透視図がキク
ワタシの拙い知識では、これ以上の筋トレ本はないような気がした本
- トレーニングに対応する筋肉のイラストが抜群にうまく、分かりやすい
- トレーニング時の注意点が的確
- トレーニングの種類が厳選されているし、同様効果の類似トレーニングも紹介されている
点で、他にないものを感じた。
筋力トレーニングの時に使う筋肉を意識してやるのと意識しないでただ闇雲にやるのとで同じ運動をしても結果として出る増強効果がかなり違う事は、ここで今更取り上げる必要もないほど散々実証されてきた。両者の間にはかなりはっきりした有為差がある。が、この本を見ると、ただ“イメージ”するよりも、解剖透視図で見てからの方が、勝負にならないほど圧倒的に具体イメージしやすい事に感嘆する。
そりゃそうだ。誰しも自分の筋肉を、ここだと感覚で掴んではいてもナカミを見たことなどないのだから。
解剖図を眺めてからやると「うわあすげえ。なんか筋肉が“見える”わコレ」と本当に感嘆する。
しかもこれは中途半端に写真でグロいものを見せられるより、うまいイラストで見せられる本書の方がずっといい。医学勉強用の解剖学解説書じゃないんだから。
自転車乗りで「筋トレ」をする人はプロでも案外少ないのだが、逆に飽きるほど自転車に乗るプロと違って普通の人間は筋トレ不要になるほど自転車に乗りこむのは難しい。一週間で1000km以上走るのが日常茶飯事であるプロと、時間をかけた走りこみは週末に限られる人間とでは当然だが体への負荷のかかり方がまるで違う。そして自転車は人類が生み出した最もエネルギー効率の良い乗り物なので、よほど工夫して乗らないと、筋力としては「こんなに運動しているのに、これだけしか向上していないのか!?」な結果になりがちだ。スポーツとして自転車をとらえているなら「とても苦しい」くらいまで走る人は珍しくもないだろうが、本当に脚がオールアウトになり自転車を降りたあと暫くは脚がプルプルきて立ち上がれないくらいまで負荷を掛けて走る人となるとぐっと比率が下がってしまうだろう。自転車は全身を使うスポーツだが実はその負荷が心肺機能にかなり偏在しているため、工夫しないと「苦しい割に筋力はあまり付かない」のである。変な話だが、自転車は乗り物としての完成度が高すぎて負荷トレーニングの方法としては逆に効率が悪いのである。仮に自転車がもっとパワーロスの塊だとすれば乗るだけで筋トレになるだろう。*
乗りこむ距離が不足しがちな人ほど、闇雲に乗るのではなく筋トレの併用をお薦めする。
実際、プロほど走り込めないわりに成果を残している自転車乗りは、そのほとんどが筋トレを上手く併用する人のようだ。
*現SKIL SHIMANOの別府史之選手が確かこれを目的として空気の代わりにスポンジが入ったようなチューブ(全部ゴムで空気が入っていない特製チューブなのだそうだ。教えて頂いたばっかすさんに感謝)で走ってトレーニングしたりしていた筈である。少しの重量でも一番キク ところがズンと重くなるうえに変形エネルギー増大に起因する転がり抵抗が飛躍的に増大して「やたら加速が重くてしかも全然転がらないホイール」に変わるから「走 り出してから止まるまで、いついかなる時もずっと向かい風」のような状態を作り出せるため、負荷トレーニングとして理に適っている。ついでにパンクしなく なるメリットもある。
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コメント
いつも拝見させてもらっています。
自分もあまり走る時間が取れないので筋トレを始めてみようと思います。
たしか別府選手は全ゴムのタイヤを使っているって本人から聞きましたよ。
全ゴムタイヤほしい。
投稿: ばっかす | 2009年4月29日 (水) 17:45
このブログが始まった頃より興味深く拝見させていただいています。
今回は私と多少見解が異なるようなので、コメントいたしたく思いました。
自転車は筋力を付けにくいというのは同意見ですが、だから他に筋トレが必要だと結論付ける前に、自転車競技に筋力がどの程度必要なのかを考える必要があると思います。
重量挙げの選手、トラックの短距離選手、ロード選手を比べると、前者ほどより大きな筋力が必要であり、後者ほど小さい筋力でじゅうぶんです。筋トレの必要性もこの順になるでしょう。
時間のない人ほど筋トレをということですが、私はロード選手であれば必要性の低い筋トレに時間を割くよりも、必要性の高い有酸素運動に時間をあてた方が有効と考えます。
逆に時間が豊富にある選手であれば、筋トレにまで手を伸ばしてもよいと考えています。長距離を乗ったからといって筋力がつくわけではないからです。
最後になりますが、紹介された書籍は私の愛読書でもあります。
イラストが素晴らしいですね。
投稿: トラック競技愛好者 | 2009年5月 3日 (日) 18:46
ずいぶんと遅いコメントですが、トレーニングが終わった後に脚がガクガクになる、というなら
ランニングの方が効果的だと、個人的な経験から思います。
どこか忘れましたがトライアスロンのトレーニングに関するページで、ランのトレーニングはバイクでのパフォーマンス向上に
役に立つとの記事を見て、自分で試したところ、追い込みはランの方がやり易いように感じました。
ただ、ランに慣れていないから、という可能性は否定出来ませんが・・・
投稿: ねじねじ | 2009年12月 1日 (火) 21:30