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2010年2月11日 (木)

決まった数などない

雑誌の類では「何回転が理想」特集のようなモノをやることがあるらしい。
「らしい」のは、前から何回か書いているとおり自転車雑誌をほとんど読まないからだ。

例えば2010年2月現在、最後に自転車雑誌を読んだのは2009年の10月だ。

だから以下のような内容が既に書かれていたとすれば「コレは失敬」と謝っておく。予め。

この手の特集は「ガチで初心者」の人以外は読んだらダメだ。

本来「〜rpmが正しい」などないからである。

だが、雑誌は宿命的に読者に答えを提供し、それがさも正しいかのように振る舞わねばならない。そこにウソは必ず入るし、編集者もウソが入っていることを分かっていたりする。心の中で「すまん」と念じながら。だがプロなのでそれはおくびにも出さないだけだ。

その人それぞれの筋肉と心肺機能の発達度合いに応じた回転数がベストであり、それ以外のベストなどナイ。ベストの回転数は、その人のトレーニングレベルが上がるに従って変化することも何ら異常ではないどころか変化しない人の方が珍しい。ベスト回転数は“生きている”のだ。有り難く頂戴する黄金数など存在し得ない。90rpmがいいだとか100rpmがいいだとか、噴飯モノだ。あくまで「いま、ここでベスト」を探すほかナイ。

「それをどうやって知るかが問題なんだろーがヴォケ!」

もっともだ。

だがそこで他人に聞くなど根っこからチガウ。

おのれの最適ケイデンスを知るのに必要なのは「仕事量(W)固定トレーニング環境」のみ。“えらいひと”の垂れた能書き・蘊蓄ではナイ。そんなもんは鼻かむなり尻を拭くなりして捨てなさい。役に立たないどころかマイナス(無意味な思い込みとしてしか作用しない!)だから。

聞くに値する人は「決まった最適値なんてないよ」と答える人であり、そうなるとやはり聞く必要などないのだ。

最大のポイントは「負荷固定」ではないコトだ。

負荷固定だと、回せばしんどく回転数を落とせば落とすほどラクなのだから生き物の性として回転は必ず下がる。これはトレーニング装置としては間違いでも何でもないが、最適ケイデンスを探す環境としては何ら機能しない。

回転数を上げれば脚が楽になる代わり息が苦しく、回転数を下げれば息は上がらなくなるが脚にズシンと来る。

このアンビバレンツな仕事量固定環境でもがくうち、生命は勝手に自分が最も楽にそれ(仕事量)をクリアする方法を探す。150Wなら150W、200Wなら200Wで漕ぐとき、仕事量固定環境で漕いで漕いで漕ぎまくれば「その仕事量に耐えるのに最も合理的な回転数」に勝手に行き着く。しんどいコトからは逃げたい、誰しも持って生まれ消すことは出来ない欠点を逆に利用するワケだ。本当に面白いように行き着く。

例えばワタシの場合、160Wでやると必ず104rpm±2に行き着く。それはもう、面白いくらいに。

これが85rpmの人が居たとして、何一つおかしいコトなどない。110rpmも然り。

それを「おかしい」と思うのが、救いがたい「常識の主人ではなく囚人」ってヤツなのだ。
その、見えない首輪の鎖を断ち切れ。

この数字は「○○rpmが正しい」と思い込んでいると簡単にぶれてしまうため、決してケイデンスを見ながら回してはいけない。それこそ目を閉じてやるくらいで丁度良い。じっさいワタシは本当に目を閉じてやるコトが少なくない。

ひたすら己の肉体に問う。どのくらい回している時が一番ラクか。メーターの数字などに問うてはならない。

仕事量固定環境で回しながら己に問い続けると、次第に「重ったるい。脚に来る」「軽すぎる。脚が空回りしている」が分かるようになる。最初は分からなくても、分かろうとしてやり続けると次第に分かるようになる。そしてその間に、丁度良いポイントが必ずある。それを掴むまでずっとヤル。投げ出さない限り、答えは必ず見つかる。

注意点

  1. 仕事量が大きすぎても小さすぎても分かりにくい。小さすぎると幾らでも無理が効くので最適回転数から外れても問題と感じられず、大きすぎるとヨレて安定しないからだ。
  2. 上記の通り回転数を見ながらやるのは禁忌。見ながらやると「こうあって欲しい」と思っている願望の数字に、ほとんど無意識に合わせてしまう。人間はそんなもんだ。思い込みのバイアスは恐ろしいほど効く。
  3. 「〜が〜でアツい走りを見せた時のケイデンスは何rpmだった」とか「〜の記録jは何rpmで達成された」とかは全部棄てる。それは他人の話で、自分のコトじゃないことを肝に銘じるべし。
  4. 5分や10分で答えが出た気になるなど抱腹絶倒モノ。1回最低でも1時間はやらないと大凡の数字すら分からない。例えばワタシの場合、30〜45分くらい経った頃から回転数がじわじわ上がるが、30分でヤメてたらそんなことすら永遠に分からない。
  5. 数回やってすぐに「得たり!」と思わないこと。思い込みの全てはマイナスと知るべし。

こうやって見つけた回転数が出ると、実走に於いてそれよりやたら高くても低くても「走りのどこかがズレている」と分かる。一段上に行けるワケだ。たぶん最大の課題は、仕事量固定トレーニング環境をどうして得るかだ。これが意外と難しいと思う。ワタシの脳味噌で考える限りにおいては、仕事量固定トレーニング環境は電子制御で負荷を自動可変できないと無理だ。三本ローラーとかにはまだ存在しない筈だし、固定ローラーではTacx T1980 BushidoであるとかSARIS Power Beam PRO以上のレベルでないとこの「仕事量固定トレーニング」は出来ないと思う。

また金かよ。

ま、世の中そんなもんだ。

何かを競うとき、自己への投資(時間含む)が少ない人間の方が有利なコトなど何もないのは間違いない。

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コメント

雑誌でもこの通りのことが聞きたいですよね。
どの分野でも同じようですが、雑誌はあちこちの顔色伺った、御用記事ばかりで。

回転数は昔は「大体の人の最適ケイデンスは平均約90rpm」と記載されていたのに、今は「(誰でも)90rpmにするべき」との話になっています(知る限り、今中さんがそう言い始めたような。雑誌社の顔色伺い?)。
偏差が大きい場合、中央値ならまだしも平均値は意味がないし、逆は真じゃないって誰でも知ってるはずなんですけどね。

投稿: kz | 2010年2月14日 (日) 10:03

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