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2009年7月11日 (土)

Trinity Advanced SL 衝撃価格で市販化発表

Le Tour de France 2009、第4ステージ前にお披露目があった。
GIANT供給チーム(以外も!)が使用していた謎の「PROTOTYPE」は遂に正式名「Trinity Advanced SL」と発表され、2010年2月市販化決定。

Trinity

GIANTはこの「およそGIANTっぽくないフレーム」をGIANTブランドで売り出す。前モデルとは似ても似つかないが、あくまでTRINITYの後継モデル扱いだ。

値段は、聞いてびっくり「これでも喰らえ!」と放ったとすら思える14000ドル
4000ドルのマチガイではない。プロトタイプが出始めの頃からトライアスロン系の人にもわりと熱い視線を送られていたフレームなのだが、さすがにこの値段では手を出せる人は極めて限られるだろう。日本で売られるとして、このまんまじゃ150万円オーバーは確実。その値段で皆の目を点にしたBMCのtimemachine TT01といい勝負になるか、上回る可能性すら濃厚。あれほど高いTT01のアメリカ価格は14000ドルしないからだ。それこそ日本ではGIANT日本代理店が「こんなもん売れんわ。取り扱うだけ無駄手間」と取り扱いすらナシの可能性も大だろう。

値段はともかくナカミとしてはおそろしく「考えてある」フレームで、ケーブル類の取り回しなどは相当考えに考え抜いて作ったであろうことが想像できる。ハンドル周りの細かいセッティング可能な作りとセッティングの幅の広さの両立は特に出色の出来で、初めて「自転車とハンドルを一体で同時設計したから可能になった、妥協のない思い通りセッティングを可能とするハンドル周り」を見た思いがする。ステム相当部分は水平のもの、ややライズのもの、Cavendishがやっていたような猛烈に低いポジション用のものと3種類が用意され、エアロバー部分も幅や高さを細かく調節できる。それこそCadel EvansでもこのTrinity Advanced SLならポジションが出せるだろう。この世には、これほどポジション出しについて正面からしっかりと取り組んだ自転車など、手で数えられるほどしかない。ほとんどが買い手側の工夫に丸投げなのが現実だ。GIANTはロード用フレームだと「ステムとシートポストの調整で何とかして」な態度がかなり露骨なのに、同じメーカーとは思えないほどポジション調整に対して極端に真摯で丁寧な作り込みだ。シートポストの調整機構も、外から見ていては分からないが驚くほど凝っている。少々意味のない凝りようにすら思えるくらいだ。見た目が格好いいかどうかのような速さにとってビタイチ無意味な評価軸を別とすれば、TT用フレームとして最高峰と評価して然るべき仕上がりだろう。

正直、これほどのフレームを量産して売り出す度量をGIANTが持っていたとは思わなかった。その見込み違いには率直に謝りたいくらい、こいつの作り込みは凄いと思う。

この作り込みなら、これほどまでに高くなければ市場を一気に席巻できるポテンシャルを持っていると思うんだけど、GIANTはもとからパイが小さいTT用フレーム市場なんざ席巻する気さらさらなく、これがブランドイメージを高め普通のフレームが売れてくれればO.K.なのだろう。売る気があるとは思えない値段になってしまったのは残念だ。

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コメント

LIVESTRONG 9//26さんこんにちは。

イカツい価格ですね。
LEWの最軽量ホイールとも良い勝負すると思います。
さすがに、コンプリート(むしろフレームとホイール)で200オーバーTrinityなんて手を出せる(程の本気な)人は少ないでしょうね…

投稿: Lightweighter | 2009年7月11日 (土) 18:48

私は写真のような電動シフターやホイールまでが付いた所謂完成車で14000ドルという認識なのですが違うのでしょうか?

投稿: POLA-MIN | 2009年7月12日 (日) 16:19

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