彼の日
今日は「彼の日」だった。
そう一行書けば済むくらい圧勝だった。
世界選手権個人TTで、地元スイスのFabian Cancellaraがブッチギリの優勝を飾った。
なんせ2位に入った前走選手を抜いてゴールしてしまったのだから尋常ではない。
順位2桁レベルの選手を抜いてゴールした。
これは分かる。
トップクラスの選手はそのくらい速い。
しかし、2位に入った選手を「抜いて」ゴールするなど、まるで全盛期のMiguel Indurainのようだ。「ついでに」と書くと少々失礼だが、4分前にスタートした選手もこれまた途中で抜いている。まさに「桁違いの力を見せつけた」と評するほかない強さで、1位と2位とは順位以上に差がある感じだ。もはやCancellaraただ一人だけ違う次元で走っている。しかも今回のコースはほとんど平坦部分がなくて細かい登り下りを繰り返すなかに10%の坂を含む周回コースを3周するトリッキーなもので、平地番長が勢いで押し切れるようなものではない。
かくしてCancellaraは、狙いに狙った北京オリンピックの金メダルとツール総合優勝のアシストで燃え尽き体調を崩してDNSだった2008年に“貸して”いたアルカンシエルを取り戻した。
早くから本命本命と騒がれ、開催地である地元スイスの期待度は鰻登り。しかもCancellaraはスイスで勝つ事に誇りとこだわりを持つタイプなので外野の騒音以前の問題として本人自身がまずナンとしても勝ちたい。その、自分自身がとても勝ちたくて、外野からも勝たなければ何と叩かれるか分からないなかでキッチリ勝てる精神力も素晴らしい。横綱相撲とはこの事か。いやはや、おめでとうの一言ですな。
Bradley Wigginsがメカトラブルのあと「もはや気持ちいいくらい」失速していたのも印象的だった。「健闘」など無価値!とばかりに優勝しか狙っていない、本気で勝ちに来ていた選手らしかったけど。
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コメント
こんにちは。
5つの計測地点全てトップタイム通過はもう凄まじいとしか言いようがない上にゴール100m手前付近からロードの如く声援に応えながら両手を上げてのグリコゴールはTTでは異例な圧勝ですね。
まさに順位以上の差があります。 もうTTでCancellaraに勝てる選手は落車でも無い限りいないですね…
投稿: Lightweighter | 2009年9月27日 (日) 18:29