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2012年2月22日 (水)

GIRO Selector

なんと1000個もプロトタイプを作ったらしい「LAX」から製品化されたヘルメット「Selector」

「LAX」はLance ArmstrongのLe Tour de France8勝目のためのヘルメットでもあったのだが、それは叶わなかった。

1.キノコ度


実はキノコなのだけどそれとわかりにくい面白い造形。「急に膨れるのではなく全体的に大きく」て「被りが深い」からだと思う。

2.ベンチレーション


外見的にいかにも熱が籠もるデスヘルメットであるかのように思われるかも知れないが、見た目よりはマシ。実は空気の抜けに関してはけっこう考えられており、伊達に最新型ではない。LAZER TARDIZとかSPECIALIZED TT2、RUDYPROJECT WINGSPANのようなベンチレーションに重きをおいたものと比べると当然ながら暑い。

3.フィッティング


ストラップの調整機構が大胆に省かれているのはいかがなものか。ワタシはたまたまフィットしたけど、全員うまくいくのかこれで?

4.汗の処理

不可
空力優先。勝利のためだ我慢しろ。

5.重さ


基本的には重い。ただし重心が集まった重さでありTARDIZのようにヨーの重さを感じることはない。

6.空力


バイザー付き(=暑い)であるなど全てを空力のために犠牲にしたようなヘルメットなので当然のように良い。頬のあたりまで覆うなど「顔・頭の大半をヘルメットで覆うことで空力を良くする」思想で作られているのがよくわかる。前を向いた姿勢でも下を向いた姿勢でも空気が綺麗に流れる。アンダーカバーを二種類用意するなどライダーの姿勢抜きに空力は語れない事もちゃんと研究して作っている。

7.小技

 
アンダーカバーが深すぎるライダー向けに浅いアンダーカバーも用意するなど空力への配慮は細部まで文句なし。耳のところをガッチリ絞っているが素材を細かく変えて痛くならないように工夫しているなど凝っている。実はクリアバイザーもあるんだが日本では売っていない。

8.エイリアン度


ある意味、バイクのヘルメットっぽいカンジか。

9.その他気になる点等

  1. これは本当に清々しいくらいガチのレース用ヘルメット。1秒でも削ること以外は考えていない。
  2. 脱いだり被ったりするのにいきなり独特のコツがいる。シロウトお断り系。
  3. ストラップは、もしかすると「この角度で被れ」とする暗黙の指示かも知れない。
  4. 耳の下まで完全に覆っておりかつ絞っているが、耳を抑える部分だけフォーム材になっているなどけっこう凝っていて痛くならない。Advantageの反省及びLAX開発時の選手からのフィードバックを反映した(初期型のLAXでは耳の別素材化が施されていない)と思われる。
  5. バイザーを外すとアイウェアを使うこともできるが、本来の性能を損なうのでナンセンスな使い方だし、押さえられているところにアイウェアのステムを突っ込まれる耳が痛くなる。
  6. プロには供給していたいろんな色のバイザーを出せとまでは注文せんから、とりあえずクリアバイザー日本でも売れ。

10.まとめ
2012年初頭において、ロード用タイムトライアルヘルメットとして空力だけで評価すればこのSelectorこそが最良ではないかと思われる。とにかく空力を向上させることをこれほど徹底してあるヘルメットは現状他にはなさそう。喩えるなら、センター試験ダメなんだけど二次で満点獲って教授を驚かせ京大入っちゃうような一芸の鬼才?空力以外、コレと挙げたい優れた点は全くない。シャレとか格好付けで被るにはマイナス要素が多すぎるから目的外使用する人(いるのか?)にとってはとんでもないゴミで、心の底から空力が欲しい人向け。マメ知識としては、LAXの最終試作からSelectorになるにあたってアンダーカバーの形が少変更された。改良かコストダウンかは知らない。しつこいが、クリアバイザー日本でも売ってくれ。

総合評価

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