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2008年12月26日 (金)

i003 Discontinued

以前取り上げたVisionのインテグレーテッドエアロバー「i003」だが、チョロッと出回っただけで本格生産されないままディスコンになったらしい。

実はこのi003は生まれた経緯が数奇で、かのAleksandr Vinokourovからのリクエストで生まれたバーなんだそうだ。確かにアスタナ・ウルト時代までのVinokourovはVisionのエアロバーでTTを走っていた。

その彼をグランツールで勝たせるため、TTに強かった彼の意見を取り入れ風洞実験も繰り返して生まれたカタチなのだが、完成品が出来上がった時にはもうVinokourovはチームASTANAでEASTONのバーを使っていた(「Team ASTANA」はEASTONから全面的な機材供給を受けていた)うえLe Tour de Franceにおけるドーピング渦で現役を退いてしまった。
しかもこのi003は形状がグニャグニャとややこしいせいで生産が捗らず、ぶっちゃけ話的には「全然儲からん」商品だったらしい。それでもVinokourovの名前と共に高くても売り出せた筈が、全くあてが外れてしまいそのまんまファーストロットを売っただけで消えた(継続生産しないことを決定した)のだそうだ。どうしてカタログにも載らないしFSAのHPにも載らないのかなと思っていたら、結局事実上幻の商品だったのだ。INTERBIKEに一度展示されたきりなので、ほとんど人が知らないまま消えていった事になる。もしかすると名前がi003と試作品のコード番号のような名前だったのも、製品ではなく「最終試作」に近い状態だったのかも知れない。

なんだか、ブレゲが最後のフランス妃Marie Antoinetteから「世界最高の時計を」とのリクエストを受けて全身全霊を込めて製作した懐中時計、その名も「Marie Antoinette」のエピソードのようだなと思った。この時計、あまりにも気合い入れすぎたため完成した時はもうAntoinetteは処刑された後だったり、その後盗難に遭い、再発見されたが真贋未だ不明と悲劇的エピソードで知られる時計だ。

タイアップ商品(ってほどタイアップでもないか?)も難しいものだな。

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