« LAZER TARDIZ | トップページ | 彼は2月14日に星になった »

2012年2月12日 (日)

1番で事足りる

そろそろシーズンの足音が聞こえてきたので、痩身について。

  1. 使用熱量(エネルギー)よりも摂取熱量が多ければ太り、逆だと痩せる。例外は一切ない。
  2. 人間の変換効率は、1kJの仕事をするのにだいたい1kcalの熱量を使用する。変換効率は糖質が最も良く、脂質が一番よくない。
  3. 全く同じ総熱量、1500kcalに統一した「タンパク質偏重」「糖質偏重」「脂質偏重」の食事を摂らせて比較した場合、昔から散々出ている通り高タンパク食摂取群が最も体重減少し、次が糖質偏重、最後が脂質偏重であった。面白い事に、糖質偏重と脂質偏重に顕著な差はなかった。
  4. 朝に57%FTPの運動を45分間行うと、その後14時間に渡って基礎代謝量が有為に上昇する。
  5. 睡眠中の代謝量は誰でも想像つく通り最低だが、割合で行くと実は睡眠中が最も高い割合で脂肪を消費している。このため、寝る前に摂食すると寝ている間の脂肪の消費にストップをかけることになる。
  6. 上記理由により、睡眠する4時間以内に摂食するのが最も効率よく太る。「食っちゃ寝」は太ると昔から経験的に知られているのは伊達ではない。
  7. 血糖値が極端に下がった飢餓状態を作ると、脳(糖質によってのみ作動する)の制御のタガが外れ、その後食事によって血糖値が正常値もしくはそれ以上に上昇しても食欲がなかなか収まらなくなる。(=ドカ食いしやすくなる)
  8. 糖質は体内に蓄えられる時に大量の水分を伴うので、糖質の摂取は一時的に実質よりも体重を大幅増加(=水が増えただけ)させるし、糖質の消費は一時的に実質よりも体重を大幅減少(=水が抜けただけ)させる。体重計の数字増減に一喜一憂してはいけない理由の一つ。
  9. 糖質もタンパク質も、過剰に摂取すると全て脂肪に変換されて蓄積される。脂肪の蓄積可能量は膨大(何十キログラムレベル)だが糖質を糖質として蓄えられる上限は僅か500〜700g程度で、糖質を一時に多く摂取するとあっという間に蓄積可能量をオーバーし、凡そ1時間以内に運動を開始しないと脂肪への変換・蓄積が開始される。
  10. 必ず除脂肪体重で考えること。脂肪は事実上筋肉でしか消費することができない(肝臓でも使われたりするが、量が知れている)ので、筋肉を落としてしまうと加速度的に痩せなくなる。このため例えば「見た目ほっそりしているが運動を全然せず体脂肪率は高い女性」などは、驚くほど痩せにくく、少し食べただけですぐ太ってしまう。

4は、運動の波及効果がいかに大きいかを物語る一例。7は絶食に近いダイエットがいかにナンセンスかを示す一例。8は、体重に神経質な人ほど気をつけるべき。長時間の運動で体内の糖質を大量に消費したあとはキログラム単位で一気に体重が減るが、これは実質体重の減少よりも「糖質に伴って体内にあった水分が糖質の消費に伴って抜けた」ことによるものが大半で、実質はあくまで消費したエネルギー以上には減少しない。糖質の消費による一時的な大量体重減現象は、糖質の摂取や糖再生によって糖質の量が平常値に戻るにつれ短時間でグングン元に戻る。偏った食事をすることで痩せようとする(=単に偏食起因でやつれるだけ)のもたいてい臓器に高度な負担をかけており(たとえば「炭水化物を一切食べないダイエット」は腎臓に高負荷をかけ続ける)、長期間行うと臓器に不可逆的なダメージを与えることもありえるなど医学的に見てムチャクチャなものが多い。

色々書いたが、結局1で事足りるのだ。ナントカカントカダイエットでは◯◯から食べるとか△△に注目してとか色々と手を変え品を変え策を弄するわけだが、結局摂取総熱量が消費総熱量よりも多ければ太る宿命を変えることは人間やめない限り一切できないし、この事実から目を背ける限り痩身は必ず失敗する。つまり「食い過ぎるな。運動しろ」以外の何をやっても失敗するのはお約束で、だからこれだけ「〜〜ダイエット」がしつこく登場し続ける(=うまくいかないから)のである。総熱量が少なければ何を食べようと痩せる(ケーキであってもだ!)し、総熱量が多ければいかなるダイエット食であろうと順調に太るのだ。体重計の増減を追いかけるのはそれ自体がストレッサーになりやすく(体重計の一時的な値は水を飲んだだけでも増えるが、誰が見ても解るようにこれは太ったわけではない)、のめり込むと水も飲まなくなったりする(実は水を飲まなくなると代謝量が低下するので太る)点でかなりナンセンスな着目点で、たぶん一番合理的なのはレコーディングダイエット。1番を実践するには、並外れて暗記力に優れた人でない限り摂取熱量の記録しかないからだ。そもそも体重管理ができない人のほとんど全員が、自分が何を食べたか覚えていないし覚える気もないはずだ。酷いパターンだと、自分の食べたものの熱量を故意に過小評価したり忘れようとしさえする。本当に総熱量の記録に成功したら痩身はもう8割くらい成功している。何故ならそれは痩身で一番大事な「現実を直視する」ことだから。

現実と向きあえ。太ったのを「〜をしなかった」「〜を間違えた」などと己にウソをついて誤魔化すから痩せないのだ。お前が太った理由は、1にも2にも、単なる食い過ぎと運動不足だ。

使用熱量よりも摂取熱量が多ければ太り、逆だと痩せる。例外は一切ない、のである。

|

« LAZER TARDIZ | トップページ | 彼は2月14日に星になった »

コメント

やはり痩身には近道もウラワザもありませんね
痩せるために「何をすればいいかの答え」は昔から出ているにも関わらず、ナントカダイエット次から次に出てくるのが悲しい所です


なお、運動強度による脂肪減少効果の違いですが、
低強度・長時間のトレーニングを行った群より、高強度・インターバルトレーニングを行った群の方が総消費カロリーは低く、皮下脂肪の減少量は多いとの記事が書かれています。
具体的なインターバルの強度については書かれていませんが、15~90秒との事なのでかなり高いと思われます。
よく見かける「痩せるためにはゆっくり長く」論とは逆の結果ですね。
ただ、根拠とされている論文が15年ほど前の物なのが気になる所です。
http://www.joefrielsblog.com/2011/12/the-fat-burning-myth.html

投稿: ももい | 2012年2月12日 (日) 01:41

糖尿病患者がきちんと食事を採っても激ヤセするのは理由がインスリン分泌システムが壊れているからです。
血糖値とインスリンの分泌は脂肪の蓄積と深い関係があります。
血糖値を一番上げるのは糖質です。
そして、糖質を取り過ぎると常に糖質からグリコーゲンというエネルギー供給システムで完結してしまうので
脂肪が燃焼されず太ってしまいます。
糖質を減らして、蛋白質、脂質を多く摂ることよって血糖値を安定させ、脂肪からケトン体をエネルギーとして使おう、というのがマフェトン理論であり現在の糖質制限食や低GI食です。
一度やってみると面白いですよ。
運動では落としきれない脂肪が落ちて、筋肉量が増えます。
ラーメンばっか食ってるとエアロビックトレーニングいくらやっても脂肪ケトン代謝にはならないです。
私も12年トライアスロンやってますけど食事を買えない限り、エネルギーの基礎代謝は変わりませんでした。運動で燃焼出来る脂肪なんて微々たるものだと気づくと思います。

投稿: ます | 2012年2月12日 (日) 12:29

食わねば筋肉が落ち、食えば脂肪が増え…を繰り返し…(苦笑)
今年こそは洗練されたボデーを手に入れてみせましょうぞ!

投稿: yuwskey | 2012年2月12日 (日) 13:59

全面的に賛成です。ただ、延々と、ナントカダイエットが出て来続けるのは、あえて「一時的に体重が減り、しかし恒久的なダイエットには成功しない」ダイエットが世間的にはやっている方が都合の良い人々がいるからなのではないかと思ったり。

投稿: kouyou | 2012年2月12日 (日) 14:43

同意!
朝練やってた時にグングン体重が減ったものだ、、、体が熱を出してる実感もあったしな。

投稿: koni | 2012年2月21日 (火) 11:15

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 1番で事足りる:

« LAZER TARDIZ | トップページ | 彼は2月14日に星になった »