Alberto ContadorがASTANAを離れることを正式表明
2009年のLe Tour de Franceで2度目の優勝を果たしたばかりのAlberto ContadorがASTANAを離れることを正式表明。
2010年の契約満了を待つことなく、日本円換算5億円以上の年俸とエース待遇のオファーを蹴ってのチーム離脱。Bruyneel監督の預言予言そのままに「沈む船から鼠が逃げ出す」かのように次々と主力が抜けてゆくASTANAである。
「Vinokourovの為のチームに、Vinokourovが帰ってくる」時点で、Contadorは「エース待遇」の約束などいざVinokourovがチームに参加して走り出せば三秒で反故にされると判断したようだ。また、2008年のASTANAが、2007年中にクビにした選手たちの起こしたドーピングスキャンダルのせいでLe Tour de Franceに出走すらできなかった苦い経験も加味して判断したのだと思う。その“原因”の一人たるVinokourovがチームに帰ってくるのだから。
かくしてContadorはASTANAを離れる。
三大グランツールを全て制し、20代半ばにして既にグランツール通算4勝。しかもこれから数年間は毎年のように“上積み”が期待できる、自他共に認める当代最強にして史上有数レベルに達したステージレーサーContador。スペインの英雄Indurainの再来どころか、今後故障や事故に見舞われなければ「史上最多グランツール制覇数記録」を打ち立てる可能性さえ十分ある。
ところが選手としてあまりにパワフルすぎて逆に収まりどころがなかなかナイ。
実はLe Tour de France前にGarmin slipstreamとの契約話もあったContadorだが、まとまらず。2009にプロツアーチームへと昇格し、2010こそはグランツールの一角くらい獲りたいGarmin slipstream側としては、いま地球上で一番確実に勝てる選手であるContadorはかなり欲しかった筈だが、年俸などの面で頓挫したと思われる。
純スペインチームであるCAISSE D'EPARGNEからのオファーもあったが、あまりお金がないチームとしても知られるCAISSE D'EPARGNEにContadorに見合う年俸が払えるはずもなく頓挫。
過去数年間に重大なドーピングスキャンダルが相次いで自転車ロードレース界からスポンサーの多くが逃げてしまったのと、2008年夏に端を発した世界的金融危機の影響で、これほどの凄いスター選手を養えるチームはさほど多くない。Contadorの場合、DiscoveryChannelに誘われた頃ならいざ知らず、今や実績があまりにありすぎてリクルート活動至難である。まだ「ソコソコ有力」な選手の方がよほど“就職先”を見つけやすい。
まだVuelta a Espanaも世界選手権も終わっていないが、ロードレース界のストーブリーグはContadorの行く先が決まるまでレースそっちのけで白熱しそうである。
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コメント
この場合は「預言」ではなく「予言」でしょう。
投稿: かも | 2009年8月 2日 (日) 01:00
コンタドールがガーミンとの契約がまとまらなかった原因に年俸面だけでなく、プロツアーチームでも最も"クリーン"なことを求めているチームが決断しきれなかった、と見てしまうのは穿った見方でしょうか?
投稿: hiro | 2009年8月 2日 (日) 14:48