EUROBIKE2007:7800C
FC-7800CがEUROBIKEで正式お披露目となったのは既に多くの人の知るところであろう。
紛れもなく自転車界最高の冷間鍛造製造技術を持つメーカー、シマノ。
いや自転車界最高どころか、シマノの冷間鍛造技術の一部がトヨタでも使われている(技術アイデアを出し合った成果を共有使用する形のようだ)くらいレベルが高いのは「シマノ 世界を制した自転車パーツ」を読むと分かる。
そのシマノが遂にカーボンクランクである。
流行には勝てなかったか?
そもHOLLOWTECH IIクランクは、未だ世界中のどのメーカーも真似すら出来ていない。
その技術の高さは今でも全然古びていないのだ。
冷間鍛造つまりプレス工程の繰り返しで中空の金属クランクを製造できるメーカーなど自転車業界には他にただの一つもない。出来上がりのモノもともかく、製造技術のレベルの高さがハンパではない。秘中の秘とするため特許取得をしていない世界最高の製造技術が、軽くて強くて安い製品を生み出す。「軽くて強くて高い」でいいなら作れるメーカーはいくつもある。
CannondaleのHollowgramも金属製中空クランクだが、CNC加工を施した凹型を2つ貼り合わせる大変面倒臭い工程で作っているため、コストは絶対に下がらない。軽くて強くて高い技術だ。
カーボンクランクがやたら増えたのは、流行が第一理由だろうが、次にアルミクランクを造っている限り値段あたりの性能で絶対にシマノを超えられない作り手事情が無視できない。
「世界中のどこにもFC-7800以上のクランクをあの値段で作れるメーカーはない」わけだ。例えばFSAが作ったとして、アルミでやる限り同じ剛性にしたら重く、同じ重さにしたら剛性で劣り、無理矢理同等品にすると比較にならんほど高くなる。そりゃ、同じモノを作るはずがないわ。
そのシマノ自身がカーボンクランクを出す。値段的にも相当高価で、むしろライバルの製品を上回るくらいの定価が付くと予想されている。
あまり売る気がないのか?(笑)
いや、冗談抜きでさほど売る気がないんじゃないかと思う。
FC-7800じゃあ問題がある人が世界に何人いる?
シマノとしては、この製品は
「現行の技術でFC-7800と本当に性能で拮抗するカーボンクランクを作ったとしたら、このくらいしか差は出ません。カーボンクランクセットは無駄に高い製品です。それでも欲しい人は買ってください」
と示すくらいの意味合いさえあると思う。
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コメント
そのシマノの新しいホイル軍団軒並み出荷時期先送り。
なにが起こったのか?
投稿: stamigo | 2007年9月 6日 (木) 00:49
毎度です。
このカーボンクランクは、純粋にプロレース用で、UCIの規定に沿って販売するだけのように思います。
シマノがクランクに定価14万円なんていうべらぼうな値段を付けてくるとは、通常の製品化では考えにくいです。
あるいは、もっと煮詰めてから製品化する予定が、営業のゴリ押しで販売することになったのかもしれません。
クランクのみの実測重量が、640gより重いカーボンクランクなんて山ほどあります。
おまけにカーボンクランクの半値以下で、鬼のような変速性能を持っています。
投稿: Carbon_Cloth | 2007年9月 6日 (木) 11:00
このクランクは、東レとシマノが出してる特許(WO2005068284)の構造なんじゃないでしょうか。
これだとコストあんまり下がらなさそうな感じですが。
シマノが縦断面の絵は公開しても横断面の絵が出してないのは、この構造をあまり見せたくないのかしら。
投稿: as62 | 2007年9月12日 (水) 14:00
Carbon_Clothさんまいどです。
値段から鑑みても、普通の人に売る気はあんまりなさそうですね。
Clavicula並の値段になるらしいとされてるのはびっくりです。
私も営業臭を感じるのですが(苦笑)
現行FC-7800の完成度って物凄いと思うんですよ。見た目は賛否両論でしょうけど、きちんと調整された状態で使うFC-7800は、変速性能も剛性も、これで不満って何が!?としか思えません。
as62さん、貴重な情報ありがとうございます。
とにかく異様に高いですよね、値段。14万円がリーク情報ですが、FSAも真っ青です。
ホイールは驚くほど安く出してきたSHIMANOですし、よほど高コストな構造としか思えません。
投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2007年9月20日 (木) 22:30