前に進まないタイヤたち
写真はVittoriaのZAFFIROトレーナー専用バージョン。
この分野はContinentalとTacxくらいしかなかったものが、ミノウラが「外も走れるトレーナー用タイヤ」Dualistを出したり、Vittoriaが写真のタイヤを出したりと新製品ラッシュだ。TacxとContinentalばかりに美味しい思いをさせてなるかと。
トレーナー用タイヤとは、
- あえてグリップが低いコンパウンドを採用することで、振動・騒音の発生を抑える。
- トレッド面が比較にならないほど分厚い。
- 熱を持ちやすいので、熱が逃げやすいコンパウンドを採用。
のように作ってある。Continentalのに至ってはワックス成分までコンパウンドに混ぜてあるので、外を走るのはまさに自殺行為だ。タイヤサイドにHOME TRAINERとやたらデッカく書いてあるのはそのせいだろう。ミノウラのDualistはこの分野で初めて外OKとなっているが、レースは禁止。過激な走りもやめてくださいとなっているようだ。それでも今までローラー専用タイヤを使用することとはローラー専用ホイールを用意することとイコールだったのだから、かなり敷居を低くしたのは間違いない。
そのような作りの違いはともかく、どうやらそれだけ気合いの入った人間が世界的に増えているらしい。
そう。気合いだ。
なにしろローラー専用タイヤを使用することとはローラー専用ホイールを用意することなのだ。タイヤだけ「ちょっと面白そうだから」と買ってもゴミが増えるだけ。全然使い物にならないのである。何故ならトレーナー用タイヤは分厚く柔軟性に極めて欠けるため、装着時にとんでもなく苦労する事が少なくない。トレーナー専用タイヤの脱着絡みで「タイヤレバーが折れた」話など、ちっとも珍しくないのである。しょっちゅう填めたり外したりはできない。本来トレーニングに回せた時間を、タイヤの填め外しは上手くなるだろうが浪費してしまう。トレーニング用タイヤなんざ買おうって人間がやりたいことは、タイヤを填めたり外したりではなくトレーニングだ。だから結局専用ホイールを用意しなければならない。それはDualistであってもだ。ブレーキングやコーナリングの性能が普通のタイヤに比してはっきり劣ると分かっているタイヤで屋外を走りに行くのは、頑張って開発したミノウラさんにゃ悪いが頭がどうかしている。死にに行く気か。それならまだ普及品のタイヤを買って早く減るのと騒音に目を瞑った方がよほど死ににくい。ましてや最下級のファクトリーコンプリートなら定価販売のお店で買っても2万円しない。あんたはそんなに安い命か。
だが、気持ちは分かるのだ。
安物ホイールであっても、外を全く走れない「お座敷ホイール」を用意できる人間はなかなか多くない。
それは「予備」とは違う、外を走れない事を前提とするホイールの用意なのだ。雨天でも構わず走りに行く環境を作るためMICHELIN PRO3 Gripを装着した予備ホイールを用意しておくような場合とは気持ちが違う。性格的な問題もかなり関係するが、ほとんどの人は自転車でローラーを回すより外を走っている方が楽しい。いや、根源的問題として、自転車で外を走っているのが楽しくない人は自転車をスポーツと捉えて時間や金を注ぎ込むような事をしないのだ。だから外を走るホイールに20万払えても屋内トレーナー専用ホイールの2万が惜しいのが人情である。金があるからとすぐ出来ることではないのだ。それだけ金も時間もトレーナーに使って黙々と屋内トレーニングするには相当な気合いが無ければできない。ローラー環境整備に金を使うには、速くなりたいモチベーションが決してぶれない精神力が要る。練習しない理由を宣うのが上手い人間には決してできないことだ。なんせこの分野は、やらない理由などいかようにも立つからだ。「そのぶん外を走るから」と自分に3秒言い訳すればよい。屁をこくより簡単なのだ。
だから、これだけ屋内トレーナー用タイヤが増えて来たこととは、世界的に“本気”の人間が増えたことを意味している。
俺も負けてられん。
それこそ「トレーナータイヤが半年もつ奴なんて信じられねー」と笑い話が出来るくらいでないとな。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
トレーナー用タイヤ、私は信用していません。
コンチのオレンジを買ったら、嵌めにくいは、タイヤカス出まくり=減りが早いはで、速攻止めました。
今はパナの安タイヤを使っていますが、殆ど減らずにすでに2年、200時間以上使っています。
ホイールの用意は簡単なのでは?シマノのR500ならリヤだけ買えば6000円強。外走り用のタイヤを減らすことを考えたら安いもんです。
ちなみにラー台用にはどんなタイヤを使っていらっしゃいますか?
投稿: Lalalacycle | 2009年1月 3日 (土) 21:41
こんにちは。いつも楽しく拝見してます。
完成車付属だったA-classの安ホイールにContinentalのホームトレーナーを履かせてローラー専用にしてます。確かに付けるの大変だった!
ミノウラのVFSで使ってますが、カスはまったく出ませんね。柔らかいミシュランPro2Raceを1度面倒くさがって使った時はリビングをカスだらけにしてかみさんに怒られるわ、タイヤは1度でフラットになるわでさんざんでした。
やっぱ乗るなら専用タイヤですね。投資した分やる気にもなるし・・・いや、違うかなw。
体の仕組みとトレーニングの効果をちゃんと勉強すれば、ローラーが最も効果的なトレーニング方法なのは明白ですからね。まさにやる気の問題なんですね。
(とはいっても天気がいいと外を走りに行っちゃうわけですけど。)
投稿: akirasek | 2009年1月 3日 (土) 23:29
ぼくはパナレーサーのパセラを使ってますよ。
結構良い感じです。
もちろん外でも使ってます。
投稿: GONZOU | 2009年1月 4日 (日) 00:13
GIOSのピュアドロップに付けてもらったシュワルベマラソン28Cを3本ローラーで使ってます。
とにかく騒音は凄いですが、減りません。
外では手組みホイールに23Cを使うので元のホイールはローラー台専用です。
早く使い切ってトレーナータイヤに交換したいのですが、週2時間では前後ローテーションすると3年くらい持つのではという位減りません。
世界一周の人がこれにしてから、タイヤトラブルがない理由は分かりました。
投稿: カオス | 2009年8月 1日 (土) 21:24
私は色んな方のコメントを結構参考にするので、ここではトレーナー用タイヤを擁護してバランスを取りたいと思います。
コンチネンタルのオレンジのタイヤを使っています。空気圧7.9-8.0barでミノウラの取説通りにアルミローラーを押し付けると、タイヤカスは全く出ません。一度空気圧を上げ忘れて使った事があったのですが、異音に気づいて見たら、ローラー台の後の壁にオレンジ色の粉が線状に付いていました。
きちんと調整さえすればローラー専用タイヤは減りませんよ。
そしてもちろん、静かです。
投稿: ゲキダマ | 2010年12月31日 (金) 00:22