UCI Illegal
Shiv TT(こっちは逆にオリジナルShivのデザインをUCI規定に合致するように“デチューン”したモデルだ)ではない。
この新型Shiv(「Shiv TRIATHLON」となるようだ)は、ワタシの知る限りではCAT cheetah以来のフレーム内蔵給水システムを装備し、UCIの規定を無視することでトライアスロン用として最適化した設計を施した。75mm規定を無視しているのでダウンチューブの異様なブットさはド迫力。
ああー、なるほどねえ。
暫し感心。
アメリカでは近年トライアスロンブームで、ロードレース(もともとアメリカでは人気がない)よりも断然盛り上がっているそうだ。そこで、UCI管轄レースでは一切使用できない高価なフレームを売り出してもペイするとSPECIALIZEDは踏んだわけだ。もはや自転車ロードTTのようなマニアックで狭い領域など潔く切って捨て、むしろ「最適化された専用設計」をアピールした方が良いくらいトライアスロンのマーケットの方が大きい、と。
トライアスロンの世界最高峰レースたるハワイ・コナ・アイアンマン(色々意見もあるだろうが、ここで勝つコトが最も世間的ステータスがデカいのは間違いないと思う)では試乗車を30台も用意する大盤振る舞いで大アピール。おまけにレース結果としてもいきなりデビューウィンするなど、これ以上望みようもない最高のアピールに成功したデビューとなった。
コナではBMCのTM01なども展示されていたようだが、Shivの「ハイドレーションシステム内蔵!トライアスロン完全専用設計!」「コナ・アイアンマンをデビューウィン!」の前には霞んだ気がする。
中小のマニアックな手作り系メーカーではなく、大きなブランドがUCI規定を無視したフレームを出してくるあたりでもうアチラさんの盛り上がりは事細かに伝えて貰わなくても分かる。考えてみればSCOTTのPLASMA 3も「TT」の方はアメリカでは売らず(発売はヨーロッパと日本)トライアスロン用を意識した「PREMIUM」だけが発売された。両者はナカミとしては全く同じフレームで塗装、ステム、ハンドル、完車のあるなしだけの違いだが、ようはここでもトライアスロン重視なワケだ。
新たな流れが来るかも知れん。
3:1だとか25mmだとか75mmだとか空力向上付加物禁止だとか、正直外野のワタシですらクソUCIの規制のウザさ、脱力系後出し規制の酷さは目に余る。実際に作ったりチームを運営していたりする人など、内心「こいつら撃ち殺したろか」と思った事は一度や二度ではあるまい。
トライアスロン専用で作っちまえば、もっと理想に近い作りが出来る。
実際このShivはUCI規定を無視したところからスタートしているのでチューブは4:1のプロファイルを持つNACA翼断面。給水パックを内蔵したダウンチューブだが、ひょっとするとUCI規定に合致したTT用フレームのダウンチューブより空気抵抗が少ないかもしれん。
最新鋭テクノロジーはトライアスロン用フレームに先ず投入される。
そんな流れがだ。
「UCI規定?ああ、そんなクソな規定書いた書類はおとつい便所でケツ拭いて流しちゃったぜ!紙質までクソだからケツが切れて参ったよ」
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コメント
ロードレースのTTスペシャリストよりもトライアスリートの方が速い…?!
と、衝撃的なようですがトライアスリートは常にTTポジションでしか走らないのだからトライアスリートの方が専門性は高く、故に速くなり易いのかも。
投稿: yuwskey | 2011年10月21日 (金) 23:18
UCIの規定も何の為なのか、よく分かりませんな。
工房を保護したいなら日本の競輪規格はビルダー保護にはなっています。
おかげで進歩は世界の主流から「?」ですが、稀有な状態です。
そして昨今のピストブーム。乗り方の問題はあってもガラパゴスと揶揄
されたモノが注目されています。
本来の競輪が風前の灯なのに、何が流行るかなんて誰にも読めませんね。
なので、このヘンなUCIの規格も、ぶっ飛んだトライアスロン用マシンが
ゴロゴロ出現する世の中になれば見直されるかもしれません。
無理やり重さを調整し、自由形状可能のカーボンや樹脂でわざわざ
パイプ形状風のフレームを作る規格。だけどそこがイイ!と。(笑)
なにしろ未来の流行りなんて読めませんからね。
投稿: ao | 2011年10月22日 (土) 01:43
「UCI規格外であるから速いんです」なんて宣伝文句が飛び交うようになればUCIも一泡噴くかもしれませんね。
投稿: kezy | 2011年10月22日 (土) 18:27
いつも楽しく拝見させていただいております。
ただ、機材規制については、ある程度やむを得ないとの立場です。
例として
MTBはロードに比べて遥かに(発展途上機材という視点でしょうが)規制がゆるいです。
下火のMTBレースですが、その中でも特にDHは参加人数もレース数も激減しています。
そのひとつの理由は、機材の進歩にあると思っています。
XCは、5年前の中級クラスの自転車でも、十分足勝負で走れます。
国内の公式大会でも、5年前の機材は珍しくありませんし、極端なハンデになるわけでもありません。
しかしDHは5年前の機材なんて話にならないくらい進化が早いです。
結果、DHで参加することに意義があるレベルを除けば、毎年のように新規機材の投入が必須となり、それを怠ると明らかに自分より弱い選手が自分よりはるか上位にいるということが簡単に起こります。
いまどきDHをハードテールで走るなんて絶対にありえないレベルになっていますし。
同様に、ロードでも機材規制を撤廃していくと、いずれ同じような事態になりかねないとも感じます。
機材スポーツである以上、機材の進歩を否定はできませんが、機材の差で勝負が決まる競技は限られた人の楽しみにだけなってしまわないでしょうか?
ロードレースで勝ちたければ、草レースレベルでも100万用意しろって世界になったとき、ロードが一般的なスポーツとなることは永遠に無くなると思います。
あくまで私の考えですが。
投稿: tora | 2011年10月23日 (日) 15:09