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2011年7月11日 (月)

Vinokourov最後の夏

2011年。Aleksandr Vinokourov最後の夏。
Le Tour de France 2011 第8ステージ。
彼は落車により大腿骨と骨盤を骨折。
この瞬間「最後のLe Tour de France」と意気込んで臨んだ“アジア人初のグランツール総合優勝者”のLe Tour de Franceは終わった。

彼が起こした血液ドーピング問題は結局沈黙のカーテンの向こうに押しやられたままなので、好意的でない意見が多い選手であるとは思う。だが、格上の選手をも一撃で葬り去る威力を持っていた切れ味抜群のアタックを見せてくれたファイターだった。「鬼気迫る」と表現したい精神力の持ち主だったVinokourov。もう少しの運があれば、アジア人初のLe Tour de France総合優勝者として歴史に名を刻めた力は十分あったと思う。年齢的なこともあり、大腿骨と骨盤を骨折して再び第一線に復帰するのは非常に難しかろう。おつかれさま。

このステージではContadorがまたも他選手と接触落車したり、フランス国営TVの車が選手2人をはねてしまう、信じがたい「あり得ない事故」が起きたり、これも落車により個人TTの活躍が楽しみだったDavid Zabriskieがリタイアするなど散々なステージだった。Zabriskieは長いこと続いていた不振をやっと脱し、今シーズンは「Le Tour de France個人タイムトライアル史上最高平均速度記録保持者」の輝きを取り戻してきていた。それだけに個人TTステージを迎えることなくリタイアに終わったのはいち観客として残念でならない。RadioShackのLeipheimerも落車絡みで大きく遅れ、実力と無関係に総合優勝争い赤信号。

2011年のLe Tour de Franceは、黒歴史として長く記憶されそうな酷い内容だ。もし今後ドーピング関連問題が一切起きないとしたら「ドーピング問題が起きなかったツールとしては、ここ20年で最悪のツールだった」と呼ばれる可能性すらあると思う。上位入賞候補者が、その実力差で力及ばず敗れるのではなく落車リタイアで力を見せられずに消えていく、やっている側にも見ている側にも最悪の一言に尽きる展開が何連発もずっと続いているからだ。ウンザリもいいところだ。

勝負を見たい。
落車合戦なんか見たくない。

きっと走っている選手はもっと切実に思っているはずだ。
俺達はクソ面白くもない落車芸をするためにここまで来たんじゃねえ、と。

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