« EUROBIKE 2009 vol.1 e・MOTIONがEUROBIKE Award! | トップページ | EUROBIKE 2009 vol.2 名前が「ジュール」なのがなかなかイイですな »

2009年9月 4日 (金)

「レースは走る実験室である」by HONDA

予告&既報通り、全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍 2009参戦。

※現状、取りあえず公開。加筆される可能性大。

準備もなかなか一筋縄でいかせてくれない。

左足首とか左膝とかはもうお馴染み(!?)なので、とにかく「しない・させない・関節パンク」第一でトレーニングを続ける。故障箇所との“付き合い”はここ数年で最高にうまくいったのだが、何故か8月16日、ローラーをやっている最中唐突にケツの肉離れをおこし、最後の追い込みに失敗する。

ま、現実はいつでもそんなもんだろう。

かのFloyd Landisは、Le Tour de Franceの最中に股関節が壊死していて大会終了次第置換手術をすることを公表して周囲を仰天させ

「痛くないのですか?」

と質問を受けたとき

「ここ(ツール)では誰もが少なからず何かの痛みと戦っている」

と答えてみせた。彼自身は残念ながらドーピングでタイトルを剥奪されたが、この台詞はとても気に入っている。選手が発したものとしては「近年最高の一言」だとまで思っている。そこで真似(?)して痛みと闘ってみる。アナボリックステロイドはやらないけど。

っても走ると激痛では何も出来ないので医者に行くと、ボルタレンを出してくれた。そこで「ああ、治す方法はないのね」と気分がやや暗くなる。これは麻酔鎮痛薬(の商品名)だ。痛くなくなるだけで、ビタイチ“治す”薬じゃない。でもまあ、治すとかそーゆーのは乗鞍の後でいいか。と割り切る。とりあえず痛くならなければ。2009年は乗鞍が最後だ。乗鞍をゴールしたら、その後でゆっくりどう治すか考えたらいい。こうして直前2週間のトレーニングスケジュールは完璧に狂ってしまったが、スケジュール通りだったらパワーが30%上がったりは絶対しない(笑)し、失ったパワーも誤差程度に下がったくらいだろうからこんなもん気分の問題と片付ける。自転車は完成状態でMt.富士の時よりむしろ280g重くなったが、自分が2.4kg軽量化して相殺どころか大幅軽量化に成功。きっと総合的には「プラス」だ。

Mt.富士の時は前日に高山病を起こしやがってスケジュールを大幅に狂わせてくれた友人には「今回はこの前みてーに前日夜更かししてやってきて高山病でダウンするとかナメた真似したら絶対助けてやんねーから覚悟しとけ」と随分前から宣言しておいたし、本人もさすがに高山病はもう勘弁と思ったようでそれなりに準備してきたらしく、今回は問題なかった。

レース24時間前実施の新カーボローディング法もスケジュール通り実施。

補給はマルトデキストリンを溶かした水にする。
1本で足りるところをあえて「全部入っていないボトル2本」構成とし、2本目は濃くした。

マルトデキストリンを主に使うようになってから、CarboShotzのあの人工的なフレーバーがどうも鼻につき、特に濃くした時にはウエーと来るようになってしまった。フレーバー無しCarboShotzってないんですかい?

折角の乗鞍なのに走っていてあっちこっち痛くなり気が散っては困るので、痛めた右ケツ以外にも左足首、左膝にボルタレン塗ってスタートに列ぶ。特に左足首は8月頭からパンク寸前で、弱く低周波治療器をかけたような痺れが続いているので「とりあえず、あと20km走ってくれ。後は暫く休ませてやるから」と言い聞かせる。

ワルくない。

いやむしろ良い感じだ。ケツも違和感があるが痛くない。上等!心の中で一言「ここでは誰もが少なからず何かの痛みと戦っている」

あとはゴールまで走るだけだ!泣いても笑っても2009年最後だ!

が、ここで最後に何故かお笑いネタが来る。

「それ」はスタートしてすぐだった。

足元から「パキッ」と音がする。「えっ?」と思うとほぼ同時に右足がスコーンとペダルから外れ、右足首をペダルで強打。何か小さくて軽いものが落ちた金属音チャリーンと後方へ消えて行く。

決して100円玉を落としたワケではない。

「ああ、クリートが折れたなこれは」

右足の先端がペダルに引っかからない。間違いなく折れている。下車して確認するまでもなかった。何故なら8月頭に一回折れたばかりで、新しいものに交換して一ヶ月も経っていなかったからだ。あの時と同じ症状だから、確認の必要はない。これがクリートではなく100円玉なら止まって拾ったか?それは哲学的な問いだな。

メーターを見ると、まだ僅か1.64kmだ。
おいおい、残り1.64kmで折れたんじゃねえぞ。あと19kmも右足固定不能のまま登るのかよ。
DNFの3文字が頭を過ぎる。

だが

「これがどんな結果をもたらすか」とか「なんでこうなった」とかそーゆーのは全部アトでいいから。一旦横に置いて、走り終えてから頭から煙出るくらい考えたらいいから。2009年の全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍は今日限りで次はない。リタイアする自由はゴールまで残り19kmの間たっぷりあるんだから、走るのがまず先決だぜ。

と、冷静に見てみれば少々破綻気味の理屈混じりだが取りあえず己に言い聞かせて走る。まさか、新しいクリートに付け直した方が1ヶ月もたずにまた割れるとは想定外。「これが前から使い続けている左側なら己の準備不足を反省するところだが、割れて更新した方がまた割れるか〜!」と気持ちは複雑だったが、そこで「あんまり考える脳味噌で糖分を使うから考えるな(笑)」と思考を断ち切り走る方に集中。

途中で何回右足がペダルから外れたか分からない。VISTAペダルは金属ペダルに金属クリートなので、固定が効かない状態ではツルツルでフラットペダルよりもよほどよく滑る。右足は薄氷を踏む思いでしか踏めない。ほとんど左足の片足ペダリングだ。

「片足ペダリングで乗鞍を登ってみるテスト」かよ!

当初予定では、ヘアピンの連続部分でそれまで心肺機能に偏った走りをして溜めておいた脚を使ってダンシングで華麗にクリア(当社基準による)する筈だったのだが、当然予定は大いに狂い、ほとんどをもくもくとシッティングで登る羽目になる。

「こんなコトもあろうかと思って冗談のようなギア比を保険で足しておきましたよ。by 真田技師」

とか

「この坂をダンシングで上がるために56.5kgまで絞ったのに、そりゃないぜセニョール!」

とか色々寒いギャグが脳裏を過ぎったが、そこで「あんまり考えると(以下略)」

みんなゼーハー登っているのにこっちは雑念だらけだ。

雑念が多かったせいか、全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍のコースは途中に15%の壁があるらしいのに結局それがどこなのか分からなかった。

「…コレか!?…いや、こんなもんじゃないだろ」

の連続で、最後まで「凄そうな壁」は現れなかった。15%の数字にビビリ過ぎていたのかも知れないし、自分の軽量化&パワーアップが効いたのかもしれない。走る前はこの15%にかなりビビっていてフロント34Tを用意できなかった(38T使用)事を心の片隅で後悔していたのだが、38Tで走り切れる事が分かったのでほっとした。とにかく頭の中が「この故障自転車(と故障本人)を何とかゴールまで持って行くこと」雑念(笑)で一杯だった。

ゴール後、友人のデジカメで撮って貰った“死にたて”のクリートの勇姿(笑)
後で見たらペダルで強打した右足首もかなり腫れていて(9月4日現在まだ腫れている)帰りの運転にやや支障を来したのだが、走っている最中は痛みを感じなかった(皮肉にも右足首にはボルタレンを塗っていなかった)。精神集中って大したものだな(笑)

P1060097s

VISTAペダルの名誉(笑)のために一応書いておくと、この1ヶ月で何故か2回も折れてしまったが折れたのは通算この2回だけで、それまで2年以上、一度も折れたことはなかった。何故短期間で2回も折れたのかの原因究明はこれから。

そして、これだけ雑念一杯の片足ペダリング19kmだったのに、Mt.富士の時より平均パワー10%UP

これでもうお腹一杯大満足だった。パワーメーターのAvを見た瞬間、正直「感動した!故障に耐えてよく頑張った!」と小泉純一郎のように感動した。まだまだ残暑が続くので寒いオヤジギャグを一発かまさせてもらうと「クリートは折れたが心は折れなかった」

これで折れなかったらどうだったか。

そんなこたー考えもしない。折れたのが2009年のワタシの乗鞍だから、その結果に不満は何もない。むしろ、なかなか得難いケッサクな思い出をありがとう。だってレースでなけりゃ、クリート折れた時点で200%走るのヤメて引き返してますから、ええ。

次があるとして、身長178cmなのに体重56.5〜57kg 胴囲56cmのワタシでこれ以上の身体軽量化を行うと生命維持上やや危険な領域に入ってくるだろうしパワーダウンも来すと思われるので、もっと身体を軽くすることによるタイム向上はほとんど望めない。地道なパワーアップあるのみだな。

|

« EUROBIKE 2009 vol.1 e・MOTIONがEUROBIKE Award! | トップページ | EUROBIKE 2009 vol.2 名前が「ジュール」なのがなかなかイイですな »

コメント

お疲れ様でした(^^;


指摘箇所を

ボルタレンは消炎鎮痛薬ですよ。
麻酔薬ではないです。

局所麻酔薬の様に痛みを完全に消すことは出来ないですねぇ(^^;

投稿: ZiPP2001 | 2009年9月 4日 (金) 00:26

LIVESTRONGさんにお伺いします。

VISTAペダルを削ったりするときに、
このペダルの耐久性とかに疑問はもたれませんでしたか?

軽量化と耐久性はトレードオフの関係だと理解していますが、
ある一定の耐久性を持たせないと、結果として、
タイムが遅くなることを経験的にご存知かと思います。

クリートが折れるという問題があったにもかかわらず。大事なレースに投入された理由等あれば
是非お伺いしたい次第です。
(LIVESTRONGさんが、リスクを負う代わりに何を得ようとされたのたが知りたいです。私だったら、ペダル系の変更を行うのですが、LIVESTRONGさんは独自のお考えがありそうだったので質問させていただきました。)

特に何も考えずにVISTAペダルを使用されたのであれば、本コメントは、スルーしてください。

投稿: grampuer | 2009年9月 4日 (金) 04:41

ZiPP2001さんまいどです。

ご指摘ありがとうございます訂正させていただきました。
また塗っていた時に感じた「不気味な違和感」もなるほど納得です。

grampuerさんおひさしぶりです。

まず、すいませんこのいかにも脆弱なペダルは流石に削ってないのですが(苦笑)
なんでペダル削ってる事になっているんでしょうか?(苦笑)

「クリートが折れる」に関しては、クリートは消耗品ですから今のところ怪現象とは考えておりません。

また最初の1セットを買ってから折れるまでずっと使いっぱなしでいけていた(ペダルの方は既に交換)など、VISTAペダルのクリートは「ペダル本体よりもクリートの方がよほど耐久性がある」くらいもつので、単に寿命が来ただけだから新品と交換すればまた2年は使えると考えていました。

それに、レース直前でのペダル変更は恐ろしくリスキーだとワタシは思っておりますし、VISTAペダルから他のものへの変更は、LOOKからSPD-SLに換えるのとは全然ワケが違ってサドルの位置が2cmくらい動きますので、ポジションも全部やり直すことを意味します。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年9月 4日 (金) 05:56

回答ありがとうございました。

>>まず、すいませんこのいかにも脆弱なペダルは流石に削ってないのですが(苦笑)
>>なんでペダル削ってる事になっているんでしょうか?(苦笑)

LIVESTRONGさんがペダルを削ってると思いこんでました。
すみませぬ><;

投稿: grampuer | 2009年9月 5日 (土) 01:38

grampuerさんまいどです。
全然気になさらないでください。

VISTAペダルの実物をお使いなら一目瞭然の事なんですが、コレ削る余地ほとんどないです。

最初からかなりあちこち肉抜きされてますし、結構脆弱で、コーナリング時についペダリング開始が早すぎて思いっきり地面を踏んづけたりすると間が悪かったら一発でコワしてしまいます。ワタシはVISTAに換えてから累計3回くらい地面を踏んづけて飛び上がってます(気持ちではなく実際にコーナリング時に内側ペダルで地面そのものを踏んづけた反動で自転車がドンと跳ね上がりました)が、1回はコレで壊しました。クリートは今年8月に折れるまで最初に買ったモノがずっと使えましたが、ペダルは2回交換して現在3代目です。およそ頑丈じゃあないです。

でもワタシにとっては「これだけは換えられないもの」がVISTAペダルとO,SYMETRICです。あらゆる意味で、最後に残りますね。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年9月 5日 (土) 13:44

羨ましい身長と体重、胴回りですね。
当方身長165cm体重57kg胴回り70cmを行ったりきたり、体脂肪率は13%位で自転車乗りとしては太ってます。
それでも職場の女性陣からはむかつく程痩せてると嫉妬されます。
LIVESTRONGさんならどうなるか恐いです。
これからもスポンサーの無い普通の情報をお願いします。
実は普通に発表するのが一番難しいのですが、毎回脱帽です。

投稿: カオス | 2009年9月 5日 (土) 22:02

カオスさん、タニタのアスリートモードで6月半ば以降ずっと5%、現在は普通モードでも5.x〜8.x%の体脂肪率ですが、一週間に1回くらいのペースで「病気したのか?」「また痩せてない?」「メシくってんのか?」等と聞かれますので、その度にいちいち「いえいえ、この一ヶ月で体重はほとんど変わってないです(本当ですから)よ」と釈明したりするのがかなりうざいです。

おまけに、この体脂肪率でちゃんとモノ食べないでいると普通に家でくつろいでいても呆気なく低血糖(いわゆるハンガーノック)を起こして手足は氷のように冷たくなり痺れ、意識朦朧となったりします。メシがちょっと遅れただけで生命の危険すらありますので日常生活上はただ不便なだけです。

また、服のサイズがいよいよありえないチョイスになってきます。

上着なんかwomansのSで普通になってしまいました。mensのSじゃあないですよ。
mensだとブカブカです。

そのため「上下セット」の服を買うことができません。

スポンサーは、仮にこのような変人をスポンサードしようと仰っる方が現れても未来永劫にわたりお断りですね。ワタシはタダで貰ったものでも平気でボロクソにケチつける恩知らずなタチなんで、スポンサー氏に迷惑かかりますから(苦笑)

「ああーやってしまったのね、スポンサー様への反逆行為を(苦笑)」と思うくらいなら全部自腹で行きます。

投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2009年9月 6日 (日) 06:39

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「レースは走る実験室である」by HONDA:

» 乗鞍 [はるなの日記]
「レースは走る実験室である」by HONDA 商品名)だ。痛くなくなるだけで、ビ... [続きを読む]

受信: 2009年9月 5日 (土) 00:36

« EUROBIKE 2009 vol.1 e・MOTIONがEUROBIKE Award! | トップページ | EUROBIKE 2009 vol.2 名前が「ジュール」なのがなかなかイイですな »