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2009年6月 9日 (火)

ブレーキが消えている!

Criterium du Dauphine Libere 2009が始まった。
一週間で終わるLe Tour de France前哨戦。

本戦?たるLe Tour de Franceで使われる有名なステージがモロにそのまんま出てきたりする(例えば2009年はVentouxが登場)ので「足馴らし」「仕上がり具合のテスト」のような感じでLe Tour de France総合優勝を狙う大物選手がよく出場する。

初日個人TTは「今年こそ“ツール”制覇!」と燃えに燃えているであろうCadel Evansが制した。
ますます低さを増したようにも見えるTTフォームは強烈。肘の位置はもはやタイヤ上端から10cmくらいしかなさそうで、クランクの上端で膝が肘よりも前に出ている猛烈にコンパクトなものだ。そのままでは当然膝と肘がガンガン当たるので、解消するためやや肘は開き気味のセッティング。決して小柄ではないEvansがここまで体を畳んで走る姿が非常に特徴的。デカい選手がギュッと縮まって走るのは、小柄な選手がコンパクトなフォームで走る(典型例がLeipheimer)のとは容易さが全然違う。Evansは頭角を現してからずっとTTのフォームが毎年のように「低く、小さく」変化してきたが、研究と努力を重ねてこのフォームを造り上げたんだろうなあと思うとまさに頭が下がる。その研究を二人三脚でサポートした、表には出てこないスペシャリスト達の仕事にも頭が下がる。まさにトッププロの世界だ。

8秒差で2位に入って相変わらずの好調ぶりを見せたのが、2回目の、そして今度は「敵がリタイヤしたから勝ったのではなく実力があるから勝ったのだ」と結果で全世界に宣言したいContadorだった。彼のTT独走力は確実に増していて、普通にグランツールの個人TTで勝っても何ら不思議はないレベルにまで上がってきているなあと感心させられた。

これは最初に書くべきかも知れないのだけど、BBox Bouygues Telecomの新城選手も出走!

EvansやContadorと同じレースを、日本のアラシロが走っている。

コレ、やっぱ感動ですな。気分が違う。しかも二流三流のレースにトップ選手が出たから一緒に走れたんじゃなくて、名声も歴史もあって歴代優勝者に錚々たる超一流達の名前が並ぶCriterium du Dauphine Libereの場でだ。別府選手と並び日本人として久々のLe Tour de France出場がかかる新城選手。どう考えてもCriterium du Dauphine Libereでどのくらいの走りを見せるかでファイナルセレクションの9名に名前が載るかどうか決まるのだろう。ここCriterium du Dauphine Libereでいい走りを見せた選手は「ツール」でも通用するのは歴史が証明しているからだ。是非とも、超一流と一緒に日本人が走る姿を見たい。新城選手には、実力があるからこそBBox Bouygues Telecomに呼ばれた事を証明して欲しい。

そしてここで注目の新機材!

Contadorの駆ったTREKの新TTマシンは、前から見てフロントブレーキが付いていない!フォーククラウンのあたりにチラッとブレーキシューが見えるだけ。RIDLEY DEANのようなフォーク後部でもなく、SaxobankのCancellaraがいまのところただ一人使っているSPECIALIZEDのプロトタイプと同じく「フォーク内蔵フロントブレーキ」を採用しているように見える。ヘッドチューブからステム周りの作りも両者は大変似た雰囲気だが、Contadorが駆った新型の方がよりシェイプされていて細身だ。ステム?相当部分が“載って”いるのでよく見ないと分からないが、ヘッドチューブ相当部分の短さはハンパではなく、5cmくらいしかない。偽装目的かペイントが物凄くウルサいのではっきりしないが、エアロヒンジふうの構造だろうか。シートステーも今までのTTXより断然「寝た」角度に変わっているし、リアブレーキキャリパーもこれまたシートステーから消えている(お約束通りBB付近取り付けだろう)し、今分かっている写真を見る限りでは、Cancellaraの駆るものと並び

「いま最も新しい、各社TT用フレームのいいとこ取りを徹底したTT用フレーム」

になっている。違いは、試作品風味がプンプンするSPECIALIZEDに較べ俄然「出来上がって」いるように見えるTREKの完成度の差だろう。いかにもこのままでの市販はなさそうなSPECIALIZEDに較べ、TREKのニューフレームは小変更あるにせよいずれ市販するような感じだ。その名前が「TTX」になるのかどうかは分からないが、従前のTTXが、いまどきのトップ選手が駆るTT用フレームとしてはずいぶんコンベンショナルで「整備性はいいだろうけど、およそ理想を追った設計じゃないよね」な部分が山盛り目に付くフレームだったのに較べると、いきなり3段飛びくらいで進化した。これだけ一気に変わるとほとんど別メーカーの製品だ。現行TTXをしつこく引っ張っている間にずっとこの“ジャンプ”へ向けての基礎研究をやっていたのだろう。間違いなく、ASTANAの選手はLe Tour de Franceで一斉にコイツ使って走るんだろうね。

こうなると、SCOTTがPLASMA 3 TTであれほど気合い入った作りなのに何故かフロントブレーキの取り付けを何の変哲もない作りのまま残してしまったのは、技術者がいくら「これで問題ない」と強弁してもインパクトの面で相当足を引っ張るだろうなと思う。何故なら99%のユーザーは風洞実験比較などできないから、見た目空力が良さそうかどうかの差ってセールス面でデカいだろうからだ。それはアルミコアにカーボンの皮を貼っただけの「カーボンステム」がアルミステムより高いうえに重くても売れるのと同じだ。売れ行きには見た目って大事なのだ、結局。もっともその前にPLASMA 3 TTはUCIの新規定に引っかかる場所があることが分かったそうだが。(PLASMA 3TTに関する記事へのコメントで教えて頂いた)

細かいことだが、ASTANAのトップ選手は目に付く限り全員が2009シーズン後輪ディスクホイールに「Bontragerと書いたLightweight Disc」を使っている。このステージのContadorがそうだったし、Giro d'Italia 2009におけるArmstrongやLeipheimerもそうだった(LeipheimerはLightweight Discにこだわりがあるのか、DiscoveryChannel時代もやはりペイントして使っていた)

ただし、Bontragerがディスクホイール売っているのに他社製をあえて使うのは選手のこだわり・ワガママ扱いだろうが、BontragerがAeolus Discをカタログラインナップから外してしまってBontrager製のディスクホイールは無くなったいま、選手達は「存在しない商品を使っている」わけで、もはや事実上「なんでもあり」ではあるだろうけど。

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コメント

LIVESTRONG 9//26さんこんにちは。

ASTANAの後輪がLightweight Discだとはしりませんでした。
ちょうどいまLightweightのDiscを買おうか悩んでいるのですが、俄然欲しくなりました(笑)

投稿: Lightweighter | 2009年6月10日 (水) 23:12

新城選手、ツール ド フランス出場決定です。
9人中の最初の6人だから、実力での勝ち取りだと思います。
すごいです。

早速Jsports契約しなくっちゃ。

投稿: たけなか | 2009年6月15日 (月) 18:14

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