おぬしにはこの数字の意味が見えぬか?cervelo S5
Le Tour de France 2011に合わせ、Hushovd等がテストしていたcervelo S5が発表された。
エアロロードの概念を大胆に導入し衝撃を与えた名作SOLOIST CARBONの流れをくむ、cerveloのエアロロード最新作である。
驚いたのは、その空力。
20km/hでノーマルロードフレーム比3Wセーブする能力を持っているのだそうだ。
40km/hの話ではない。
たった20km/hで、3Wもセーブする。
これはとんでもないことだ。
何故なら、この程度の、ママチャリにも負けそうなノロノロ走行でさえはっきり差を出せるほど劇的な空力向上ならば、一見空力を無視してよさげなヒルクライムレース(注:S5が出るのと無関係に本気で速く走りたければヒルクライムレースで空力を無視するべきではない)でさえその威力を遺憾なく発揮してしまうからだ。
例えばMt.富士など、優勝争いとか別世界の人でも普通にスタートゴール20km/h以上の人がゴロゴロいる。このひとたちはS5に乗り換えるだけで3Wをより速く走り早くゴールするのに使うことができる。ましてや、走った人は分かると思うがこのコースは何故かゴール前に40km/h以上出すほぼ平坦路があり、存外キツい。短距離ではあるが突然平地TTのような状態になるからだ。平坦路に来た時点で既に脚が売り切れていると後から来た人間にどんどん抜かれて、ゴール前にして精神的ダメージきつかったりする。しかもこの平地が終わると最後微妙な急坂ゴールと、けっこうイヤらしいコースだ。このゴール前の平坦路でS5はエアロロードの神髄を遺憾なく発揮してくれるだろう。
軽量化に金を使っているくせして「たかが3W」と笑う人が居たならば、脳味噌まで軽量化しちまったのかと憐憫の情を禁じ得ない。計算すると出せるが、軽量化で3Wセーブするのは半端じゃない軽量化が必要だ。しかもS5は決して超重量級ではない。フレーム単体で比較した場合、ノーマル形状フレームの軽量化だけでS5と同じ3Wのパワーセーブを達成しようとしたら、フレーム重量はなんとほぼ0か下回ってしまう計算になるのである(激笑)
150万円以上のプライスタッグを掲げる、フラッグシップと呼ぶよりも実質アドバルーン「R5ca」を擁するcerveloであるが、実はこのR5caをもってしても、ほとんどのヒルクライムレースにおいてフレーム単体でのパワーセーブ効果はS5を下回ってしまうのだ。一見したところすごく地味な、20km/hで3Wセーブの数字が実はとてつもないコトが分かって貰えたと思う。
むろん“大本営発表”であることは否めない。
でもエアロロードの時代は来る。
絶対に。
商売だ。他の会社も黙っちゃいない。間違いなくアツい競争が起こり、切磋琢磨されてゆく。
だいじょうぶ。
日本は資本主義だ。イヤなら買わなくていい(笑)
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コメント
だからこそ、ブレーキを好ましい位置におくことをやらなかった点で残念な感じが漂ってしまうという…(苦笑)
それにしても、いよいよ今年はエアロロードフレーム元年になりそうですねぇ。
投稿: yuwskey | 2011年7月 6日 (水) 20:27
こんばんは、いつも楽しく拝見させてもらってます。
S5,ついに来たか!と言う感じですね。Pシリーズとどんどん形が近くなってきてますね。
すごく興味があるのですが、いかんせんトップチューブが長すぎる気がします…。日本人にはあまり向かない形なのかなぁ。
投稿: kisaragitk | 2011年7月11日 (月) 21:47
yuwskey さん、エアロロードの流れが来ますね。
風洞実験環境と空力のエンジニアのマンパワーがメーカーの趨勢を決める時代が来そうです。
kisaragitk さん、cerveloはいつもジオメトリが残念ですね(苦笑)
投稿: LIVESTRONG 9//26 | 2011年8月22日 (月) 19:30
こんばんは、いつも楽しく拝読しております。
エアロロードは私も数年前から注目しており、SOLOIST CARBON やFelt AR シリーズなどが凄く気になっていました。
今年、SCOTT から「そこそこエアロ、凄く軽量」的なコンセプトの Foil が発表され、私は「潰しが効く」ことから凄く注目してるモデルなのですが、エアロ効果が S5 に比べて大幅に劣るこのモデルはヒルクライムでも平坦地のレースでも中途半端に終わるものなのでしょうか。
LIVESTRONG様のBLOGに取り上げられないこと事を見ると自明の様に思われますが、よろしければお考えを聞かせていただけないでしょうか。
投稿: 呑っち | 2011年9月21日 (水) 21:45