ドラマの山、Ventouxで最後の審判
さて、Le Tour de France 2009はいよいよMont Ventoux頂上ゴールの20ステージを迎える。
まさに最後の審判が「死の山」Ventouxで下される。
「ツール 伝説の峠」を読むと、Ventouxに「死の山」なるブッソウなあだ名がついているのも納得する。
Le Tour de Franceが始まるはるか以前から、地元の人にすら忌み嫌われてきた峠なのだ。
Le Tour de Franceにおいても、数々のエピソードに彩られた峠である。
第15ステージで圧倒的な登坂能力を示して独走ゴールし、そのうえ第18ステージ個人TTで「まともに個人タイムトライアルを走らせたらいま世界一速いであろう漢」Fabian Cancellaraを破ってまたもステージ優勝するなどタイムトライアルスペインチャンピオンジャージが飾りではないことも世界に示して見せたAlberto Contadorは、補給ミスでもしない限りSaxobank勢がいかなる攻撃をしかけようともはね除けてしまうことだろう。それどころか再度ステージ優勝すらあり得る。
むしろSaxobankが攻撃対象として見るのはLance Armstrongの可能性が高そうだ。今のArmstrongは、蹴落とそうとして蹴落とせないわけではない。第15ステージでかつての力が戻っていないことを証明されてしまい、第18ステージでも苦しいステージだった事を率直に認め、そしてステージ16位の成績を「悪くない。順位は上がった」と認めなければならなかった。それは王者の発言ではない。いま彼は勝って当然の王者ではなくチャレンジャーに戻ったのだなあと実感する言葉だった。1274日のブランクと38歳の年齢でここまでやれたことは十分驚異的だとは思うが、レースとは結局結果を出すことでしか語れないものがたくさんある世界なので「〜にしては」が沢山並ぶほど実は高評価ではない。Armstrongは、いま新たないちチャレンジャーとして結果を出したいはずだ。
第20ステージのArmstrongは、総合3位の座を守るため、まさに全力でタイム差を防衛しようとするだろう。「7連覇のArmstrong」が、掴みかけていた表彰台から転げ落ちたではシャレにならん。少なくとも、表彰台に拍手を贈る立場にはなりたくないだろう。
かつてArmstrongとPantaniが世紀の一騎討ちを繰り広げ、後に「譲った」発言で物議を醸したVentouxだが、その発言にEddy Merckx,は「君の現役の間に、もう一度Ventouxで勝つチャンスが巡ってくるとは限らない。だから譲るなどよくない」とかナントカArmstrongに語ったそうだ。この件に関する他の人物からの意見(Pantaniに無礼だとかウンヌン)とは観点が随分違っていて、ある意味とてもMerckxらしいなあと印象深く記憶に残っている。奇しくもArmstrongの7連覇の間ホントウにMont Ventouxはその1度しかコースに入らず、図らずしもMerckxの預言が当たる形となった。2009年のVentouxをArmstrongが制すればそれこそ仰天だが、可能性はないだろう。
仮にその手の奇蹟を起こせるなら既に起こしてMaillot Jauneを着ているだろうからだ。
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コメント
こんにちは。
最後、凄かったですね。総合上位全員グループの凄まじさ。遅れたら順位降格確定という全員死に物狂いの走りはたまらなかったです。
Lanceは総合3位をキープしましたが、Schleck brothersのアタックについていけたというのがすごい。あんた4年間なにしてたんだよ!
Andy SchleckとContadorという二人の才能あふれる若者を除けばトップというのはArmstrongはやはり並外れていると思います。正直復帰したと聞いたときはアシストになるんだろうなと思っていましたから。
投稿: cano | 2009年7月26日 (日) 04:42
展開勝ちを許してしまったのは大失敗だと思うんですけどねぇ・・・。
たらればは無いのですが、
ペッリツォッティ、もしくはコンタドールの集団が追い付いて、
そこからの再アタックでガラーテが勝ったならば"すごかった"って思えたのでしょうけれど。
私はなんか複雑な心境でした。
投稿: POLA-MIN | 2009年7月26日 (日) 19:24