のカタチに似てるんじゃ。こちらも水の抵抗を減らすためだよね?

わさもん好きな私としては、いつかこのポジションを確認してみたいと思っています。

投稿: MIT | 2007年6月11日 (月) 06:24

競泳の平泳ぎのリカバリー(両腕を前に突き出す瞬間)のカタチに似てませんか。
北島選手をイメージしてみてください。

わさもんな私はこのポジションを確認したいと思っています。

投稿: MIT | 2007年6月11日 (月) 06:36

ご無沙汰しております。

89ツールのレモンは、シャンゼリゼを走って54km/h台ですから、驚異的に速かったと思います。シャンゼリゼはアスファルトではないので、決して走りやすくないと思います。

もし89ツールのレモンに05第一ステージを走らせたらもっと速かったんじゃないでしょうか?

そういえば、昔のDHポジションって、みんなラインディスポジションじゃなかったでしょうか?
レモンにしても、腕はかなり立っていたと思います。
腕が水平になったのはもっと後代になってから。
ランディスポジションは新しいポジションと言うより、原点回帰のような気がします。

投稿: Carbon_Cloth | 2007年6月11日 (月) 08:26

スキーのDHポジションを引き合いに出されていますが、
純粋に速度を競うスピードスキーだと前腕は水平よりも
やや前傾になりますので、ランディスポジションとは
あまり関係がないのではないでしょうか?

それとランディスポジションと平泳ぎのリカバリーとは
ただ形が似ているだけ、内容は全く異なります。
平泳ぎのリカバリーは水中では腕を伸ばす際の抵抗が大きいから
水面上に手を出しているだけです。

投稿: あきらっち | 2007年6月12日 (火) 22:19

そうなのねん。水の抵抗が大きいから水面上に
出すんですね。で、出し方もいろいろなカタチあるのではないか。だとしたら、どんな出し方がよいのか・・・。
競泳のトップ選手は、そのカタチを経験値的に得とくしたものなのだろうか。それとも、流水実験か何かやったんだろうか。

投稿: MIT | 2007年6月14日 (木) 23:57

うーん
流体力学の基本に立ち返っているだけですね…
近々、マイブログでも取り上げる予定です…

投稿: マサキ | 2007年6月15日 (金) 00:13

工業製品と違って生き物は個体差が大きすぎるんで、
指針はあっても絶対は無いように思います。
競泳の北島で言えば、他の選手に比べて身長がないせいか
リカバリーの最後の突っ込みもあえて抑えて上下運動を
抑制してプルとキックを最大限に活かすような
フォームをしているようにも見えます。

個人別にでもCAEで解析できそうですが、
飛行機と違って複雑に形態を変え続ける水泳では
それなりにスケールアウトさせた解析機を用意して
かなりの時間を掛けないと無理だと思います。

投稿: あきらっち | 2007年6月18日 (月) 21:36

LIVESTRONGさん いつも貴重な情報提供 ありがとうございます。
本当に勉強になり毎日感謝してます。

ランディスポジションの上体 に絞って発言させていただきます。
「口の前に手を近づけて肘を絞り空気抵抗を減らす」ことを始めたのは
80年代のスイスのPミュラーという大柄なDH選手からだったと思います。
難しいDHコースではツルブリッゲンらの技巧派に負けていましたが
スピード勝負のDHコースでは空気抵抗の少ない分(体重も重かったが)
抜群に速かった!
毎日氷河で120km/h以上で滑降しているアルペン選手と
http://jvsc.jst.go.jp/find/sports/s01_sky/s1_hang/h43_tx.htm
毎週のようにTTバイクで高速走行をしているプロ選手のポジションが
似てくるのは自然な流れだと思います。
空気抵抗で有利なのはわかっているが「俺のペダリングに合わないので採用しない」
という選手が多い、過渡期だと思います。
コツがつかめ次第、どんどんこのスタイルになると思います。
※ノーマルのレーサーでOKです。安全にスピードが出せる長い下り坂でペダルを止めて
 仲間と一緒に下ります。ステム付近を握ってランポジの真似をした人が スルスル~
 と加速していきます。簡単な実験ですが空力に優れているのが実感できます。

投稿: | 2007年6月19日 (火) 18:29

いろんな方の経験・知識、どれもとても参考になります。自分の世界観が変わることに快感すら覚えます。
スキーでの滑走ポジションや前述の長い下り坂での通称ランディスポジションが空力に優れていることは異論がないことと思われますが、「重力による加速が期待できない走行状態で、ゴールに辿り着くまでの時間、少しでも速く走るには、乗り手の静的(潜在)空気抵抗を減らすとともに、ペダルに高い出力を加え続けられる動的姿勢とのベストバランスが鍵である。」現時点で理解しています。(あとは実践あるのみ)ともあれ、みなさまに感謝。

投稿: MIT | 2007年6月20日 (水) 03:02

何時も楽しく拝見させて頂いています。
大変興味の尽きないランディスポジションですが、ぼく的には、モゼールのアワーレコードを93年に塗り替えたGraeme Obree の、あの腕を体の下に抱え込んだフォームを思い出します。

投稿: blue | 2007年6月30日 (土) 17:35

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