雨に感謝した一冊 Tarzan特別編集 太らない食べ方 完全BOOK

前方視界に支障があるほど土砂降りの雨宿りしたコンビニで偶然目に入ったから手に取っただけで、雨宿りしなければ決して買わなかったような本なのだが、雨宿りして良かったと思った。

1. いわゆる「ダイエット本」ではない。「真っ当な食生活＝太らない」ようなロジックで出来ている。
2. 論理的で、根拠が明快である。
3. 毎日の実践には「簡便さ」も重要である事を押さえて作られている。載っているレシピも然り。
4. 安い。

以上の点で、出色の良書だと思う。これで680円は凄いんじゃないか。この手の本って、普通に1500円くらいするぞ。

「消費カロリーよりも喰えば太る」絶対に逃れられない真実からスタートし、だが単に「んなこたーわかってんだよ」の羅列だけでなく

1. 汁
2. 野菜
3. おかず
4. 炭水化物

の順番で食べるだけで同じモノを食べても結果が違ってくるような「簡単に出来て、理に適っていて効果も期待できること」が押さえてある。この手の事柄も、知っている人は当然のように知っているだろう。ワタシもデブりたくなきゃまず野菜から喰うべきで炭水化物は最後だくらいのコトは知っていた。なお、この理由によりレース前のエネルギー補給として食べる食事に野菜から入るのはマチガイ。折角摂った糖質がスカッと吸収されない。また繊維質は消化吸収できないので次の大便まで体重が無意味に増加する点でもマイナスだ。

そのくらいは知っていた。が、こんなコトに限らずありとあらゆる正しいことを全て正しく網羅している人はいない。知っている気でも忘れていたり覚え違いをしていたりする。この手の“順番モノ”だと、いつの間にか順番が入れ違っていたりする。そこで「俺の方が半端な本より詳しいから」などと思い込み一人盛り上がって、本を「今更」とバカにする人ほど意外な陥穽を抱えているものだ。なんせ自分は正しいと思っているから検証プロセスがない。検証しないので、一度間違うと5年でも10年でもずっと間違ったまま行ってしまう。だから、仮に一通り知っていたとしても時々このような本に触れるのは無駄ではないのだ。それどころかむしろ沢山の知識を持っているならば、その“メンテナンス”として見直しは必要だし、知識の量が増えれば増えるほど「見直し」の頻度も上がるのが本来の姿であるはずだ。

陥穽の実例として、自動車に関してはメカにも運転にも詳しく色んな車を実際に運転した事があり運転のウデも結構なもので、自動車に関してワタシが一目も二目もおいていたとある知人が、乗用車のバッテリーは特殊な例を除き電圧12Vである事をワタシが指摘するまで知らなかった驚愕の事実に何の冗談ですかソレと仰天した事がある。車に詳しくない人が知らなくても驚かない。車に関して蘊蓄を語らせたらカルく12時間は喋ると思われる人物が本気で知らなかったのだから恐れ入ったし、これは元から詳しくない人が知らないより100万倍は恥ずかしいと思う。基本的なことを学習しないまま蘊蓄の断片だけ数多く経年コレクションしていくとこのようないびつなモンスターが出来上がる。ダルマ落としの上に豪邸が載っているようなものだ。おおコワ。ワタシなら、こんな恥ずかしい事をやらかしたらその後3年は車に関して黙ってるだろう。

基本的な事を簡潔に押さえてある本をバカにする人は、そのようなつまらないプライドのせいで大ポカをソレと知らずに抱えたまま行って損をする。だから、この手の「特殊なことは書いていない本」を見直すのはとても大事なコトだ。

ウルサ方のお歴々にとっては「そんなことは知っている」の連発かも知れないが、だとすれば大変ケッコーなことではないか。正しいことを正しく覚えているのを再確認できたのだから。