100%を引き出すためのアイデア
このようなカップ構造(それ自体はごくノーマル)になっているSABBは、これらの写真を見ているだけだといわゆるHOLLOWTECH II互換クランク用の今やありふれたBBにしか見えない。
だがこいつにはユニークな特徴がある。
何とこのようにベアリング部分が動くようになっている。
この可動構造のメリットは、ちょっと頭が回る人ならすぐ気付くように
- アクスル軸をただ突っ込むだけで勝手にベアリングの平行が出てしまう。
- このためBBをフェイシングする必要がない。
- BBカップ自体の精度にベアリングの平行が引き摺られない。
3は、職人の手で完璧にフェイシングされたフレームであっても逃れられない問題である。もちろんBBカップはきちんとフェイシングされたフレームに装着されたときバチッと平行が出るようになっている“筈”だが、どこまで厳密に平行が出るのかどうか検証した人は、メーカーの人間でもない限りまず居ないのではないか。
見ていると「うまいアイデアだなあ」と感心する。
名前のSABBは、そんなにきちっと読んでいないがどう見ても「Self Adjust BB」のSABBだろう。(ROTORのサイトによるとSelf Alignmentらしい。考えてみればそりゃそうか。ご指摘に感謝したい)
ベアリングのグレードによって3種類が販売され、オプションでCeramicSpeedのセラミックベアリングまで選べるようになっているが、高効率を謳うBB用セラミックベアリングもベアリングユニット自体の平行が出ていなければ本来の性能がスポイルされてしまう。スポイルされたなりに性能が出ることは出るのだろうが、出るはずだった能力が全て出ているわけではない事に変わりはない。それがSABBの構造を採用すればフレームやBBカップ自体に物凄く高い精度が無くてもベアリングの回転性能を余すことなく引き出すことが出来る算段だ。CeramicSpeedの妙に高いセラミックベアリングとと鉄球ベアリングとの違いが最もはっきり出る(若しくはでない)ことだろう。これはコロンブスの卵だ。
Q-Ringsのような見るからに個性的なグッズに比べたら地味だが、意外と結構アイデアグッズだ。
ROTOR、面白い会社である。
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コメント
SABB・・・・セルフアライメントシステムBBらしいです。
投稿: りひと | 2007年9月19日 (水) 00:30
ウェブサイトによると、Self Aligning Bottom Bracketの略みたいですね。それにしてもいいアイデアです。
投稿: ランス | 2007年9月19日 (水) 00:47
所謂「求心軸受け」ですね。
家庭用ミシンの軸受けや汎用モーターなんかに使われてる方式です。
(こちらはプレーンメタルですが)
自転車のクランクのような、あらゆる方向に力が掛かる軸受けで
どういうネガが出てくるか興味があります。
投稿: KKK | 2007年9月19日 (水) 07:25
みなさん訂正ありがとうございました(苦笑)
良く読んでから書けって話ですね(苦笑)
「求心軸受け」構造に関しては、他分野での使用実績は長いようですね。
私もどんなネガが出るのか(出ないのか)気になります。
ergomoを使っている限り試す機会が無いのが残念なところです。
投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2007年9月20日 (木) 22:48
自動調心ベアリングは産業界では常識ですが、此れは変わった構造ですね。面白い。
投稿: | 2008年3月23日 (日) 17:25