耐えきった男の勝利
世界選手権ロードレース、エリートロードは南半球初の快挙をCadel Evansが飾った。
ビッグレースで何度もいいところまで行っては最後で勝ち切れていなかった苦労人Evansが遂に栄冠である。
「全員がエース」状態で大本命視されていたイタリアチームは何とCunegoの8位が最高位と誰もが予想しなかった低空飛行で、連覇を逃した。
Evansは複数年に渡って不運続きの選手だっただけに、この栄冠には率直な「おめでとう」の言葉を贈りたい。
本人も感無量だろう。
イタリアチームは、図らずもCancellaraのアタックに混乱を来し無駄に脚を使ってしまった。CancellaraはCancellaraで、個人としての力は超一流でもスイスチームとしての援護らしい援護は得られない(他のスイス選手と力の差がありすぎるため)中、それなりに本気で2冠を狙っていたので「一か八かのアタック」がどうしても必要だった。そしてイタリアチームとしてはTT世界最強男Cancellaraにアタックを許せばそのまま逃げ切られかねないのでこれをツブさなければならない。
そうして超有力候補同士がヨソでバトルやって消耗してくれたお陰でEvansに勝機が訪れ、そして彼はそれを逃さなかった。この何年も耐えて耐えて勝機をずっと待ち続けてきた男に遂に訪れた勝機だった。Evansが「強い選手」であることは多くの人が認めるところだろうけど、今回の世界選手権でも彼を「優勝候補」と挙げた人は、オーストラリアの人か、個人的に彼のファン以外にはほとんど居なかったと思う。Evansはそのくらい「強いけど最後は勝ちきれない」選手だった。しかも2009年はここ3年ほどで最低の成績が続いていたので余計影が薄かった。だが彼はこの低空飛行の連続にも集中力を切らしていなかった。他のチーム(国)にとってEvansは「逃がしても良い選手」ではなかった筈なのだけど、結果としてはEvansが見事なアタックを決めての逃げ切り勝ち。スペインチームはValverdeのスプリント勝負に持ち込むことが出来なかった。
何はともあれ「エターナルセカンド」返上のEvansおめでとう。
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コメント
Cancellaraの余裕のゴールシーンだった私のPCの壁紙が、たったの2日でEvansが藻掻いている写真に変わりました。
投稿: POLA-MIN | 2009年9月29日 (火) 00:40