« 今月の北見サイクル | トップページ | 出力計解臓仕儀 »

2009年6月 4日 (木)

盛ってみた

2009モデルのZIPP 303が、タイヤを取り込むような斬新なリムプロファイルを採用したことは暫く前に取り上げた。

今度はタイヤ側からのアプローチが現れた。

Aero_profiles

Bontrager Race X Lite Aero TT Clincher

なるほどねえ。
図を見て、まずその言葉が浮かぶ。

よく考えたものだ、と。

普通のエンジニアリングなら、リム側で何とか工夫しようとするような気がする。
実際ZIPPはそうした。だからBontragerが作ったこのイラストはZIPPの新しいリムプロファイルには通じない。

逆に見れば、ZIPPの新しいリムプロファイル以外のほぼ全てはこの図の通りだろう。
タイヤが○である前提でリムプロファイルを決定的に変えてしまったZIPPに対し、Bontragerは今あるリムで高性能化するため突起物付きの異形タイヤを作ってしまった。ZIPPの方はリムの形をえらいこと変えちゃって衝撃的なのだけど、逆に見ればZIPPのアレの発想そのものは正統派も正統派で、突飛ではない。どこもやる勇気がなかったところに最初の一歩を踏み出したのがその素晴らしさだ。Bontragerは、空力を良くするためだとタイヤに「盛りゴム」してしまった。これは考えようによってはZIPPの新リムプロファイルよりもとんでもない発想である。

ZIPPとは違う意味で「こりゃすごい」と感心する。

非常に斬新な形のようでいて実は極めて正統派であり、ようは既製の「枠」を破壊することに最大のミソがあったZIPPと、今既にある商品に手を加えなくとも高性能化を図る商品として、ある意味「考えられないタイヤ」を造り上げてきたBontrager。面白い対比だ。トレッド面以外の部分に材料が余計に付いているわけで、しなやかさの面でも重さの面でもメリットはないと思われる。それでもヤル。それにタイヤとリムとの相性がけっこうはっきり出るタイヤとなるだろう。ヘンにリムとタイヤで段差とか出来たら、折角余計な材料を“盛った”意味が、無いどころでは済まず一気にマイナスと化す。当然ながらAeolusにピッタリ合わせてあるに違いない。お互いの販促となるための自社ブランド商品なのだろうし。

ZIPPとBontragerの新商品、共に「目指すところは同じ」なのだけど、アプローチはぜんぜん違う。

同じ目的でも、全く違うルートを辿る人が幾らでも出てくる。

これだから世界は広く、面白い。
どっちが上とか下とか、そんな評価を加える事などつまらんな。

そう思えてくるくらい面白い。

|

« 今月の北見サイクル | トップページ | 出力計解臓仕儀 »

コメント

エアレースでは段差はパテ埋めが標準なんで、タイヤとリムの段差をパテ埋めしたら多少は早くなるだろうな~とは思っていました。でも明らかにUCI規定違反ですけどね。

タイヤ側で対応するって言うのは、斬新ですね。ボントレガーのタイヤの性能って言うのが??ですが。

投稿: くさの | 2009年6月 4日 (木) 04:29

20年ぐらい昔に、その凹みのところに“パテ”みたいなものを塗ってスムーズ(?)にしていた選手がいました。
その“パテ”が今でもあるのかはわかりません。

投稿: nao | 2009年6月 4日 (木) 05:48

パテじゃなくて、シリコンを使うんですよ。

投稿: ゴン蔵 | 2009年6月 4日 (木) 20:02

以前T-Mobileあたりがエポキシかシリコンゴムかなんかで埋めて走らせてた記憶があります。
このタイヤはクリンチャーならではですね~。

投稿: nYolo | 2009年6月 4日 (木) 20:40

ボントレガーのRace X-lite使ってましたが、しなやかでいいタイアでした。直接サイドを触った感じだと硬いし、リム(カンパ)にはめるのも一苦労だったので意外でした。ただちょっと減りが早かった気がします。

投稿: ランス | 2009年6月 4日 (木) 23:23

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 盛ってみた:

« 今月の北見サイクル | トップページ | 出力計解臓仕儀 »