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2009年8月23日 (日)

屁までは責任持てませんがね

2009年は例年になくウェイト調整がうまく行ったのだが、その理由を考えてみた。

  1. 身体に違和感を生じたら迷わず中断することで故障を未然に防ぎ、目立った故障をしなかったのでトレーニングスケジュールが大幅に狂うことがなかった。
  2. 食事に対する考え方を少し変えた。

この二本柱だと思っている。
後者に関して「どう変えた」のか。

「タンパク質1gを摂取するのにどのくらいエネルギー価を必要とするか」で食品を評価することにした。

のである。

例えばプロテインは、人工的に精製されただけあってタンパク質含有率で異常なまでに優秀な値を出す。量販クラスのものでも総重量の80%前後がタンパク質であるなど数字だけ見るととてつもない値を誇り、当然ながら魚や肉にはそんなタンパク質含有率のものなど存在しないので、無敵の高タンパク食にも見えるプロテイン。だが、これは肉にも魚にも水分が多量に含まれているのにプロテインにはほとんど含まれていないカラクリがもたらすもので、実は「エネルギー価ベース」に換算して見ると匹敵するか下手するともっと優秀な食品さえ幾つかある。にぼしが重量比ベースでもプロテインに匹敵するのは、人の手が入って水分を飛ばしてあるからだ。

タンパク質含有量80%前後クラスのホエイプロテインはだいたい360〜380kcalくらいのスペック(笑)を持っている。つまり量販クラスのプロテインは、10gのタンパク質を摂取するのに50kcal弱のエネルギー価摂取を必要とする。高級プロテインだとタンパク質含有量が90%を超えるものもあるが、グンと割高になるうえ同じ量のタンパク質を確保したとして減らせるカロリーが2割程。1kcalでも摂取カロリーを落としたい、相当特殊な用途向けだろう。

ほとんどの食品は「100gあたりxxxkcal」「100gあたりタンパク質xxg」で表示されているので「タンパク質xxgあたりxxkcal」に換算し直してみると風景が違って見えてくる。100gあたりで換算されてしまうと、水分含有量の多い食品ほど実は低カロリー高タンパクでも見た目のタンパク質含有率では不利になるからだ。水分など、摂取した量が一時的に多少上下しても汗や尿で出てしまうものにすぎない。そんなモンを計算に入れるから話がややこしくなる。

タンパク質を10g摂取するのに要する熱量

最高級クラスの高タンパク含有率プロテイン
40kcal

にぼし(水揚げされた季節により少しの変動を生じるようだ)
43kcal

若鶏のささみ
45kcal

まぐろ赤身
47kcal

ありきたりなホエイプロテイン
48kcal

豚ヒレ肉
50kcal

近年出てきた、ジュースに匹敵する味を持ち極めて水に溶けやすいプロテイン
57kcal

牛ヒレ肉
74kcal

豚もも肉(脂身が付くと急激に劣悪な数字となり、2倍を超える悪化もあり得る)
77kcal

牛もも肉(脂身が付くと急激に劣悪な数字となり、2倍を超える悪化もあり得る)
78kcal

味重視の、ジュニア向けプロテイン
85kcal

うなぎ蒲焼き(白焼きの方がより劣悪な数字となる)
127kcal

まぐろトロ(中トロ。大トロへ向かうほど脂が増えもっと劣悪な数字になる)
153kcal

豚バラ肉(脂身の付き具合で変動が著しく、油を落とせば良化し、逆に真っ白なバラ肉だともっと劣悪な数値も十分あり得る)
292kcal

大麦
303kcal

白米(品種により上下し、最近は低タンパク米を作るのに躍起になっているようだ)
500kcal

列挙した食材はけっこう思いつきの適当なので、後は各自埋めて貰うとしよう。

凄いタンパク質含有量に見えたホエイプロテインだが、高級品でない限り鳥のささみや鮪の赤身とほとんど変わらないかむしろ負けるし、豚ヒレ肉もこれまた誤差程度で匹敵する。味や飲みやすさを重視したタイプのプロテインはこれら高タンパク食材に完敗する。プロテインの長所は長期保存がきくこと、携行可能なこと、圧倒的短時間で摂取できること、タンパク質1gあたりの単価が安いことだ。ヒレ肉のローストで毎日のタンパク質必要量を満たすとなると自分への投資額は急上昇するし、買いに行く手間も半端ではなくなってくる。プロテインなら袋買いして適宜水に溶かして飲むだけ。お手軽さの違いはまさに桁違いだ。が、逆に例えば鶏ささみを2日に1回程度以上買いに行ける環境があれば、それほどの金銭的負担増なしに普及クラスホエイプロテインをエネルギー価で上回る食事は可能。ホエイプロテインで時々起きる、飲み手との相性による下痢もない。

パサパサしてマズいと悪評高かったりする鳥のささみだが、オーブンで焼きたてのものを食べると実にうまい。試しに塩、コショウ、お好みでガーリックパウダーをまぶしたささみを140℃のオーブンで10分焼いて、暖かいうちに食べてみて欲しい。この調理法はカロリー変動ほぼゼロなうえ実にカンタン(オーブン調理さえ面倒臭いと思う人には面倒臭いだろうが)なのだが、200gくらい瞬殺でペロッと食べてしまうくらいおいしく、ささみのイメージが変わると思う。仮に200g食べたとしてカロリーは210kcalほどしかないが45gを超える良質のタンパク質(鳥のタンパク質は繊維が柔らかくて消化吸収しやすいそうだ)を摂取できる。運動後に食べればまさに文句なしの素晴らしいタンパク質補給となる。しかもささみと比べた場合、同じ量のタンパク質を普通のプロテインで摂ったら摂取カロリーはむしろ増えるのだから、値段がさして高くないことも含め、これ以上効率の良い食材はまず見つからない。ワタシはこの料理が毎日の食事に出たとして100日以上連続で食べる自信がある。ささみが特に好きなのではない。そのくらい美味しいからだ。大抵のささみ悪評の原因は無思慮な加熱しすぎによる調理ミスで、ワタシも加熱しすぎて繊維のようにバサバサで固くなったささみには閉口するし、アレはどんな味付けでも救えない類の不味さだと思う。ささみは「火が通った状態」から「熱を加えすぎてパサパサ」でオジャンになるまでの幅が非常に狭い食材なので、ボーッと加熱調理する人は片っ端から食えない繊維塊(笑)を作り出してしまう。

食事とはつまるところ金と手間(調理行為そのもの以外も含む)をどれだけかけたかで、それらを省いていいもの(豪勢な食事を意味するわけではない)は食えない。金はさほどかけなくても手間をたっぷりかけてやればかなり良い食事になる事が多いし、かけた金が超弩級であればわざとマズく調理しない限りそこそこ以上の結果を生む。金と手間の両方かければ最高の食事にありつける。手間省きの一つが外食で、同じモノをより高く食べることで手間の分を買うわけだ。出来合いの食品は、手間や金を省く代わりに大抵栄養価が悪化してゆく。特に、手間も金も省かれているのに味は案外悪くない(その人工的極まる味については賛否両論あるだろうが)ジャンクなインスタント食品は、安価に無理矢理味を捻り出す代償として栄養価に「見ただけで昏倒しそうな数字」が並んでいる。プロテインも“省いた”食事の一種究極形で、栄養価は落とさず手間と金の両方省く代償として「わざわざ金出してマズいものを食すシュールな食材」がプロテインである。ワタシはプロテインを摂取するのに全然抵抗がない人種(プロテイン摂取歴20年以上!)だが、プロテインが「おいしくて楽しい食事」だと思ったことはナイ。やはり“省い”た代償はきっちりある。逆に見ればマズいものを食す代償を払うことで金も手間も省けるのがプロテインの良さで、この逆転した発想の存在価値はたしかにある、と思う。

おまけ

・耳から米が出てきそうなほど白米を食べても筋肉は付かない。
・バラ肉喰って減量はあり得ない。
・栄養士から聞いた話なのだが、鶏肉・卵を多く食べる人間は含まれる成分の関係で屁が臭くなるそうだ。

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コメント

ゼラチン 39kcal
ふかひれ 41kcal
かつお節 46kcal
乾燥シラス 49kcal
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ゆで大豆 108kcal

大豆は結構カロリー高いですね。
私は、SAVASウエイトダウンで妥協する(46kcal)despair

投稿: ちわわ | 2009年8月23日 (日) 01:49

ちわわさん、まいどです。
ふかひれは確かに高タンパク食ですね。
牛ヒレ肉よりも高く付きそうですが(笑)

大豆は「豆類としては例外的にマシ」なだけで、基本的に豆は脂質が多量に含まれており(最も効率的なエネルギー保存法ですから当然です)スポーツマンが食べるもんじゃないですよね。ピーナッツとかのナッツ類も「油を固形に固めたものを食べている」と評価していいくらい高カロリー高油脂食品ですから。

大豆であっても、何らかの方法で精製しないと肉よりもずっと高カロリー食です。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年8月23日 (日) 21:41

糖質とタンパク質は 4kcal/g 、脂質は 9kcal/g ただそれだけの話です。3大栄養素のバランスで食材のカロリーは決まる。当たり前の話です。

投稿: LIVE WEAK | 2009年8月24日 (月) 00:05

脂質って9kcal/gでしたっけ?8だったような…
家庭科もう少し真面目にやるべきでしたw

投稿: nYolo | 2009年8月24日 (月) 15:57

いつも興味深く読ませていただいています。タンパクの話ですが、量だけではなくて質も大切ではないでしょうか。プロテインスコアが低いタンパクでは結局必要以上のアミノ酸ばかり摂取することになり、最終的にはエネルギーにして消費するか、糖に変換して最終的に脂肪になってしまうか(ちょっと自信がありませんが、何せかなり昔の覚えたことですので)で、ちっとも役に立たないことになります。
ゼラチンは確か非常に単純なアミノ酸の構成だったようですので、ゼラチン(コラーゲン)をたくさんとっても肉にはならないでしょう。
やっぱりおいしいもの(えてして油が多いのですが)をバランスよく食べるのが幸せですよね。

投稿: kikupapa | 2009年8月24日 (月) 20:57

愛用しているオリヒロのソイプロテインはたん白10gあたり42.5kcal。
ホエイやエッグ等の吸収の早いプロテインにこだわらないのであれば価格も安く、優秀です。

(オーブン調理さえ面倒臭いと思う人には面倒臭いだろうが~の部分については10分焼くための15分の余熱が面倒かと思います。
多少のたん白質の遊離がありますが、沸騰したお湯にささみをありったけ投入し、再沸騰したら火を止めて冷めるまで放置するってのもあります。冷めたら水気を切って冷蔵庫で保存、食べたい分だけポン酢や練梅、ドレッシングなどでどうぞ。
大量に作り置き出来るのがメリットです。

投稿: opo | 2009年8月28日 (金) 12:13

LIVE WEAK さん、はじめまして。
これからもよろしくお願いします。
えらいこと力強い調子で肯定ありがとうございました。
ただしそれ「だけ」じゃないことは以前取り上げた本でもウルサイくらい書いてありましたのでご参考までに。

nYoloさんまいどです。
ワタシが見た本では全部9kcal/gで計算されていますね。

kikupapaさんはじめまして。
これからもよろしくお願いします。
次の段階として、当然「質」を追求して然るべきだと思います。
まずは一日の栄養素を把握することからでしょう。それもできない人に質の話をしても100%コケますよね。

opoさんはじめまして。
これからもよろしくお願いします。

たった140℃まで加熱するのに15分ですか!!!!

それは大変ですね。
ウチのオーブン、いま計ってみたら3分かかりませんでした。2分40秒くらいで140℃に達し、15分もかけたら300℃まで余熱できます。余熱に15分待つオーブンを持っている人が余熱を終える前に食べちゃいますね。余熱にそんなに掛かるようだと、オーブンを使って料理する気が失せますね。

茹でるのは以前やってましたが、オーブン焼きに比べると「味」でとても敵わない感じがしております。省いた手間の見返りはキッチリ喰らいますね。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年8月28日 (金) 16:19

えらい昔の記事についてなのですが、一言言いたくて。
いつも読んで参考にしています。

ささみ、マネしました。
感激しました。おいしく、下痢の心配が無く、しかも壮絶に簡単。
市販のシーズニングパウダー(SB食品の鶏の香草焼きを使用しました)にて、配合すら必要無し
あとはレモン醤油でもつけりゃ完璧。
一人暮らしのアスリートにとってはこれ以上望めないレベルの料理かもしれません。
プロテインはあくまでも速攻補給用の「サプリメント」ですしね。

投稿: むねりん | 2010年9月19日 (日) 18:37

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