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2009年6月18日 (木)

エアロバー暗黒時代に立ち向かえ!HED. Corsair

2009シーズン初頭、UCIが唐突にエアロバーに関するルールを策定し、規制を強化(またかよ)した。

断面比3:1を超える扁平形状は認められないコトになった。

実は、従前はハンドルの断面形状にまでは規制がなかったのである。そのため時折物凄いモノが登場していた。

その典型例で、もはやハンドルと呼ぶよりも翼と呼んだ方がいい形状をした、市販エアロバー最高の空力性能を持っていたと思われるVENTUSを擁し2008シーズンかなりブイブイいわした3Tなどは「我々のような小さな会社は、このような唐突な規制改正を行われると開発費や金型代を回収しきれない。極めて横暴な改正だ」と抗議したが、抗議されたからと引っ込めるようなヤワいUCIではないので当然のように却下。連中のクソぶりは昔から筋金入りだ。まさに「鋼のようなクソっぷり」であり、このレベルの抗議ではビクともしない。3Tからパーツサプライを受けるGarmin slipstreamなどは、このルール改正の話が出た直後くらいからVENTUSではなくBREZZA(こちらは新ルールにも適合する)を使用していた。もっともこれはVENTUSの「ポジションが事実上調整できない」欠点のせいもあるだろうけど。先日Giro d'Italiaでデビューしたばかりの3T製ハイブリッド型エアロドロップバー「ZEFIRO」も、新ルールに適合するよう作られている。

新ルールに引っかかるエアロバーはかなり多く、EASTONのATTACK TTはもともとあまり扁平形状ではなくエアロバーなのに空力よりも軽いことが最大の売りだったような変わり種なのでクリアできそうな気もするが、扁平率が高い商品ばかり並んでいたOVALなどは上から下までほぼ全滅と聞く。OVALは3Tよりもずっとエアロバーでメシ食ってるメーカーなのに、とんでもない話だ。超扁平形状で鳴らしたHED.のエアロバーも全滅。発売されたばかりのHED. Black Dogに至っては、ほとんど出回らないうちからきなりルール違反にされるエラい目に遭うこととなった。

しかし、そこで退かなかったのがHED.のさり気なく凄いところだと思う。
新ルールに適合するように改良した同等品を発売してのけた。

Corsair

HED. Corsair

見事なまでに「Black Dog Dropを3:1ルールに適合させた製品」である。

折角造ったモノを、つまらないルール改正のためにイチから作り直す。

さぞかし無念だったと思う。

そこで全くの新製品や別製品にしてしまわず、あえて「同じものを作り直す」手に出たところに、HED.の抗議の気持ちが垣間見える。どうだ、つまんねえルール通りにしてやったゼ!これなら文句ねえだろバカヤロー!と。前後に短くなった分だけ少し軽くもなっており、585g(何故か630gと書いてある場所もあるが、これはBlack Dogのページを流用して作り数字を直し損ねたものだと思う)とブレーキレバーまで付いているインテグレーテッドエアロバーとしてはトップクラスの優秀な数字だ。グラフィックが結構やり直され、なんだか少しオシャレ(笑)な感じになっているのも面白い。

今回のルールは、かの悪名高い「2000年ルール」以来久々に出たつまらないルールの一つだと思う。

このルールが出来た以上、もうVENTUSのようなステキ(笑)なとんがりっぷりを魅せるエアロバーが世に出るコトはない。

VENTUSの良し悪しではない。あのようなチャレンジ精神がルールに封殺されるのが悲しい。そしてVENTUSのヒットに対し、HED.がBlack Dogを出して「この分野じゃ名前も歴史もあるウチがやれば、ほとんど同じ空力で、軽くて、ポジション調整も出来るモノ用意できるぜ。どうだい!」と答えてみせたような、ドキドキする競争。UCIはそれらに頭から汚物をぶっかけるようなやりかたで冷水を浴びせたのだ。

まったく何やってもクソな組織だな、UCIは。

UCIルールに違反するエアロバーを金かけて金型作って新規に売り出すのは酔狂すぎる。トライアスロンではまだ使えるのでマッタク売れないワケではないが、プロツアーのレースでその姿を見せつけられるのとではセールスへの貢献度が桁で違う。そりゃー、残念ながらFaris Al SultanよりもCarlos SastreやFabian Cancellaraの方が遙かに有名だろう。

VENTUSもBlack DogもVantage EightもA911もA921も、このルールができた以上いずれ終わる。どれもがもともと量販の望めない高価格製品だけに「UCI Illegal」つまりビッグレースとしてはトライアスロンくらいしか使えないのでは行く先絶望だ。各メーカー、これらについてはもはや「いつ生産販売を打ち切るか」だけが焦点だろう。

開発者の無念は、これを奮起の材料として再び立ち上がって貰いたいと切に願う。そうして、あの2000年ルールの暗黒から立ち上がりtimemachine TT01もPLASMA 3 TTも新TTX(仮)も生まれてきたのだから。

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コメント

お疲れ様です(^-^)

UCIというのはオブリーの映画で見た様にほんとクソですねぇ(`´)


人間の発想というものはまったくの自由の中から、ど度胆を抜く作品を作り出すものですが(^^;規制の汚泥の中からも蓮の華の様に素晴らしい作品を創り出したくれますよね(^-^)
各メーカーさんの今後の奮起に期待しています。


ちなみにVENTUS買いました(^^ゞ
ポジションは今後の課題ですが(^^;この形はビビビッときますね(^^)v最高にかっこいいです。

ZIPP2001VENTUS仕様はなかなかですよ(^-^)

投稿: ZiPP2001 | 2009年6月18日 (木) 01:02

この手のバーはブレーキレバー一体型が多いですが、電動デュラが普及していけばブレーキレバー別体の方がいいですよね。
というわけで、私は今ブレーキレバー別体型のエアロバーシステムを探しています。調整幅等考えると、カーボン製の高価な一体型よりも普通のブルホーン+アジャスト量の大きなDHバーの方が安いしイイのかな、とか最近思っています。

投稿: RoppongiExpress | 2009年6月18日 (木) 10:19

エアロバーとはいわゆるDHバーのことです。
ハンドルの扁平率が規制されたってことでしょうか?
DHバーとかDHポジション、あるいはダウンヒルポジションという言い方は日本でしか通じないと思われます。(検索するとわかると思います。)
aero barとかaero positionといえば外人にも通じます。
テレビで解説の人がDHバーという度、なんでこの言葉が定着したんだろうか?と思います。
ハンドル形状や前乗りの規制は、安全性を考慮してのことだと思います。
というわけで必ずしも改悪ルールだとは思いません。
エアロバー最王手のプロファイルデザインは極端な扁平ハンドル等はリリースしていません。
プロファイルは安全性に非常に厳しいメーカーなので、リリースしないんじゃないと思ってます。
エアロバーを実際に購入するひとの多くはトライアスロン用途だと思いますが、一番売れてる(多分)プロファイルは自転車レースのスポンサーは殆どしてません。
というわけでUCIルールとエアロバーの売れ行きはあんまり関係ないんじゃないと思います。
インテグラルタイプのハンドルシステムはかっこいいですが、ポジションで出ずに箪笥の肥やしになる確率が高いです。
というわけで、アマチュアが使う場合、ブルホーンの丸いハンドルにクリップオンエアロバーがいいと思います。
似たようなエアロ形状のハンドルばかりリリースするメーカーよりシロモトのエアロバーの方がよほど革新的だと思ってます。
ヨーロッパのプロ選手がシロモトエアロバーを見たら感動するんじゃないでしょうか。

投稿: ゆう | 2009年6月18日 (木) 18:04

こんにちは。

思っていたより早く(クソ)UCIの改定が決まったんですね?
やっぱりPLASMA 3のハンドルもアウトかもですか…
僕もVENTUS持ってますが、本当にクソルールばかり作りますね。

投稿: Lightweighter | 2009年6月18日 (木) 23:21

ZiPP2001さんまいどです。
VENTUS、見た目の迫力は最高でしょう。空力もたぶん最高だと思いますよ。グリップとかブレーキレバーまでかなり無茶してますから。

RoppongiExpressさんまいどです。
調整能力に優れST-7971を装着できるモノとなると、HED.のVantage 8じゃないでしょうか。
HED.はポジション調節が細かくできることをとても重視している感じで、Vantage 8も調節範囲がかなり広くなっています。ただ、今回の3:1ルール時代に生き残れる形をしていないので、対応する新商品としてやり直したモノが今年中にも出てくるように思います。

ゆうさん、力説ありがとうございます。
いきなりインテグラルタイプ買ったら高い確率でドツボはまりやすいのはその通りだと思います。
当Blogの昔の記事を見ていただければ写真も出てきますが、何を隠そうワタシ自身シロモトエアロバーのオーナーで、アレを使ってポジションを探った上で「そのポジションが可能なバー」を買う感じで買っています。ただ、シロモトエアロバーは標準だと脇をとことん締めたポジションが出せないように思いますし、明らかに無駄にドラッグを産む部分が何カ所もあります。マイナーチェンジしたようなので現行型は違うのかも知れませんが。

Lightweighterさんまいどです。
2010年1月1日から施行だそうです。
VENTUSがUCI管轄レースを走れるのは今年が最後です。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年6月20日 (土) 16:53

素朴な疑問ですがトライアスロンがUCI管轄じゃないということは、トライアスロンでファニーバイクを使っても大丈夫なんでしょうか??
前後異径はパンク時の対応が大変でしょうけど。

投稿: aoba | 2009年6月21日 (日) 13:07

aobaさんはじめまして。
これからもよろしくお願いします。

トライアスロンはITUのルールで動いています。
ドラフティング可能なレースで適用される、突き出し長の制限や先端を結合しなければならないなどの独特のルールもITUのものです。ITUでも前後異径タイヤの使用はダメだったような記憶がありますが、有名(?)な5cmルールのような寒いルールはありません。

まあ、あんなルールは相当ガチの石頭でないと思いつけませんから(笑)

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年6月21日 (日) 17:24

ITUの現在のルールブックではホイール径に関する制限はないようです。
サドル位置に関してはBB垂線より先端が50mm以内というルールがあります。
UCIより100mm前に出せるということです。
それからトライアスロンは必ずしもITU、JTUのルールで行われているわけではありません。
ドラフティングの距離などレースによって違う場合があるので注意しましょう。

投稿: ゆう | 2009年6月21日 (日) 22:11

LIVESTRONG 9//26さんこんにちは。

VENTUS LTDハンドルのブレーキレバーはかなりの空力重視で買ったはいいが本当に大丈夫かと思いましたが、
Lightweightに純正カーボンシューで試すと、軽く握ったつもりなのですが尋常じゃないブレーキの効き具合で、
最初はホイールがロックしました。
それ以来レバーに不安を感じた事は無いですが、同じLightweightオーナーのLIVESTRONG 9//26さんはブレーキに効きに不安を感じた事は有りますか?

投稿: Lightweighter | 2009年6月22日 (月) 21:18

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