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2009年5月 7日 (木)

何かあったのか?

ax lightnessのフォークがどうやら製品版として完成

Axfahrradgabelhelios_325

名前は「Helios」だ。

重量は275gで、十分軽いが決して「目ン玉剥くほどのとんでもない軽量」ではない。
それはPREMIUM版である「AX.6000」でも250gで変わらない。

ライバルTHMのScapulaは、最高峰Tuned SPで230gである。

「後出し」なのだから、より軽くしてくると思った人は多いはずだ。

だが、意外な重量に収まった。

名の通ったメーカー製でさえ、LOOKが300gを切るフォークを標準添付していた事があるのが昨今。しこたま金を取るサードパーティがこれでは拍子抜けにも見える。じっさい同社のAX.3000であるとかAX.5000はまさに目を疑うような軽さだし、AX.5000はあれで意外と強いようだが、AX.3000などは注意書きを読んだら「長い下りが続くコースでは使うな」と書いてあったりして読んで思わず目が点の、かなりファンキーなブレーキだ。こりゃあ、かつてLightweightがArmstrongのために作り、その後一般にも1〜2年間だけ市販した、朱書きで「UPHILL ONLY」とペイントされた世にも恐ろしいホイール「L'Alpe d'Huez」のような、ホンマモ ンの一発用機材だ。このホイールは外形こそLightweight Obermayerの20/20仕様とほとんど同じだが、内部構造を変えてまでリム外周をギリギリ軽量化。そのため「ゴールするとき以外のブレーキ使用不可」と市販品とは思えぬ桁違いの割り切り製品だった。200万円の汎用品を買える人でも50万円の単機能品はそうは買えない。AX.3000などはまさにこのようなホイールと組み合わせて登りゴールのコースで使うのが相応しかろう。下りを走ることがあるなら頂上でサポートを受けバイクごと交換だ。プロツアーのエース級選手かよ。ax lightnessはその手の「軽くするためならイノチも要らぬ」グッズを販売しているメーカーであり、その素性からすればHeliosやAX.6000はブキミなくらい「お上品」な重さに収まっている。

もっとも、前段のLOOK製軽量フォークは流石にフォークとしてイマイチだった事をLOOK自ら気付き、次の年からちゃんと重くなった。掛かっている力がハンパではないのだから軽すぎるフォークはやっぱりヤバイのだ。逆に書くと、現状の技術はまだ300g未満でヤバくないフォークを作れるまでに至っていない。数字しか見えなくなった重病人には重くなった事が退化に見えるかも知れないが、これはむしろ「物凄い勇気を出して中味を充実させた進化」で、その勇気に拍手喝采モノだろう。カスフォークであっても結局軽い方がカタログ値は向上し、セールスも上向くことなんてもうイヤってほど分かり切っているからだ。冗談抜きで「1kgのホンモノと880gのゴミが同じ値段で売られていたら、880gのゴミの方が圧倒的に売れる」ような現象が起きているのが今のロード用フレームの世界だ。あえて重くしてまでちゃんとナカミを充実させたとして、どれだけの人が分かってくれるか甚だ疑問なのである。だが、口で走り紙に書いてある数字で勝負する人の評価じゃなく乗ってみてどうかの観点から名作フォークとして評価が高いものは、コラム未カット時の実測で350〜400gくらいあるものに集中するのだ。もう絶版になったが傑作として名高いTIMEのAvant stiff+などは、下玉押しがフォーク自身にモールドされているから重さで不利(本来ヘッドセットの重量として計上する重さの一部がフォーク自身に一体化されフォークの重量として載ってしまっている)だとかハンデもあったが、それにせよ実測400g以上あった。その代わり、今でもこれを超えるフォークはそうはない。なまじっか下玉押しがモールド成型されていた関係で対応するヘッドセット以外にはどうあっても使えないとか「使用上の注意」がシビアだったのは、ナカミがよいだけに画竜点睛を欠くところだったが。

話が逸れた。

たぶん、無理をすれば200g切りも可能だったと思う。
少なくとも225gにしたらセールスはかなり違った筈だ。
だが、やらなかった。

お陰で軽量王の座を維持したScapula Tuned SPは、体重制限があるどころでは済まず耐用年数・耐用距離まで決まっている。ようはそのくらいギリギリの作りなのだ。

下りの直線にあるちょっとした凹凸を乗り越えようとした瞬間、もともと強度を犠牲にした作りの上に経年ヤレも起こしたフォークがメキッっと座屈したらどうなるかを考えてみて欲しい。フォークの超軽量化とはそのようなハイリスクと背中合わせなのだ。それでもヤル人間以外は手を出してはいけない領域なのだ。面白半分で高い金を出した結果がアスファルトと熱いキスじゃあ割が合わない。そうならない方法をわかっている人間だけがやる世界だ。だからLOOKがフォークを重くしたのは、軽量化競争の過熱でどうかしていたのに自ら気付き我に返って正気を取り戻した結果だと思う。

ここ半年ほどのax lightnessは、直販Webショップを作ってみたりいつの間にかMTB用のカーボンハンドルを2種類もラインナップしてみたり、以前の「欲しけりゃ探してでも買え」な態度から別人のように変わった。それと無関係だろうか?関係あるような気がする。ax lightnessも色んな意味で“幾分正気になった”のか?

買う金以前の問題として取り付けられるような自転車を持っていないが、どうしてこんな「ブキミに軽くない」仕様に仕上がったのかについてとても興味がある製品だ。

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コメント

フォークについてはプロトタイプの情報が色々飛び交っていましたが、公式サイトではノーマル Helios で 275g (300mm) とあります。なので、AX.6000 が 250g というなら 300m での重量だと思います(ノーマル Helios でも 200mm にカットすれば 250g 程度にはなるため)。

Scapula SP も 300mm では 260g です。
http://www.thm-carbones.de/produkte/scapula_sp_tuned/t。echnische_daten.htm

300mm -> 200mm で -25g と勘定すれば、200mm AX.6000 は 225g となります。

投稿: info_fork | 2009年5月 7日 (木) 00:35

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