Fat-Burning Mythだと…?
元の調査結果は昨年末に発表されているのだけど、今頃知った(よくある)ので。
http://www.joefrielsblog.com/2011/12/the-fat-burning-myth.html
脂肪の減少と運動強度の関係について調べたものだ。
要約すると
- 15〜90秒と短時間のスプリント(マックスパワーの60〜70%強度)を繰り返した運動群
- LSDになるかどうかすら微妙なレベル(HR Zone1)の低強度運動のみを延々やった運動群
を比較した場合、1.の方が有為に皮下脂肪が減少する結果となったものだ。
総仕事量は、1.の13829kJに対し2.が28757kJと1.の2倍以上である。
高強度運動群は、2倍以上の運動量をひっくり返したわけだ。
しかし、ここで早ガッテンするのはまずい!
低強度運動群は20週間で28757kJの仕事量の運動を行った(≒28757kcalを消費した)となっているが、これはワタシのレベルから見ても「おいこれ少なすぎるだろ!」とツッコミを入れたい程度の運動でしかない。計算してみれば分かるが、20週間は140日。 28757/140≒205.4であり1日あたり200kJくらいしか運動していないのだ。
お前、これ少ないだろ!
こんなもん「運動」じゃねえよ!
散歩レベル(散歩好きの健脚お年寄りには余裕で負けるぞ!)だろうが!
ワタシレベルでさえ平日朝っぱらから2000kJくらいトレーニングするのは椿事ではないし「1日あたりの運動量平均が1500kJを切らないように」やってる(前は1日2000に設定していたが故障や病気が絶えないので減らした)んだが。個人的な話はともかく、この実験において行われた“運動”によって消費したのは、食事一食分どころか自立不可能なくらいペラペラの厚さの食パン1枚レベル。ワタシのLSDでも205kJなんて20分要らない。「え?もう終わり!?まだ体が温まってないけど!?」だ。
「2倍以上運動した」と聞くとスゴイ気がするが、実は1日あたりで比較すると高強度131.7kJ V.S. 低強度205.4KJの比較(高強度群は15週なので1日あたりで比較すると2倍にならない)である。えれぇレベル低い戦いだなオイ!
数字のマジックに騙されるな。
これは強度と総量を冷静に評価したら「ちょっとだけ気合い入れて走ってみたV.S.散歩した」の戦いだ。ガリガリ運動している人間がヘェーと唸るテストじゃナイ。
実はこの手の調査結果は今に始まったものではなく、幾つか散見され結果もほぼ同じに収斂している。当ブログでも以前書いたが「ある程度以上の強度で運動を行うと、運動を終了したあとも代謝が向上した状態が長時間続く」のは色んな調査結果から確かめられている。今さら騒ぐほどのコトではない。
つまり「運動そのもの」によって消費した脂肪は、2.の低強度運動群の方が多い(総仕事量が多いのだから当たり前だ)のだが、高強度運動を行った1.の群では運動を終えてレストしている間にもエネルギーをより多く消費する状態を作れたため結果的により多くの脂肪を減らすことができたのだ。
人間の1日の基礎代謝は、よほど運動慣れしていない限り多少の運動による消費量よりもずっと多い。成人男性なら仮に1日じゅう寝ていたとしても1500kcal前後。ましてや日常生活を行えばもっと消費する。ワタシは
「自分の基礎代謝量以上の運動をほぼ毎日行える身体能力を持っている=アスリート」
と定義していいと思っている。この比較ではお互いの1日あたりの運動量の差は僅か70kJ程度だし、低強度運動群の1日205kJ程度では「やらないよりは断然まし」なのは間違いなくても「誤差」「気のせい」「この程度で運動した気になってたらまずい」レベルだ。消費エネルギーの割合として基礎代謝の方が圧倒的に大きいのだからこんなん基礎代謝量を増やせた方が逆転する(脂肪がより減る)に決まっとるがな。
こんなレベルの低い“数字のマジック”では、ド素人騙すのがいいとこだ。
1足す1からやり直せ。
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